事業内容
DIC株式会社は1908年創業、連結子会社145社・関連会社17社を擁する総合化学メーカーである。事業はパッケージング&グラフィック(グラビア・フレキソ・ジェットインキ、包材)、カラー&ディスプレイ(塗料・プラスチック・カラーフィルタ用顔料、ヘルスケア食品)、ファンクショナルプロダクツ(エポキシ樹脂、PPSコンパウンド、工業用テープ、中空糸膜)の3セグメントで構成される。
主要顧客は食品包装・印刷・半導体・自動車・ディスプレイ産業に及び、売上高1,052,194百万円の約半数を海外で稼ぐグローバル事業体である。
ビジネスモデル
主として見込生産方式を採用し、世界各地の製造拠点から多様な産業向けに素材・材料を供給する。収益は製品販売による売上総利益が基盤であり、価格対応(採算是正・関税対策)とコスト管理の徹底により利益率を維持・改善する。
高付加価値製品(ジェットインキ、エポキシ樹脂、工業用テープ等)の拡販と、中核事業の構造改革によるコスト削減を組み合わせることで、減収局面でも営業利益を拡大させる収益構造を持つ。
企業の強み
1908年創業以来100年超の歴史を持ち、連結子会社145社・関連会社17社を通じて約60か国で事業を展開。米国Sun Chemical、欧州Coatesグループ等の大型買収を経て構築した世界規模のインキ・顔料ネットワークは、地域ごとの価格対応や顧客開拓を可能にする競争優位の源泉となっている。
ファンクショナルプロダクツセグメントのケミトロニクス事業は、エポキシ樹脂・工業用テープ・フォトレジストポリマー等を擁し、AI半導体デバイス需要の拡大を背景に堅調な出荷を維持。2025期の同セグメント営業利益率は7.9%と全社平均(4.96%)を大きく上回り、成長牽引役として機能している。
カラー&ディスプレイセグメントは2024期に営業損失△300百万円を計上していたが、欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果が発現し、2025期は営業利益4,991百万円の黒字に転換。設備統廃合・生産合理化を通じた固定費削減が収益改善に直結した事例として、ポートフォリオ管理能力の高さを示している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の売上高は855,379百万円(2021期)→1,054,201百万円(2022期)→1,038,736百万円(2023期)→1,071,127百万円(2024期)→1,052,194百万円(2025期)と横ばい圏で推移。営業利益は2023期に17,943百万円まで落ち込んだ後、2024期44,521百万円・2025期52,192百万円と回復基調が鮮明。
2026年12月期第1四半期は売上高282,489百万円(前年同期比+7.8%)、営業利益24,512百万円(同+87.7%)、親会社株主帰属純利益19,194百万円(同+214.7%)と大幅増益を達成。外部要因として、AI半導体需要の旺盛な拡大、EUR/円の円安進行(前年同期比+14.0%)、中東情勢を見越した顧客の在庫積み増し需要が追い風となった。
一方、ドイツ顔料拠点の修繕負債取崩し(約5,800百万円)という一時的増益要因も含まれる。通期業績予想(売上高1,100,000百万円、営業利益56,000百万円)は変更なし。
成長戦略
「DIC Vision 2030」Phase2でAI融合社会向け成長事業を確立し、2030年度営業利益80,000百万円以上を目指す
AI半導体向けエポキシ樹脂(活性エステル型硬化剤等)・工業用テープ・UV硬化型樹脂等のデジタル分野高付加価値製品の出荷拡大を推進。2026年12月期第1四半期のファンクショナルプロダクツ営業利益は9,057百万円(前年同期比+75.3%)と大幅増益を達成しており、戦略の実効性が確認されている。
「DIC Vision 2030」Phase2の重点テーマとして、セグメント別ROIC目標値を設定し資本コストを上回る資産・資本効率の実現に取り組む。セグメント情報の集計方法を2026年12月期第1四半期より変更し、各セグメントの資産・資本効率をより的確に反映する体制を整備した。
持分法適用関連会社・太陽ホールディングス株式会社の全保有株式を約82,600百万円で売却予定。エレクトロニクス分野でのシナジー発現余地が限定的と判断し、スマートリビング領域等の最重要領域への経営資源集中投入を図る。売却資金は有利子負債圧縮や成長投資への活用が期待される。
カラー&ディスプレイセグメントにおける欧米顔料拠点の構造改革を継続推進。付加価値の低い化粧品用顔料の戦略的販売終了や製品ポートフォリオ改善を実施。2026年12月期第1四半期のセグメント営業利益は8,460百万円(前年同期比3.0倍)と大幅改善を達成した(一時要因含む)。
最終更新: 2026年7月17日

