事業内容
藤倉化成は1938年創業のアクリル樹脂派生製品を中核とする化学メーカーで、コーティング・塗料・電子材料・化成品・合成樹脂の5セグメントを展開する。主力のコーティング事業では自動車・化粧品容器向けプラスチック用コーティング材を日・米・欧・アジアのグローバルネットワークで供給。
塗料事業は国内住宅市場向け建築用塗料が主力。電子材料事業では導電性樹脂材料『ドータイト』を車載・電子機器向けに展開。
化成品事業では粘着剤・メディカル材料、合成樹脂事業ではアクリル樹脂原材料の仕入販売を手掛ける。子会社24社・関連会社3社を含むグループ全体の2026年3月期売上高は55,636百万円。
ビジネスモデル
コーティング・電子材料・化成品は自社佐野事業所・鷲宮事業所等で製造し、国内はフジケミ東京・フジケミ近畿・フジケミカル等の販売子会社網を通じて供給。海外は米国RED SPOT、英国Fujichem Sonneborn、タイ・中国・マレーシア・インドネシア等の現地法人が調色・販売を担う。
合成樹脂は藤光樹脂が仕入販売を行うトレーディング型。研究開発費2,821百万円を投じ高付加価値製品を継続開発することで収益性向上を図る構造。
企業の強み
コーティング事業において米国・英国・タイ・中国(天津・佛山・上海)・マレーシア・インドネシア・インドに現地法人を保有し、製造から調色・販売まで一貫したグローバルネットワークを構築。2026年3月期にアセアン・インド地区での販売が堅調に推移するなど、多拠点体制が実績として機能している。
電子材料セグメントの中核製品『ドータイト』は車載・電子機器・PC向けに展開し、2026年3月期の電子材料セグメント売上高は前年同期比16.5%増の4,624百万円、営業利益は前年同期比1,075.3%増の405百万円と大幅改善。ストレッチャブル導電性ペーストやミリ波吸収シールド材など独自技術の開発も継続している。
2026年3月期の研究開発費は2,821百万円で、売上高55,636百万円に対し約5.1%の投資比率を維持。コーティング1,817百万円、化成品481百万円、塗料347百万円、電子材料175百万円と全セグメントで継続投資。
粘着剤新製品の好調販売や糖尿病診断薬の海外展開など、研究開発が実際の売上貢献に結びついている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は5期連続増収で2026年3月期は55,636百万円(前期比0.2%増)とほぼ横ばい。一方、営業利益は2,271百万円(前期比73.9%増)と大幅改善し、売上原価率が前期71.2%から69.5%へ低下したことが主因。
経常利益は投資有価証券売却益1,610百万円(外部要因:保有株式の時価上昇)が加わり4,210百万円と倍増。純利益は3,134百万円と過去5期で最高水準。
塗料セグメント(営業利益153.5%増)・電子材料セグメント(同1,075.3%増)が牽引した一方、コーティングは自動車向け国内販売低調・米欧不振で減益、合成樹脂は営業損失に転落。外部要因として中東情勢に伴う原材料価格高騰リスクが2027年3月期以降の懸念材料となっている。
成長戦略
「そだてる・のばす・ささえる」3領域戦略と佐野新工場投資でROE8%・売上63,000百万円を目指す
コーティングセグメントの競争力強化を目的とした佐野事業所への大型設備投資。2026年3月期に有形固定資産取得支出が4,185百万円に急増し、建設仮勘定が3,409百万円に積み上がっており、投資は本格化段階にある。完成後は生産効率化・コスト削減・新製品対応力の向上が期待される。
『ドータイト』を核とした導電性樹脂材料の新用途開拓。2026年3月期は車載向け・電子機器向け・PC向けが揃って堅調に推移し、セグメント営業利益は405百万円(前期比1,075.3%増)と急拡大。
研究開発費は2,821百万円(前期2,903百万円)を維持しており、技術開発への継続投資が成長基盤を支えている。
アジア新興国市場での自動車向け・化粧品容器向けコーティング材の販売拡大。PT. FUJIKURA KASEI INDONESIAを株式追加取得により当期より連結子会社化し、アジア拠点を強化。2026年3月期もアセアン・インド地区での販売は堅調に推移し、米欧低調を補完する役割を果たした。
糖尿病診断薬試薬の海外販売拡大と粘着剤(アクリベース)新製品の継続的な好調販売により、化成品セグメントの収益性を向上させる戦略。2026年3月期は売上高4,899百万円(前期比6.7%増)、営業利益388百万円(同69.5%増)と着実に成長。
中期経営計画の「のばす」領域として経営資源を集中投下している。
2026年3月期に従業員インセンティブ・プラン「株式付与ESOP信託制度」を導入。一定要件を充足する従業員にポイントを付与し当社株式を交付する制度で、中長期的な企業価値向上へのインセンティブ付与と優秀人材の確保・定着を目的とする。信託財産として130千株(帳簿価額118百万円)を保有。
最終更新: 2026年7月19日

