事業内容
ラクオリア創薬は2008年にファイザー株式会社中央研究所の閉鎖を機に設立された研究開発型創薬ベンチャーである。消化器・疼痛疾患領域を起点に、現在はがん・神経疾患を含む幅広い疾患領域で研究開発を展開。
探索研究から前臨床・初期臨床試験(主に第Ⅰ相)までを自社で実施し、製薬企業へのライセンスアウトにより収益を獲得するビジネスモデルを採用。連結子会社のテムリック(2026年1月吸収合併)およびファイメクスを含むグループで、低分子化合物に加え標的タンパク質分解誘導剤(TPD)等の新規モダリティへの展開も進める。
主要顧客はHKイノエン社(韓国)、アステラス製薬、Elanco Animal Health等のグローバル製薬企業。
ビジネスモデル
開発化合物を製薬企業にライセンスアウトすることで、契約締結時の契約一時金、開発進捗に応じたマイルストン収入、上市後の販売額に連動したロイヤルティ収入の三層構造で収益を得る。後期臨床試験は導出先が担うため、開発コストとリスクを抑制しつつ複数パイプラインを並行運営できる。
2025年度の事業収益3,979百万円のうち、HKイノエン社が51.5%、アステラス製薬が26.4%、Elancoが21.4%を占める。
企業の強み
胃酸分泌抑制剤tegoprazan(K-CAB®)は韓国で消化性潰瘍治療薬市場シェア第1位(15%)を維持し、2025年度の韓国売上は2,179億ウォン(前年同期比10.7%増)。19カ国で販売中、57カ国で事業活動が進行。
韓国物質特許は大法院(第三審)で全件勝訴し、2031年までの独占販売権が確立された。
米国でBraintree社が実施したTRIUMpH試験において、tegoprazanはびらん性・非びらん性胃食道逆流症(EE・NERD)の両試験で全ての主要評価項目と副次評価項目を達成。2025年8月には維持療法試験も完了し、米国市場参入に向けた臨床的根拠が確立された。
ファイメクスが保有するRaPPIDS™プラットフォームを活用したアステラス製薬との共同研究で、2025年3月に200百万円、11月に新規2標的追加に伴い400百万円の一時金を受領。開発候補化合物同定・製品化時には最大150億円超のマイルストンと売上ロイヤルティを受領できる契約となっている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年12月期中間期は事業収益1,455百万円(前年同期比5.2%減)、営業損失338百万円(前年同期190百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失466百万円(前年同期354百万円の損失)と、前年同期比で損失が拡大した。事業原価は12.7%減少した一方、研究開発費が10.1%増(861百万円)、その他販管費も6.9%増と費用が先行的に膨らんだ。
財務面では自己資本比率が70.6%(前期末比5.5ポイント増)に改善し、現金及び現金同等物は前期末比1,452百万円増の4,696百万円となるなど財務基盤は厚みを増している。通期予想(売上高3,980百万円、営業利益165百万円)は修正されておらず、下半期のマイルストン・契約一時金収入の実現度合いが業績のカギとなる。
成長戦略
tegoprazanのグローバル展開加速とTPD等新モダリティ・新事業開発スキームによる多層的成長
TRIUMpH-EE試験での優越性データを起点に、ベラルーシでの承認取得、オーストラリアTGA審査中など海外承認申請が進展。2030年に全世界年間売上高3兆ウォンを目指すHKイノエン社の計画に連動したロイヤルティ収入の拡大を見込む。
連結子会社ファイメクスがアステラス製薬と共同でRaPPIDS™プラットフォームを用いたがん標的TPDの探索を継続。理化学研究所との計算化学融合型創薬支援技術の共同研究契約も締結し、研究基盤を強化。
Lazarus Pharmaceuticals傘下企業との契約でマイルストン・ロイヤルティに加え株式対価を組み合わせる新スキームを具体化。今後の導出案件への適用拡大により収益機会の多層化を図る。
2026年1月1日付でがん領域創薬事業を手掛けていた完全子会社テムリック株式会社を吸収合併し、コスト削減と管理業務の簡素化・効率化を実現。
最終更新: 2026年8月14日

