事業内容
株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所は、「日本発の画期的な新薬を世界へ」をビジョンに掲げ、プロテインキナーゼ阻害剤を中心とした医薬品の研究開発を行う創薬バイオベンチャーである。眼科関連疾患を主要領域とし、緑内障・フックス角膜内皮変性症・水疱性角膜症・神経疼痛等を対象とした複数の開発パイプラインを保有する。
連結子会社・日本革新創薬株式会社とともに2社体制で事業を展開し、グラナテック点眼液(国内上市済)、グラアルファ配合点眼液(国内・アジア上市済)、ILM-Blue等の上市品を有する。開発品は興和・DORC・ロート製薬・わかもと製薬等の製薬会社にライセンスアウトされており、ロイヤリティ収入が主な売上源となっている。
ビジネスモデル
基礎研究から比較的早期の開発段階で製薬会社等にライセンスアウトし、契約締結時のフロントマネー収入、臨床開発進捗に応じたマイルストーン収入、製品上市後の販売額連動ロイヤリティ収入の三層構造で収益を得る。ライセンスアウト済みパイプラインの研究開発費はライセンスアウト先が負担するため、自社コストを抑制しつつ複数品目の開発を並行推進できる。
2025年12月期の売上高387百万円はほぼロイヤリティ収入で構成され、主要相手先はDORC(売上高比84.4%)と興和(同15.5%)である。
企業の強み
自社開発のドラッグ・ウエスタン法により、1回のスクリーニングで多数の標的タンパク質を同定可能。生物材料・化合物消費量が少なく操作が単純で短時間完了という優位性を持ち、有効性・安全性の高い新薬候補化合物の創製効率を高める独自の基盤技術として機能している。
グラナテック・グラアルファ配合点眼液・ILM-Blue等の複数上市品からロイヤリティ収入を継続的に獲得。加えてK-321(第III相)・DW-5LBT(米国承認取得済)・DWR-2206(第II相完了)・H-1337(後期第II相完了)等、異なる開発ステージの品目を複数保有し、収益多様化の基盤を形成している。
2010年から国立大学法人三重大学との産学官連携講座(2026年12月まで契約継続)を活用し、自社研究施設を保有せずに研究開発を推進。外部CRO・業務受託企業も積極活用することで固定費増加を抑制しつつ、眼科関連疾患を中心とした新薬候補化合物の探索を継続している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年12月期第1四半期(2026年1月〜3月)の売上高は15百万円(前年同期96百万円、前年同期比84.4%減)、営業損失167百万円(前年同期142百万円)、経常損失170百万円(前年同期149百万円)、四半期純損失170百万円(前年同期150百万円)となった。売上高の大幅減収はTissueBlue™のDORC社との契約延長協議中によりロイヤリティが未計上となったことが主因であり、グラアルファ®配合点眼液の販売は国内・アジアで順調に推移した。
販売費及び一般管理費は182百万円(前年同期比20.2%減)と圧縮されており、研究開発費は117百万円(前年同期比17.5%減)、その他販管費は64百万円(前年同期比24.7%減)となった。通期業績予想は売上高300百万円、営業損失780百万円、当期純損失800百万円で変更なし。
過去5期の財務推移では2024期に営業損失1,210百万円のピークを記録後、2025期は620百万円に縮小したが、2026年1Qは損失が前年同期比で拡大しており、TissueBlue™の契約延長完了が通期業績の鍵を握る。
成長戦略
パイプライン承認申請・ライセンス収益最大化・戦略的資本提携による企業価値向上
フックス角膜内皮変性症治療剤K-321はグローバル第Ⅲ相臨床試験の全観察期間が2026年3月に完了し、現在データ解析中。解析完了後に興和が米国・欧州等での承認申請を行う見通しであり、申請・承認によるマイルストーン収入が期待される。
特許存続地域に関する契約延長についてDORC社と合意済みであり、条件等の詳細を協議中。契約延長が完了した際に2026年第1四半期分を含む未計上ロイヤリティがまとめて計上される見通しであり、通期売上高300百万円達成の重要な前提となっている。
2026年3月に千寿製薬と日本・アジア地域等を対象としたオプション契約を締結し、約200百万円相当の出資を受け入れた。日本での開発を優先する方針に転換し、千寿製薬との連携のもとで第Ⅲ相臨床試験準備を進める。米国での開発は日本の状況を踏まえて改めて検討する。
ブリリアントブルーGを用いた内境界膜染色・水晶体前嚢染色の第Ⅲ相臨床試験(わかもと製薬)を日本で実施中。米国向けのブリリアントブルーG/トリパンブルー配合品(DORC)は申請準備中であり、承認取得による新たなロイヤリティ収入源の確立を目指す。
主力金融機関からの借入、第三者割当増資(千寿製薬向け2,150,500株・2026年4月払込完了)、新株予約権行使等を組み合わせた資金調達を継続。2026年第1四半期末の現金及び預金残高は1,539百万円を確保しており、当面の研究開発資金を維持している。
最終更新: 2026年7月17日

