事業内容
第一三共株式会社は、当社と子会社43社・関連会社1社の計45社で構成されるグローバル創薬企業であり、医薬品の研究開発・製造・販売を主事業とする。独自のDXd ADC(抗体薬物複合体)技術を基盤に、エンハーツ(抗HER2 ADC)・ダトロウェイ(抗TROP2 ADC)を中心とするがん領域製品を世界展開する。
日本・米国・欧州・アジア・中南米に事業拠点を持ち、アストラゼネカ・米国メルクとの戦略的提携を通じてグローバル開発・販売を推進。2026年3月期の売上収益は2,123,045百万円に達し、がん領域への事業集中を加速している。
ビジネスモデル
エンハーツ・ダトロウェイについてはアストラゼネカと、HER3-DXd等3品目については米国メルクと、それぞれ日本を除く全世界での利益・費用折半型の共同開発・販売提携を締結。自社が製品を創製・製造し、パートナーの販売網を活用してグローバル展開することで、研究開発リスクを分散しつつ大規模な収益を獲得する構造。
国内では直販、海外では現地法人・提携先を通じた販売を組み合わせ、売上収益の約38%をオンコロジービジネスユニット(欧米がん製品)が占める。
企業の強み
エンハーツは2026年3月期に売上収益8,195億円(前期比25.8%増)を達成し、グローバル主力品として確固たる地位を確立。独自のリンカー・ペイロード技術(DXd)により高い抗腫瘍効果と選択性を実現し、HER2低発現・超低発現乳がん等の新適応を次々と取得。
5DXd ADCsが開発パイプラインを形成し、技術的模倣困難性が高い。
エンハーツ・ダトロウェイについてアストラゼネカと、HER3-DXd・I-DXd・R-DXdについて米国メルクと利益折半型の全世界提携を締結。パートナーの販売インフラ・資金力を活用しながら、自社は製品創製・製造に集中できる構造。提携による契約一時金・マイルストーン・実施料収入も収益基盤を補完する。
2026年3月期末の資産合計は4兆54億円、資本合計は1兆6,642億円。R&IよりAA(安定的)、Moody'sよりA2(安定的)の長期格付けを取得。
国内社債発行登録枠4,000億円・CP発行枠1,500億円を保有し、2025年に最短3年・最長10年の無担保社債2,000億円を発行。高格付けが低コストの資金調達を可能にし、大規模な研究開発・設備投資を支える。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上収益は2022期1,044,892百万円から2026期2,123,045百万円へ5年間で約2倍に拡大し、12.6%増収を継続。コア営業利益は359,962百万円と15.1%増益を確保し、経常的な収益力は改善している。
一方、製造委託先への損失補償等の一過性費用152,974百万円の計上により営業利益は229,089百万円と前期比31.0%減。親会社帰属当期利益は259,874百万円と12.1%減。
法人所得税費用が前期59,874百万円から3,558百万円へ大幅減少したことが当期利益の下支えとなった。外部要因として、為替(1米ドル150.78円)の増収影響は218億円、増益影響は147億円。
2027年3月期は売上収益2,280,000百万円(+7.4%)、営業利益315,000百万円(+37.5%)を予想し、一過性費用の剥落による利益回復を見込む。
成長戦略
5DXd ADCsの製品価値最大化と次世代BGTs特定による2030年売上収益3兆円以上の達成
HER2低発現・超低発現乳がん、HER2陽性固形がん、胃がん2次治療等で日米欧中に複数承認を取得済み。2026年3月期だけで10件超の新規承認・申請を達成。2030年度にがん領域売上収益2兆3,000億円以上を目指し、5年間で20以上の適応症上市を計画。
2025年6月に欧州(HR+/HER2-乳がん)・米国(EGFR変異NSCLC)で承認取得・発売開始。2026年2月には米国でTNBC1次治療の承認申請・優先審査指定を取得。オンコロジービジネスユニットの売上収益は前期比31.3%増の608,800百万円に貢献。
HER3-DXdはHERTHENA-Lung02試験データを発表しNSCLC2次治療での開発継続。I-DXdは進展型小細胞肺がんでFDA画期的治療薬指定を取得しフェーズ3試験を複数開始。
R-DXdは卵巣がんでFDA画期的治療薬指定を取得しREJOICE-Ovarian01フェーズ2パートのデータを発表。
AI活用による生産性向上、グローバル共通ERPプラットフォーム導入による調達プロセス最適化、新薬事業全領域の商業化活動を一元的に担う新組織設置(2027年4月稼働予定)により、計2,000億円以上のコスト最適化を実現し収益性を向上させる。
第一三共ヘルスケア株式会社の全株式をサントリーHDへ246,500百万円(予定)で段階的に譲渡(2026年6月~2029年6月)。OTC事業から撤退しがん事業に経営資源を集中。譲渡資産・負債は2026年3月期末時点で売却目的保有資産に分類済み。
第6期中計期間において累進配当を導入し、調整後DOE10.0%以上を配当水準の指標として設定。2026年3月期年間配当78円(前期比18円増)、2027年3月期予想100円(同22円増)。
2026年3月期に自己株式3,145万株を918億円で取得し、2026年6月10日に31,457,200株を消却予定。
最終更新: 2026年7月19日

