オンコセラピー・サイエンス株式会社 logo

オンコセラピー・サイエンス株式会社

4564東証グロース医薬品

オンコセラピー・サイエンス株式会社 logo
オンコセラピー・サイエンス株式会社4564

事業内容

オンコセラピー・サイエンスは2001年に東京大学医科学研究所との共同研究を起点に設立されたがん領域特化の研究開発型バイオベンチャーである。低分子医薬・がんペプチドワクチン・抗体医薬の3領域で創薬研究を展開し、塩野義製薬等の製薬企業へのライセンスアウトを主軸とする。

連結子会社CPM社を通じ、全ゲノムシーケンス解析・ネオアンチゲン解析・リキッドバイオプシー等のがん遺伝子解析受託サービスも提供。主要顧客は公益財団法人がん研究会(337百万円)、医療法人慈生会福岡がん総合クリニック(96百万円)等の医療・研究機関であり、厚生労働省の全ゲノム解析等実行計画にも参画している。

ビジネスモデル

収益は①製薬企業との提携契約に基づく契約一時金・マイルストーン・ロイヤリティと、②CPM社が担うがん遺伝子解析・免疫解析の受託サービス収入から構成される。2026年3月期の連結事業収益808百万円のうち、解析サービス収入が806百万円と大半を占め、ライセンス収入は2百万円にとどまる。

研究開発費534百万円を継続投下しながら、製薬企業との新規提携締結によるマイルストーン収入の獲得を中長期の収益拡大シナリオとして位置づけている。

企業の強み

2026年3月31日現在、全世界で455件の特許を取得。東京大学医科学研究所との共同研究で構築したcDNAマイクロアレイによる32,000遺伝子網羅解析システムを基盤に、低分子医薬・ペプチドワクチン・抗体医薬の各領域で独自の創薬ターゲットと化合物ライブラリを保有しており、競合が短期間で模倣困難な知的財産ポートフォリオを形成している。

塩野義製薬株式会社とはペプチドワクチンS-588410の食道がん第Ⅲ相臨床試験を含む複数の臨床試験を共同で実施。契約一時金・マイルストーン・ロイヤリティの段階的収益構造を持つ提携契約を締結済みであり、大手製薬企業との実績ある協業関係が新規提携交渉における信頼性の裏付けとなっている。

CPM社はCAP認定およびISO/IEC 27001:2022認証を取得し、品質・情報セキュリティ面での高い信頼性を確立。厚生労働省「全ゲノム解析等実行計画」の継続受注を獲得しており、2026年3月期のがんプレシジョン医療関連事業収益は806百万円(前期比7.9%増)と安定的な受注基盤を有する。

エンヴァリスの着眼点

2026年3月期の連結事業収益808百万円のうち806百万円をCPM社が占め、実質的な収益基盤はがんプレシジョン医療関連事業に依存。上位2顧客(がん研究会337百万円・福岡がん総合クリニック96百万円)で売上高の約53%を占める顧客集中リスクが高い。

営業損失は前期比13百万円拡大の810百万円、当期純損失も910百万円と前期815百万円から悪化しており、黒字化の見通しは立っていない。

2026年3月期に株式発行による収入2,284百万円を調達し、期末現金残高は2,089百万円(前期比1,255百万円増)に改善。自己資本比率も57.0%から87.8%へ上昇し、継続企業前提の重要な不確実性は解消されたと判断されている。

ただし、発行済株式数は前期271,643,700株から383,643,700株へ41%増加しており、後発事象として2026年4月末までにさらに15,000,000株が追加発行済み。継続的な希薄化圧力が株主価値を毀損するリスクは残存する。

塩野義製薬が実施したS-588410の食道がん第Ⅲ相臨床試験において、主要評価項目である無再発生存期間(RFS)の統計学的有意差が認められなかった。探索的部分集団解析では一部有望な傾向も確認されているが、今後の開発方針は協議中であり不透明。

また、2027年3月期の業績予想は「導出活動・受託検査業務における最大価値創出の阻害要因となる可能性」を理由に非開示とされており、業績の視認性が低い点も投資判断上の制約となっている。

成長戦略

臨床開発進展とライセンスアウト拡大、CPM社の解析サービス多角化で収益基盤を強化

米国でトリプルネガティブ乳がんを含む乳がん患者を対象に経口投与による安全性・推奨投与量確認を主目的とした第Ⅰ相試験を継続実施。オーストラリアでの経口吸収性試験でヒトでの良好な経口吸収性が確認済み。臨床データ蓄積によるライセンスアウト機会の拡大を目指す。

自社化合物ライブラリ内で臓器線維症治療標的として有望なキナーゼ阻害化合物を確認し、NIBNとの共同研究契約を締結してライセンスアウトを目標に研究を推進中。がん以外の疾患領域への事業拡張として新たな収益源の創出を目指す。

厚労省「全ゲノム解析等実行計画」の継続受注に加え、ロングリードシーケンス技術導入・解析工程自動化による処理能力向上を推進。保険診療下で実施可能な新規がん遺伝子パネル検査の開発に着手し、医療機器製造販売企業との提携も検討中。保険適用実現による市場拡大を目指す。

公立大学法人大阪・株式会社WOLVES HANDとのリキッドバイオプシー共同研究契約を締結し、イヌのがん再発モニタリング指標確立を目指したデータ収集を開始。ペットの高齢化・医療高度化による市場拡大が見込まれる獣医療分野への参入により新規収益源を開拓する。

塩野義製薬との既存提携の継続・深化に加え、新規提携先の積極的な開拓を推進。抗アミロイドβペプチド抗体を含む抗体医薬のライセンスアウト活動も強化。提携先が実施する臨床開発の側面支援・後方支援を通じて提携事業を確実に推進し、マイルストーン収入の獲得を目指す。

最終更新: 2026年7月19日