事業内容
オンコセラピー・サイエンスは2001年に東京大学医科学研究所との共同研究を起点に設立されたがん領域特化の研究開発型バイオベンチャーである。低分子医薬・がんペプチドワクチン・抗体医薬の3領域で創薬研究を展開し、塩野義製薬等の製薬企業へのライセンスアウトを主軸とする。
連結子会社CPM社を通じ、全ゲノムシーケンス解析・ネオアンチゲン解析・リキッドバイオプシー等のがん遺伝子解析受託サービスも提供。主要顧客は公益財団法人がん研究会(337百万円)、医療法人慈生会福岡がん総合クリニック(96百万円)等の医療・研究機関であり、厚生労働省の全ゲノム解析等実行計画にも参画している。
ビジネスモデル
収益は①製薬企業との提携契約に基づく契約一時金・マイルストーン・ロイヤリティと、②CPM社が担うがん遺伝子解析・免疫解析の受託サービス収入から構成される。2026年3月期の連結事業収益808百万円のうち、解析サービス収入が806百万円と大半を占め、ライセンス収入は2百万円にとどまる。
研究開発費534百万円を継続投下しながら、製薬企業との新規提携締結によるマイルストーン収入の獲得を中長期の収益拡大シナリオとして位置づけている。
企業の強み
2026年3月31日現在、全世界で455件の特許を取得。東京大学医科学研究所との共同研究で構築したcDNAマイクロアレイによる32,000遺伝子網羅解析システムを基盤に、低分子医薬・ペプチドワクチン・抗体医薬の各領域で独自の創薬ターゲットと化合物ライブラリを保有しており、競合が短期間で模倣困難な知的財産ポートフォリオを形成している。
塩野義製薬株式会社とはペプチドワクチンS-588410の食道がん第Ⅲ相臨床試験を含む複数の臨床試験を共同で実施。契約一時金・マイルストーン・ロイヤリティの段階的収益構造を持つ提携契約を締結済みであり、大手製薬企業との実績ある協業関係が新規提携交渉における信頼性の裏付けとなっている。
CPM社はCAP認定およびISO/IEC 27001:2022認証を取得し、品質・情報セキュリティ面での高い信頼性を確立。厚生労働省「全ゲノム解析等実行計画」の継続受注を獲得しており、2026年3月期のがんプレシジョン医療関連事業収益は806百万円(前期比7.9%増)と安定的な受注基盤を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の連結事業収益は808百万円(前期比7.8%増)と微増。CPM社の解析サービス収入が806百万円(前期比59百万円増)と牽引した一方、医薬品研究開発セグメントのライセンス収入は2百万円にとどまった。
営業損失は810百万円(前期797百万円)と若干拡大。研究開発費534百万円(前期491百万円)の増加が主因。
特別損失として減損損失63百万円(前期0.3百万円)を計上したことで、当期純損失は910百万円(前期815百万円)と悪化。過去5期の損失推移では2022期の2,572百万円から大幅に縮小しているが、2025期・2026期は800〜900百万円台で高止まりしており、損失縮小トレンドは一服している。
成長戦略
臨床開発進展とライセンスアウト拡大、CPM社の解析サービス多角化で収益基盤を強化
米国でトリプルネガティブ乳がんを含む乳がん患者を対象に経口投与による安全性・推奨投与量確認を主目的とした第Ⅰ相試験を継続実施。オーストラリアでの経口吸収性試験でヒトでの良好な経口吸収性が確認済み。臨床データ蓄積によるライセンスアウト機会の拡大を目指す。
自社化合物ライブラリ内で臓器線維症治療標的として有望なキナーゼ阻害化合物を確認し、NIBNとの共同研究契約を締結してライセンスアウトを目標に研究を推進中。がん以外の疾患領域への事業拡張として新たな収益源の創出を目指す。
厚労省「全ゲノム解析等実行計画」の継続受注に加え、ロングリードシーケンス技術導入・解析工程自動化による処理能力向上を推進。保険診療下で実施可能な新規がん遺伝子パネル検査の開発に着手し、医療機器製造販売企業との提携も検討中。保険適用実現による市場拡大を目指す。
公立大学法人大阪・株式会社WOLVES HANDとのリキッドバイオプシー共同研究契約を締結し、イヌのがん再発モニタリング指標確立を目指したデータ収集を開始。ペットの高齢化・医療高度化による市場拡大が見込まれる獣医療分野への参入により新規収益源を開拓する。
塩野義製薬との既存提携の継続・深化に加え、新規提携先の積極的な開拓を推進。抗アミロイドβペプチド抗体を含む抗体医薬のライセンスアウト活動も強化。提携先が実施する臨床開発の側面支援・後方支援を通じて提携事業を確実に推進し、マイルストーン収入の獲得を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

