事業内容
キッセイ薬品工業は1946年創業の長野県松本市を本拠とする創薬研究開発型製薬企業。医薬品事業を中核に、情報サービス(キッセイコムテック)、建設・施設メンテナンス(ハシバテクノス)、物品販売(キッセイ商事)の4セグメントを展開する。
医薬品事業では泌尿器科・腎透析科・希少疾病領域を重点領域とし、自社創製品と導入品を組み合わせた製品ポートフォリオを構築。国内販売に加え、創製品のライセンスアウトによる海外収益化も推進している。
2026年3月期の連結売上高は97,406百万円で、医薬品事業が全体の約80%を占める。東京証券取引所プライム市場上場。
ビジネスモデル
医薬品事業では、自社研究所(安曇野・上越)での低分子創薬と外部からの技術導入を組み合わせ、国内で製造・販売する。創製品はライセンスアウトにより欧州・アジア等のパートナーを通じて海外展開し、契約一時金・マイルストン・ロイヤルティを収受する。
非医薬品3セグメントは医薬品事業を補完しつつ、グループ内部需要(IT・建設)も取り込む内製型の収益構造を持つ。
企業の強み
タブネオス(顕微鏡的多発血管炎等)、コルスバ(透析そう痒症)、タバリス(慢性免疫性血小板減少症)の希少疾病用薬剤3品が2026年3月期に合計15,377百万円(前期比36.3%増)を達成。高薬価・競合少数の希少疾病領域への集中が収益の質を高めている。
リンザゴリクス(イセルティ)は英国セラメックス社、台湾シンモサバイオファーマ社、韓国JWファーマシューティカル社、カナダサーチライトファーマ社と計4件のライセンスアウト契約を締結。台湾・欧州では2026年3月に発売開始済みであり、自社創製品の国際展開実績を積み上げている。
2026年3月期末の自己資本比率は83.7%、純資産231,536百万円、現金及び現金同等物53,971百万円を保有。無借金に近い財務構造により、研究開発費22,521百万円(売上高比23.1%)の積極投資を継続しながら、自己株式取得・配当支払いも実施できる財務的余力を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期65,381百万円→2026期97,406百万円と5期連続増収を達成。2026期は情報サービス事業がGIGAスクール政策関連案件受注で63.0%増(14,237百万円)となり連結増収を牽引した。
一方、営業利益は2024期4,017百万円・2025期5,773百万円と改善基調にあったが、2026期は大型技術導入を含む研究開発費急増により販管費が48,745百万円に膨張し、営業損失2,927百万円に転落。外部要因として薬価改定(2025年4月中間年改定・2026年4月改定)が医薬品事業の収益性を圧迫。
純利益は投資有価証券売却益17,044百万円の計上により13,779百万円と増益を確保した。2027期は研究開発費の反動減と売上原価率改善により営業利益4,400百万円への黒字転換を予想するが、売上高は情報サービス事業の反動減等で95,700百万円(前期比1.8%減)と減収見込み。
成長戦略
「Beyond 80」で創薬研究開発型企業として5年間の持続的成長と株主還元300億円を推進
タブネオス・コルスバ・タバリスの継続育成に加え、2026年3月に国内新発売したイセルティ(リンザゴリクス、子宮筋腫適応)の売上拡大を図る。2027年3月期は医薬品事業での増収を計画。ただしタブネオスのFDA・EMA審査問題が計画達成の不確実性要因。
ライジェルファーマシューティカルズ社から技術導入した急性骨髄性白血病治療薬オルタシデニブは国内承認申請準備中。2026年5月にオリエントユーロファーマ社(台湾)へのサブライセンス契約を締結し、契約一時金・マイルストン収入の獲得が見込まれる。
Matsupexole(KDT-3594、パーキンソン病)は2026年3月に後期第Ⅱ相臨床試験で主要評価項目を達成。KSP-0914(バセドウ病)、KSP-0576(過活動膀胱/間質性膀胱炎)、KSP-0930(ナルコレプシー)の国内第Ⅰ相臨床試験を2026年3月期中に開始し、3品目を臨床段階に進めた。
配当性向40%以上・累進配当方針のもと、2026年3月期年間配当160円(創立80周年記念配当40円含む)、2027年3月期予想170円(記念配当40円含む)を計画。自己株式取得は毎年60億円目安で5年間300億円を計画し、2026年5月に上限1,300,000株・60億円の取得を決議。
2025年4月に米国マサチューセッツ州ボストンエリアに「Boston Open Innovation Office」を開設。ライフサイエンス集積地での情報収集・パートナリング活動を強化し、ビリジアンセラピューティクス社との甲状腺眼症治療薬2品目契約(2025年7月)のような大型技術導入の継続を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

