事業内容
株式会社ツムラは1893年創業、医療用漢方製剤の製造・販売を中核事業とする日本最大の漢方薬メーカーである。医療用漢方製剤129処方を保有し、国内医療機関向けに販売するほか、一般用漢方製剤(OTC)も展開する。
主要顧客は国内医療機関であり、アルフレッサHD・メディパルHD・スズケン・東邦HDの大手医薬品卸4社経由で売上高の約65%が流通する。中国では中国平安保険グループとの資本業務提携のもと、原料生薬・飲片(刻み生薬)の調達・販売から中成薬事業参入まで事業を拡大中。
米国ではTU-100(大建中湯)の医薬品承認取得を目指す。2026年3月期の連結売上高は192,615百万円。
ビジネスモデル
ツムラは生薬の栽培・調達(国内・中国・ラオス)から選別加工・製剤製造・物流・販売情報提供まで一貫した漢方バリューチェーンを自社グループ内で完結させる。国内では医療用漢方製剤を医薬品卸経由で医療機関に販売し、MRとe-プロモーションを融合したハイブリッド型情報提供活動で処方拡大を図る。
中国では原料生薬・飲片の外販と中成薬事業参入により収益源を多様化している。2026年3月期の営業利益率は18.3%。
企業の強み
国内保険適用の医療用漢方製剤129処方を全て保有・販売するのはツムラのみであり、競合他社が短期間で模倣困難な製品ポートフォリオを形成している。2026年3月期の医療用漢方製剤売上高は153,918百万円で、国内医療用漢方市場において圧倒的なシェアを維持している。
中国・ラオス・北海道(夕張ツムラ)での生薬栽培・調達拠点を自社グループ内に保有し、独自のGACPガイドラインと生薬トレーサビリティシステムを運用している。2026年3月期の有形固定資産取得額は32,780百万円に上り、生産能力増強への継続的な設備投資を実施している。
2017年に中国平安保険グループと資本業務提携を締結し、同グループの顧客基盤・医療ヘルスケア事業との協業体制を構築している。2026年3月期の中国事業売上高は前期比52.4%増の31,442百万円に拡大し、上海虹橋中薬飲片有限公司の連結化により事業基盤がさらに強化された。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期129,546百万円→2026期192,615百万円と5期で48.7%拡大。ただし利益面は2025期に薬価改定効果で営業利益が倍増(20,017→40,125百万円)した後、2026期は35,219百万円へ12.2%減少。
外部要因として感染症流行の早期収束による流通在庫高水準化と第4四半期の実売減少が出荷を押し下げた。内部要因として原料生薬の戦略的積み増し(棚卸資産増加額20,511百万円)と上海虹橋中薬飲片有限公司連結に伴う売上原価率・販管費率の上昇が重なり、営業利益率は22.2%→18.3%へ低下。
一方、実売数量は前期比2.0%増と需要の底堅さを示している。
成長戦略
国内漢方標準治療拡大と中国生薬・製剤プラットフォームの本格展開で持続成長を目指す
2025年4月11日に医療用漢方製剤129処方の限定出荷を全面解除。原料生薬在庫の戦略的積み増しと生産能力増強投資(2026年3月期有形固定資産取得32,780百万円)により、需要取り込みの基盤を整備。2027年3月期の国内医療用漢方製剤販売数量増加を主要な売上成長ドライバーと位置付けている。
e-プロモーションとMR活動を融合したハイブリッド型情報提供活動により、浮腫・頭痛・めまい・不安・不眠関連処方を中心に実売数量を拡大。2026年3月期の実売数量は前期比2.0%増。
Growing処方合計(五苓散・加味逍遙散・加味帰脾湯等)は25,346百万円(前期比4.0%増)と伸長。診療ガイドライン収載推進によるさらなる処方拡大を目指す。
2025年8月に上海虹橋中薬飲片有限公司(持分51%取得、取得原価23,837百万円)を連結化し、中国事業売上高は31,442百万円(前期比52.4%増)に拡大。2027年3月期は通期寄与により中国事業売上高46,000百万円を予想。原料生薬・飲片販売の拡大と中成薬事業展開を並行して推進する。
一般用漢方製剤等のヘルスケア製品は取り扱い店舗数の拡大により2026年3月期売上高6,206百万円(前期比17.4%増)と高成長。医療用漢方製剤で培ったブランド力・エビデンスをOTC市場に展開し、治療・未病・養生(予防)の各領域での健康貢献を目指す。
DOE3.6%水準を維持した配当政策を継続。2026年3月期年間配当金は147円(前期比11円増配)、2027年3月期予想は158円(配当性向45.4%予想)。2031年度にDOE5%を目指す中長期的な株主還元方針を明示しており、利益成長と純資産拡大を両立させながら増配を継続する方針。
最終更新: 2026年7月19日

