事業内容
持田製薬は1913年創業の東証プライム上場の医薬品メーカーで、医薬品関連事業(売上高の約93%)とヘルスケア事業(約7%)を展開する。医薬品関連事業では循環器、消化器、産婦人科、精神科を重点領域とし、トレプロスト(肺高血圧症)、ユリス(痛風・高尿酸血症)、リアルダ(潰瘍性大腸炎)、グーフィス(慢性便秘症)等の新薬を主力とする。
ヘルスケア事業では抗真菌シャンプー「コラージュフルフル」と基礎化粧品「コラージュリペア」の2大ブランドを展開。連結子会社6社・持分法適用関連会社1社で構成され、製造は子会社持田製薬工場㈱に委託する垂直統合型グループ体制をとる。
ビジネスモデル
国内外製薬企業からの技術導入を軸に新薬・バイオシミラーを開発・販売し、薬価改定リスクを分散する。製造は子会社に委託し、販売は医療機関向けMR活動と卸経由の流通網で展開。
主要卸4社(メディセオ24.1%、アルフレッサ15.5%、スズケン14.8%、東邦薬品8.8%)への依存度が高い。ヘルスケア事業は皮膚科・産婦人科医師の支持を基盤に消費者向け販売を行い、安定的な収益源を形成する。
企業の強み
2026年3月期において、トレプロスト(前期比+47%)、ユリス(+36%)、リアルダ(+11%)、グーフィス(+8%)と複数の主力新薬が同時に伸長し、特定品目への依存を抑制しながら医薬品関連事業売上高109,042百万円(前期比+11.3%)を達成した。薬価改定の影響を新薬の数量増で吸収できる製品構成が確立されている。
バイエル社(ジエノゲスト)、ユナイテッド・セラピューティクス社(トレプロスト)、武田ファーマシューティカルズ(リアルダ)、日本イーライリリー(オンボー)等、国内外の有力製薬企業との技術導入契約を複数保有。2025年度にはDuchesnay社(つわり治療剤)、LG Chem社(ディナゲスト韓国・タイ展開)等の新規契約も締結し、アライアンス基盤を継続拡充している。
2026年3月期末の純資産合計は140,326百万円、自己資本比率は76.8%と高水準を維持。設備投資1,812百万円は全額自己資金で賄い、25-27中期経営計画期間の研究開発費360億円・設備投資50〜100億円の計画を内部留保と借入の組み合わせで対応できる財務体力を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024期102,885百万円を底に回復し、2026期は116,951百万円と過去5期で2022期(110,179百万円)を超える水準に到達。営業利益は2024期5,802百万円の低点から10,147百万円へ回復したが、2022期ピーク(14,392百万円)にはなお届かない。
増収の主因は新薬群の伸長(トレプロスト+47%、ユリス+36%等)であり、外部環境として毎年度薬価改定・長期収載品の選定療養制度(2024年10月導入)という逆風が続く中での達成。アンドファーマ㈱の持分法適用関連会社化により持分法投資利益793百万円が新規計上され経常利益を押し上げた。
一方、売上原価率が上昇(前期48.9%→当期51.9%)しており、売上総利益率の改善が今後の課題。2027年3月期は売上高126,000百万円(+7.7%)、営業利益10,500百万円(+3.5%)、当期純利益10,000百万円(+26.5%)を予想。
成長戦略
25-27中計「成長戦略加速の3年間」でコア収益強化と次世代事業投資を両輪推進。
グーフィス・ユリス・トレプロスト・オンボー・コレチメント等の新薬が業績をけん引。2027年3月期もこれら新薬の継続成長を見込む。フラッグシップ医薬品「エパデール」「ジエノゲスト」の市場浸透深化も並行推進。
トシリズマブBS「MA」(関節リウマチ等)が2026年3月に承認取得。「イコサペント酸エチル『モチダ』」が2025年12月に発売開始。後発品全体の売上高は前期比+12%(351億円相当)と拡大中。2027年3月期は+22%(427億円相当)を見込む。
ユナイテッド・セラピューティクス社から導入したトレプロスチニル吸入粉末剤。2026年4月に製造販売承認申請を実施。承認取得後は既存の「トレプロスト」と合わせた肺高血圧症領域での製品ラインアップ強化が期待される。
軟骨修復材「モチジェル」が2025年7月に承認取得・同年12月に発売開始。海綿体神経損傷治療材「dMD-002」は国内検証的治験段階、米国では2026年2月にFDAへ探索的治験申請・受理済み。癒着防止材「dMD-003」も検証的治験段階。次世代の柱として育成中。
ユリス製造販売承認承継(富士薬品との契約、2026年3月)、ディナゲスト韓国・タイ展開(LG Chem契約)、Bonjesta日本開発・販売契約(Duchesnay社)、ホリトロピンアルファBSの日本開発・販売契約(Qilu Pharmaceutical)等、複数のアライアンスを締結。アンドファーマ㈱の持分法適用関連会社化により持分法投資利益793百万円を計上。
siRNA医薬の創薬研究に集中投資。細胞医薬HLC-001(造血幹細胞移植後の非感染性肺合併症)は臨床第Ⅲ相試験の治験届を2026年1月に提出。研究開発費は2027年3月期に14,500百万円(売上高比11.5%)へ増加予定。将来の競争力強化に向けた先行投資フェーズ。
最終更新: 2026年7月19日

