小野薬品工業株式会社 logo

小野薬品工業株式会社

4528東証プライム医薬品

小野薬品工業株式会社 logo
小野薬品工業株式会社4528

事業内容

小野薬品工業は1717年創業の老舗製薬企業で、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」を企業理念に掲げる研究開発型医薬品企業。医療用医薬品の研究開発・製造・販売を単一事業として展開し、がん・免疫・炎症・神経領域を重点領域に定める。

国内では抗PD-1抗体「オプジーボ」を中心に複数の主力製品を展開し、2024年に米国Deciphera Pharmaceuticals社を買収することで米欧の販売基盤を獲得。当社および子会社28社で構成され、日本・韓国・台湾・米国・英国に事業拠点を持つ。

売上収益515,785百万円(2026年3月期)を計上するグローバル展開を加速中の製薬企業。

ビジネスモデル

収益は「製品商品売上」と「ロイヤルティ・その他」に大別される。国内製品売上はオプジーボ等の主力品が中心で2026年3月期に281,400百万円規模。

海外製品売上はDeciphera社のキンロック・ロンビムザが牽引し61,200百万円。ロイヤルティ収入はBMS社・メルク社・ロシュ社等への抗PD-1/PD-L1抗体特許ライセンスから173,200百万円を得る構造で、研究開発費147,093百万円を投じて次世代パイプラインを継続的に創出する。

企業の強み

BMS社・メルク社・ロシュ社・インサイト社・リジェネロン社等との技術導出契約により、抗PD-1/PD-L1抗体特許に係るロイヤルティ収入を継続的に獲得。2026年3月期のロイヤルティ・その他収入は前期比10.9%増の173,200百万円規模に達し、売上収益の約33%を占める高収益源となっている。

2026年3月期時点で臨床開発段階の新薬候補が28品目あり、うち19品目が自社創製品。がん・免疫・炎症・神経領域を重点領域に、ONO-8531(povetacicept)のIgA腎症フェーズⅢ試験、ONO-2017(セノバメート)の国内承認申請など後期パイプラインが充実。

Deciphera社の米欧開発基盤も活用し、グローバル開発を加速している。

2024年6月に米国Deciphera Pharmaceuticals社を買収し、米欧の販売基盤を獲得。キンロック(消化管間質腫瘍)の海外売上は前期比50.6%増の38,400百万円、ロンビムザ(TGCT)は欧州承認取得済みで8,300百万円を計上。

海外製品売上全体は前期比56.5%増の61,200百万円と急拡大しており、グローバル事業の実績基盤が形成されつつある。

エンヴァリスの着眼点

アストラゼネカ社との「フォシーガ錠」共同販売契約終了により、2027年3月期の製品商品売上は前期比21.2%減の270,000百万円相当が見込まれる。売上収益予想は455,000百万円(前期比11.8%減)と大幅減収が避けられない。

一方、コア営業利益は売上原価・販管費の連動減少により124,000百万円(同9.6%減)にとどまる見通しで、利益の下落幅は売上ほど大きくない点は評価できる。

2026年3月期のIFRS営業利益は92,236百万円(前期比54.4%増)と大幅回復したが、前期にはフォシーガ販売達成マイルストン13,600百万円の費用計上があり比較ベースが低い。当期も無形資産償却費25,600百万円・その他費用12,012百万円(販売権譲渡差額・退職給付制度改定損・自主回収損失等)が発生しており、コアベースとフルベースの乖離(コア営業利益137,135百万円 vs IFRS営業利益92,236百万円)が大きい。

実力収益力の評価にはコアベースの推移を重視すべきである。

当期は胃がん・膀胱がんのオプジーボフェーズⅢ試験中止、ONO-7018・ONO-7475・DCC-3116・DCC-3084・ONO-4578(乳がん)・ONO-7913など複数品目の開発中止が相次いだ。一方でベレキシブル錠の米国承認申請、ONO-8531のフェーズⅢ進行、QINLOCKの国内承認申請など後期パイプラインの進展も確認できる。

研究開発費は売上比30%超の高水準を維持する方針であり、開発成否が中長期の株主価値を左右する最重要変数である。

成長戦略

製品価値最大化・パイプライン強化・グローバル自販拡大・新領域開拓の4軸を推進

肝細胞がん・MSI-H/dMMR結腸直腸がん等の新規承認取得を通じ使用患者数を拡大。BMS社・メルク社からのロイヤルティ収入は2027年3月期に185,000百万円(前期比6.8%増)を予想し、収益の安定柱として機能させる。

消化管間質腫瘍治療剤キンロックと腱滑膜巨細胞腫治療剤ロンビムザの処方拡大を推進。ロンビムザは2025年9月に欧州承認取得済み。QINLOCKの国内承認申請(2026年3月)も完了し、日本市場への展開も視野に入る。

ベレキシブル錠(BTK阻害剤)の米国承認申請(再発・難治性中枢神経系原発リンパ腫、2025年12月)、ONO-8531(povetacicept)のIgA腎症・膜性腎症フェーズⅢ進行、ONO-2017(セノバメート)の国内承認申請を推進。Deciphera社の米欧開発機能を活用した国際共同試験を加速する。

2027年3月期も研究開発費143,000百万円(売上比30%超)を維持し、sapablursen・ONO-4578等のグローバル試験を実施。オープンイノベーション・ライセンス活動(Vertex社、生化学工業等)を通じた有望候補の導入も継続する。

最終更新: 2026年7月19日