事業内容
科研製薬グループは、医薬品・医療機器・農業薬品の製造販売を担う薬業セグメントと、文京グリーンコートを核とする不動産事業セグメントの2事業で構成される。薬業では皮膚科・整形外科領域を主戦場とし、自社創薬に加えて国内外からの積極的なライセンス導入により製品ラインアップを拡充している。
農業薬品では微生物由来天然物質農薬「ポリオキシン」を主力に展開。連結子会社4社(科研ファルマ、アーサム、KAKEN INVESTMENTS、アーディ社)を含むグループ体制で、国内販売網と海外ライセンス導出の両輪で事業を推進している。
主要顧客は医療機関・医療関係者であり、卸売業者(アルフレッサ、メディセオ、スズケン)を通じた流通が中心。
ビジネスモデル
収益の主軸は国内医薬品・医療機器の販売であり、皮膚科・整形外科領域での専門MR網を通じて医療機関へ製品を提供する。これに加え、自社創薬品の海外ライセンス導出(「Jublia」の北米・欧州・アジア、「エクロック」の韓国等)による契約一時金・マイルストン・ロイヤリティ収入が収益を補完する。
不動産事業(文京グリーンコート賃貸)は薬業の業績変動に依存しない安定収益源として機能している。研究開発費は売上高の約27%(20,585百万円)に達し、パイプライン充実への積極投資が特徴。
企業の強み
2026年3月期末時点で、技術導入・販売導入・コ・プロモーション合わせて20件超の有効契約を保有。「エクテリー」「gMSC1」「ナベニバルト」「NM81」等を新規導入し、KP-001・KARの2026年度上期中承認申請予定を含む充実したパイプラインを構築している。
国内外の企業・研究機関との戦略的提携により、自社研究力を補完する体制が整っている。
「Jublia(クレナフィン)」は北米(ボシュ・ヘルス社)、韓国(東亞ST社)、中国・香港・マカオ、欧州(アルミラル社)へ導出済みで、2026年3月期にはドイツで製造販売承認取得(欧州2か国目)。「エクロック」は韓国で発売開始。
「KP-723」はジョンソン・エンド・ジョンソン社へ全世界導出を実現しており、グローバルな知財収益化の実績を有する。
2026年3月期末の自己資本比率は82.8%、現金及び現金同等物は50,705百万円、流動比率は452.1%と財務健全性は極めて高い。無借金経営に近い財務構造により、研究開発費20,585百万円・設備投資3,684百万円を自己資金で賄いつつ、追加的なM&A・導入投資余力も確保している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024期72,044百万円→2025期94,035百万円(+30.5%)→2026期76,871百万円(△18.3%)と急激に振れた。2025期の急増はライセンス契約一時金(NM26・STAT6阻害剤)が主因であり、2026期はその反動で海外売上高が51.7%減少。
売上原価は36,879百万円と前期比3.9%増加した一方、研究開発費が20,585百万円(前期比9.9%増)に拡大し、販売費及び一般管理費合計が40,891百万円と売上総利益39,991百万円を上回り営業損失899百万円となった。当期純利益2,144百万円(前期比84.6%減)は固定資産売却益1,366百万円・投資有価証券売却益2,016百万円の特別利益と繰延税金資産の取崩しによる税効果(法人税等調整額△1,896百万円)に支えられたものである。
営業キャッシュ・フローは△11,079百万円と前期の29,780百万円から大幅悪化し、主因は前期計上した大型ライセンス収入に係る法人税等の支払(10,654百万円)であった。
成長戦略
研究開発・海外展開・経営基盤の3 Transformationで2031年度売上高100,000百万円をめざす
難治性脈管奇形治療剤KP-001および既存治療効果不十分なアタマジラミ症治療剤KARがいずれも国内第Ⅲ相試験で主要評価項目を達成。2026年度上期中の製造販売承認申請を予定しており、承認取得後の国内販売開始が中期収益の柱となることが期待される。
「エクテリー」(遺伝性血管性浮腫)は国内販売開始済み。「ESK-001」(皮膚科領域)はアルミス社が第Ⅲ相結果を発表し国内承認準備中。「ナベニバルト」・「gMSC1」・「シルクエラスチン創傷用シート」も各フェーズで進捗しており、製品ラインアップの多様化が進む。
「Jublia(クレナフィン)」のドイツ承認取得(欧州2か国目)、「エクロック」の韓国発売、ニューマブ社との「NM81」戦略的ライセンス及び共同開発契約締結によるアジア地域での販売権取得など、海外収益基盤の多様化を推進。マイルストン達成に伴う一時金が2027年3月期業績予想の主要増収要因として織り込まれている。
2026年3月期の研究開発費は20,585百万円(前期比9.9%増)と過去最高水準を更新。2025年4月の長期経営計画見直しでは画期的・革新的新薬の継続的上市のための戦略投資金額の増額を明示。短期利益を圧迫するが、パイプライン価値の蓄積を優先する方針を継続している。
2026年3月期の年間配当は190円(前期と同額)を維持。配当性向は335.9%と純利益を大幅に上回る水準となった。
2027年3月期も190円配当を予想(配当性向110.7%)。自己株式取得(2026年3月期2,343百万円)・消却(1,800,000株)も実施し、長期経営計画見直しで株主還元強化を明示した。
最終更新: 2026年7月19日

