事業内容
中外製薬は1925年創業、2002年にロシュ・ホールディングを親会社とする戦略的アライアンスを締結した研究開発型製薬企業。医薬品事業の単一セグメントで、国内ではオンコロジー・スペシャリティ領域を中心に製品を販売し、海外ではロシュのグローバルネットワークを通じてヘムライブラ・アクテムラ等の自社創製品を輸出する。
2025年12月期の売上収益は1,257,941百万円、Core営業利益率は49.5%に達し、国内製薬企業トップクラスの収益性を誇る。子会社15社・親会社子会社2社を含む企業集団を形成し、欧州・米国・アジアに研究開発・販売拠点を展開している。
ビジネスモデル
国内ではロシュの開発候補品に対する第一選択権を活用し、ロシュ品を独占的に販売することで安定収益基盤を確保。一方、自社創製品(ヘムライブラ・アクテムラ等)はロシュに海外権利を付与し、輸出売上・ロイヤルティ・プロフィットシェアを受領する。
2025年12月期の海外製商品売上高は605,400百万円(前期比12.8%増)、その他売上収益(ロイヤルティ等)は180,100百万円(同4.3%増)。研究開発費は売上収益の14.3%を投じ、イノベーション創出に経営資源を集中する高収益モデルを実現している。
企業の強み
アクテムラ、アレセンサ、ヘムライブラ、エンスプリング、ネモリズマブなど6品目・9プロジェクトがFDAの「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)」に指定されており、自社創薬力の高さが国際的に評価されている。中分子など新モダリティへの挑戦も進行中。
2025年12月期のCore当期利益は451,000百万円(前期比13.6%増)で9期連続増益を達成。Core営業利益率は49.5%、Core ROICは43.9%(前年比1.0ポイント増)と、国内製薬業界トップクラスの収益効率を維持している。
2001年締結のアライアンス基本契約に基づき、ロシュ品の国内独占販売権と自社品の海外展開プラットフォームを同時に確保。2025年12月期のロシュ向け販売高は724,053百万円(売上収益比57.6%)に達し、グローバル展開を低コストで実現する独自ビジネスモデルを構築している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上収益は2021期999,759百万円から2025期1,257,941百万円へ5期で25.8%増加し、2026年第1四半期(321,747百万円、前年同期比11.5%増)は通期予想1,345,000百万円に対し進捗率23.9%と計画通り。Core営業利益は2026年第1四半期163,270百万円(前年同期比17.1%増)と利益成長が売上成長を上回る。
外部要因として円安が海外輸出採算を押し上げており、製商品原価率は31.7%(前年同期比2.0ポイント改善)と改善が続く。フリー・キャッシュ・フローは112,200百万円相当(前年同期比162.8%増)と大幅改善。
一方、2026年第1四半期に配当支払241,990百万円(創業100周年記念配当の期末分)が実施されたため、ネット現金は129,600百万円相当減少した。
成長戦略
「TOP I 2030」のもとR&Dアウトプット倍増・自社グローバル品毎年上市を目指す5つの改革
バビースモ(スペシャリティ領域前年同期比11.6%増)、ポライビー・フェスゴ(オンコロジー領域前年同期比4.9%増)の継続成長に加え、ルンスミオの大細胞型B細胞リンパ腫への適応拡大(2026年3月承認)とエレビジス(デュシェンヌ型筋ジストロフィー、2026年2月発売)による新規収益源の創出を推進。
ヘムライブラのロシュ向け輸出およびNEMLUVIOのガルデルマ向け輸出が大幅増加し、2026年第1四半期海外製商品売上高は180,148百万円(前年同期比14.9%増)。NEMLUVIOに関するロイヤルティ収入も増加しており、その他売上収益は30,170百万円(前年同期比5.2%増)に拡大。
KRAS G12C阻害剤RG6330(非小細胞肺がん一次治療・2026年1月第Ⅲ相国際共同治験開始)、PI3Kα阻害剤RG6114(乳がん・2026年2月・3月に第Ⅲ相国際共同治験開始)など有望品への開発資源集中を実施。研究開発費は41,887百万円(売上収益比13.0%)を維持。
GYM329(脊髄性筋萎縮症・顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)の開発中止、テセントリクの肝細胞がん二次治療開発中止、エンスプリングのDMD開発中止(ロシュ判断)など、成功確率の低い開発プロジェクトを整理し、有望品への資源集中を図る。
2026年通期配当予想は年間132円(Core配当性向44.7%)。2025年通期は創業100周年記念配当150円を含む年間272円を実施。ネット現金850,100百万円相当を保持しつつ、Core配当性向を指標とした安定的な株主還元を継続する方針。
最終更新: 2026年7月17日

