グローバル成長戦略の不確実性
感染症・QOL疾患・希少疾患領域を中心としたグローバル成長戦略が計画通りに進捗しない場合、将来の収益成長が実現しない可能性がある。HIV・AMR領域での競争環境変化、米国医薬関連政策によるエダラボン事業への影響、HaaSソリューションの社会実装遅延等が主なリスク要因として挙げられる。対応として、ViiV Healthcareへの増資継続、PMIの着実な推進、欧米を中心としたグローバル開発・販売体制の整備を進めている。
パイプライン拡充の停滞リスク
希少疾患・HIV・QOL疾患領域における研究開発パイプラインの戦略的連結が不十分な場合、中長期的な競争優位性の構築が困難となる。外部連携や研究体制強化が期待した成果に結びつかず、既存技術の陳腐化により魅力あるパイプライン形成が停滞するリスクがある。Shionogi Qpex lab.を含む感染症研究体制の強化、アカデミア・ベンチャー・政府機関との連携推進、新規モダリティへの挑戦により対応している。
M&A統合(PMI)リスク
鳥居薬品・JT医薬事業・エダラボン事業等の買収に伴うPMIが計画通りに進まない場合、期待した事業価値やシナジーが創出できないリスクがある。組織拡大に伴い多様な価値観・文化を持つ人材の融合が重要課題となっており、統合の遅れは事業成長の停滞につながる可能性がある。継続的なエンゲージメントサーベイの実施、社内コミュニケーションの活性化、PMIの着実な推進により対応している。
人的資本マネジメントの機能不全
M&A等による組織拡大の中で従業員エンゲージメントが低下し、コア人材の育成・確保が進まない場合、事業戦略の実行力が低下し将来の競争優位性が損なわれる可能性がある。優秀な人材の流出や挑戦を避ける風土の定着が、変化への適応力喪失につながるリスクも認識されている。専門性深化と領域横断的経験の両立を目的とした人材配置・育成施策、挑戦を評価する人事制度の運用により対応している。
DX変革の停滞リスク
AIやIT活用が個別業務の効率化にとどまり、業務プロセス全体の変革や意思決定の高度化につながらない場合、SHIONOGIの業績のみならず企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性がある。DX推進人材・デジタルケイパビリティの不足やグローバル統一IT基盤の整備遅延が変革を停滞させるリスクがある。グローバルIT基盤の構築、AI創薬の実践、デジタルコア人材育成施策の実施により対応している。
地政学・地経学的リスク
各国・地域における政治・経済情勢の急激な変化や地政学的緊張の高まりにより、投資規制・経済制裁・通商政策変更等が生じ、研究開発・製造・物流・販売等の事業活動が制約される可能性がある。物流混乱や供給網の分断により医薬品の安定供給や患者へのアクセス確保に支障を来すリスクも存在する。継続的な政治・経済・地政学動向のモニタリング、事業計画の柔軟な見直し、グローバル事業運営体制の強靭化により対応している。
品質・製品安全リスク
品質不良やロット不適、予期せぬ副作用・不具合の発生、副作用報告の漏れ・遅延等が生じた場合、出荷停止・回収・行政処分による業務停止、健康被害に関する損害賠償訴訟の提起、業績・レピュテーションへの重大な影響が想定される。GMP・ICHガイドライン等の薬事関連法規に準拠した厳格な品質管理体制のもと製造・委託製造を行っているが、世界的に審査基準が未策定な分野も存在する。SHIONOGIグループ品質ポリシーの制定・推進、Quality Cultureの醸成、製造所監査等の管理監督活動により対応している。
ITセキュリティ・情報漏洩リスク
日本企業を標的としたサイバー攻撃の増加・高度化を背景に、基幹システム停止や個人情報を含む機密情報の流出が発生した場合、事業継続困難・損害賠償・社会的信頼の低下等の重大な影響が生じる可能性がある。医薬品は社会インフラであり、供給停止は患者・医療現場に直結するリスクとして認識されている。グループ全体でのネットワーク体制強化、IT-BCP体制の強化、グローバルセキュリティアセスメントに基づく継続的な情報セキュリティ管理体制の強化により対応している。
薬価・制度規制リスク
米国インフレ抑制法(IRA)・最恵国待遇政策(MFN)等による薬剤費抑制圧力の強化や、日本における毎年の薬価改定・医療保険制度改革により、医薬品の売上高・利益が減少し、医療用医薬品事業の予見性が低下する可能性がある。各国政権変化に伴う政策・国際関係の変動も注視が必要であり、創出したイノベーションの価値と乖離した薬価算定リスクも存在する。業界団体活動を通じたイノベーション価値の訴求、エビデンス構築、薬価制度・規制に関する最新情報の迅速な入手と対処により対応している。
グローバルサプライチェーン途絶リスク
自然災害・パンデミック・米国バイオセキュア法の成立・地政学的緊張の高まり等により、原材料・製商品のサプライチェーン環境の不確実性が増大しており、工場の操業停止・原材料調達困難・医薬品の安定供給への重大な影響が想定される。過剰在庫の積み上げや調達コストの急激な上昇は収益性・資本効率にも影響を及ぼすため、安定供給確保とコストコントロールの両立が重要課題となっている。原材料調達先の分散(地政学的リスクの高い原材料のセカンドベンダー選定)、BCP品目の設定、サプライヤーへのデューディリジェンス・監査の実施により対応している。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

