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株式会社ダイセル

4202東証プライム化学

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株式会社ダイセル4202

事業内容

株式会社ダイセルは1919年創立の総合化学メーカーで、子会社58社・関連会社11社を擁するグループを形成する。事業はメディカル・ヘルスケア(光学異性体分離カラム・健康食品素材)、スマート(電子材料・高機能フィルム)、セイフティ(自動車エアバッグ用インフレータ)、マテリアル(酢酸・酢酸セルロース・アセテート・トウ)、エンジニアリングプラスチック(ポリアセタール・LCP・PBT樹脂)の5セグメントで構成される。

主要顧客は自動車メーカー、半導体・電子部品メーカー、製薬企業、化粧品メーカー等にわたり、グローバルに製造・販売拠点を展開する。2026年4月にはポリプラスチックス㈱の全事業を吸収分割し、エンジニアリングプラスチック事業のグループ一体化を完了した。

ビジネスモデル

各セグメントで製造設備を保有し、自社製品を国内外の産業顧客に直接販売する製造販売モデルが基本である。エンジニアリングプラスチック事業(売上高254,718百万円)とマテリアル事業(161,324百万円)が収益の主柱を担い、セイフティ事業(104,164百万円)が安定的な数量需要を提供する。

光学異性体分離カラムでは技術サービスを付帯し、付加価値を高める。研究開発費25,559百万円を投じ、新素材・新用途開発による高付加価値製品へのシフトを継続的に推進している。

企業の強み

ダイセル・セイフティ・システムズ㈱を中核に、米国・タイ・ポーランド・中国・インドに製造拠点を展開し、2026年3月期のセイフティ事業売上高は104,164百万円(前期比6.7%増)、営業利益は6,095百万円(同55.0%増)を達成した。中国・インド・ASEANでの販売数量増加と北米拠点の生産性改善が実績として確認されている。

Chiral Technologies, Inc.(米国)、Chiral Technologies Europe S.A.S.(仏)、中国・インド拠点を通じたグローバル販売網を構築し、2026年3月期のメディカル・ヘルスケア事業売上高は16,227百万円(前期比12.4%増)を達成した。新規製品の継続開発とテクニカルサービス強化により高い競争力を維持していると有報に記載されている。

2020年10月にポリプラスチックス㈱を完全子会社化し、2026年4月に吸収分割によりグループ一体化を完了した。2026年3月期のエンジニアリングプラスチック事業売上高は254,718百万円とグループ最大セグメントを形成し、海外5拠点のテクニカルソリューションセンターを活用したグローバル技術サービス体制を有する。

エンヴァリスの着眼点

2026年3月期の親会社株主帰属当期純利益は10,180百万円と前期比79.4%減。主因はTOPAS Advanced Polymers GmbH(ドイツ)のCOC樹脂第2プラント建設プロジェクトにおける減損損失32,425百万円(エンジニアリングプラスチック事業)の計上。

需要拡大の後ろ倒しと投資額増加が重なった構造的な問題であり、大型設備投資の収益性評価プロセスに対する投資家の懸念が高まっている。前期のスマート事業・エンプラ事業に続き2期連続で大型減損が発生しており、投資規律の観点から注視が必要。

マテリアル事業の2026年3月期営業利益は14,953百万円と前期比49.5%減。酢酸ビニル・高純度テレフタル酸の需要低調による市況低下、アセテート・トウの在庫調整・為替影響、酢酸セルロースの中国市場での需要減少が重なった。

外部要因として中国景気の弱さや市況低迷が継続しており、一酸化炭素製造設備の安定稼働(2027年3月期中に対策実施予定)が実現するまで本格回復は見通しにくい状況。

2027年3月期の連結業績予想は売上高595,000百万円(前期比2.7%増)、営業利益42,500百万円(同1.0%増)、親会社株主帰属当期純利益32,000百万円(同214.3%増)。純利益の大幅増は前期の減損損失一巡によるものであり、実力ベースの収益改善は限定的。

アセテート・トウのローカルマーケット競争激化・パルプ価格上昇、政策保有株式売却に伴う受取配当金減少・持分法投資利益減少が経常利益の重荷となる見通し。為替前提150円/US$、ドバイ原油70US$/bblを想定しており、外部環境変化による下振れリスクに留意が必要。

成長戦略

DAICEL VISION 4.0とAccelerate 2025に基づく事業再編・集中投資

2026年4月1日付でポリプラスチックスの全事業(子会社・関連会社株式の保有管理事業を除く)を吸収分割により承継。テクニカルサービスノウハウの共有、セイフティ・マテリアル事業との連携強化、コーポレート機能効率化によるシナジー創出を目指す。

連結財務諸表上は内部取引として相殺消去されるため損益への直接影響はない。

ドイツTAPG社の第2工場建設プロジェクトは稼働時期の見直しと投資額増加が発生。環境対応包装分野の需要伸長が当初想定より後ろ倒しとなったことを受け事業計画を見直し、32,425百万円の減損損失を計上。

将来キャッシュフローを割引率9.8%で算出した使用価値により回収可能価額を測定しており、需要回復時期の見極めが今後の焦点となる。

マテリアル事業の酢酸・酢酸誘導品の安定供給に不可欠な一酸化炭素製造設備について、2027年3月期中に計画している対策を確実に実施し安定運転のための基盤強化を図る。前期のプラントトラブルによる販売調整の再発防止が目的であり、マテリアル事業の収益正常化に向けた重要施策。

自動車エアバッグ用インフレータについてインド・ASEAN市場での拡販を継続し、2026年3月期は販売数量増加・北米拠点の生産性改善により営業利益が前期比55.0%増と大幅改善。一方、米中関税問題によるDSSA社の中国向け販売減少リスクが顕在化しており、地域分散と製品多様化(EV向け電流遮断器等)による収益安定化が課題。

2024年度よりDOE(株主資本配当率)4%以上を配当目標として導入。2026年3月期は年間配当60円(配当性向154.8%、DOE4.4%)を維持。

自己株式取得は2025年11月〜2026年3月に約1,009万株・約13,753百万円を実施し、当期株主還元性向は288.6%。2027年3月期の配当予想は新中期戦略と併せて2026年5月22日に公表予定。

最終更新: 2026年7月19日