サイバーセキュリティ
研究開発・製造・販売に関わる重要情報システムをグローバル多拠点で運用しており、患者情報・研究開発データ・製造ノウハウ等の機密データを保有する。ランサムウェアや標的型攻撃の高度化により、システム停止・情報漏えいが発生した場合、事業継続不能・法令違反・制裁金・訴訟・社会的信用失墜・競争力喪失等の重大な損失が生じ得る。対策として全地域での常勤監視体制・MSSP活用・年次ペネトレーションテスト・TPRM評価を実施し、今後はグローバルセキュリティオペレーションモデルの構築とOTセキュリティ強化を計画している。
製品の安定供給・品質
バイオ医薬品を含む多様なモダリティの製品・治験薬を国内外に供給しているが、製造・品質トラブル・原材料調達不安・自然災害・地政学リスク・システム障害等が供給に重大な影響を及ぼす恐れがある。重要品目で供給不足や出荷制限が発生した場合、患者への治療継続困難・社会的信用失墜・売上減少・罰則・訴訟等の経済的損失が生じる。対策として適正在庫確保・高崎工場HB7棟およびサンフォード工場の整備・重要製品のデュアルソーシング体制構築・CDMO管理強化を実施し、今後はDX活用によるオペレーション改革を計画している。
ビジネスパートナーリスク
原材料・委託製造・流通等の重要な事業プロセスを多数のビジネスパートナーに依存しており、人権・環境問題・贈収賄・情報セキュリティ侵害・規制違反等のリスクが管理体制不備により顕在化しやすい。インシデント発生時には事業継続困難・罰金・制裁金・社会的信用失墜・金銭的損失に加え、突発対応への膨大なリソース投入が必要となる。対策として各リージョンでのデュー・デリジェンス実施・PSCI加盟・グループ全体の基本方針策定を進め、今後はSAQ実施・高リスクパートナーへのモニタリング徹底・グローバル一元管理を計画している。
プロダクトポートフォリオ
研究開発から上市までの開発品・製品ポートフォリオは持続的成長の基盤であるが、後期開発品への投資拡大・初期パイプライン偏在・パートナリング交渉難航等により将来の売上・利益の均衡が崩れる恐れがある。短・中・長期視点での不十分な議論や財務観点との整合性欠如は、投資判断誤り・開発停滞・株価下落・中長期的収益性悪化・機会損失につながる。対策としてグローバル経営戦略会議でのポートフォリオ分析(売上・利益予測・感度分析・シナリオ別成長予測)を定期実施し、今後は四半期ごとのプロダクトポートフォリオマネジメント会議を設置する。
企業文化・人材ポートフォリオ
急速に変化する製薬業界において高度な専門性・多様性・機動性を備えた人材確保が必須であるが、ケイパビリティギャップの是正遅延・企業文化醸成不足・Total Rewardの競争力不足等により優秀人材の採用・定着が困難となり、イノベーション停滞・競争力低下・グローバル戦略遂行の障害となる恐れがある。グローバル×ローカルの一貫した人材戦略の欠如や戦略人材パイプライン構築の遅れが長期的な人材流出につながる。対策としてGlobal Succession Planning導入・KABEGOE Principlesの浸透・Virtual Global Sub-functionの設置を進め、今後はPeople Leaderへの期待役割明確化・Total Reward Policy再設計を計画している。
市場アクセス・薬価規制
医療費高騰・薬価抑制圧力・費用対効果評価(HTA)重視の潮流により、医薬品の保険償還や価格設定が厳格化しており、開発初期から市場アクセス戦略を組み込む仕組みが不足すると上市後の価格・アクセス条件が不利となり収益性・成長性が著しく低下する。欧州HTA基準を満たす試験設計・費用対効果評価対応体制・国ごとの価格交渉文化への柔軟対応力が不足した場合、製品へのアクセスが遅延・制限されるリスクがある。対策として開発初期段階からTarget Product Profileに価値最大化戦略を組み込み、欧州共同臨床評価(JCA)への計画的対応・費用対効果評価対応の体制・人材育成を推進している。
日本市場の持続的成長
日本事業の中核を担う長期収載品に関する製品ライフサイクル戦略の実効が遅延した場合、ポートフォリオ改善が困難となり高コスト構造が固定化する可能性がある。新製品の自社開発や国内導入が計画どおり進まない場合、日本市場における競争力が低下しグループ全体の収益に影響を及ぼすほか、新薬上市計画の遅延により目標利益を大きく下回る可能性がある。対策として日本市場向けプレローンチチーム(JP Pre-launch Team)の設置・機能横断型タスクフォースの編成・法務デュー・デリジェンスの実施を進め、今後はマイルストン進捗のモニタリング精度向上を図る。
デジタル戦略・DX推進
2021年に「デジタルビジョン2030」を策定しDXを推進しているが、各部門・リージョンでの取組みが全体最適化の視点では不十分であり、全社レベルでのOperational Transformation効果(生産性向上・迅速意思決定・パイプライン加速等)が十分に発揮されない恐れがある。DXやAI等に関する専門人材・変革型リーダーの不足やIT/デジタル投資のガバナンス体制の未整備が、期待される価値創出の障害となり得る。対策として2025年4月にCDXOを設置・ODX(Operational and Digital Transformation)を新設し、DXを軸とした業務改革の加速と投資ガバナンス体制の整備を進めている。
遺伝子細胞治療事業の成長
2024年にOrchard Therapeutics社を買収し造血幹細胞遺伝子治療プラットフォームを取得したが、事業統合後の戦略策定や組織ガバナンス体制の構築が計画どおりに進まない場合、期待するグループシナジーを十分に発揮できない可能性がある。また、遺伝子細胞治療領域における事業環境変化や各国規制変更への対応が不十分な場合、上市済み製品の販売促進や革新的開発品の創出が停滞し「Vision 2030 and Beyond」の達成に影響を及ぼすおそれがある。対策としてOTL-200(Libmeldy/Lenmeldy)の地域拡大・OTL-203/OTL-201の開発推進・両社共同ガバナンス会議の整備・専門人材育成を推進している。
米国政策・関税リスク
米国政権の政策変更(関税・薬価規制等)が当社グループに直接的影響を及ぼすリスクがあり、薬価最恵国待遇(MFN Drug Pricing)政策の法制化により米国での価格引下げや他国薬価設定への波及が避けられない可能性がある。医薬品への高関税導入は米国向け製造戦略に大きな損害を与えるほか、価格転嫁は政治的リスクを伴う。対策として米国関税タスクフォースを設置し生産・SCM・財務・法務・渉外等の機能横断連携を強化するとともに、製造拠点移転を含む供給体制再構築・PhRMAへの加盟を通じた政治的影響力向上を図っている。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年4月27日

