事業内容
片倉コープアグリ株式会社は1920年創業の老舗肥料メーカーで、2015年にコープケミカルと経営統合し現商号となった。連結子会社6社・持分法適用関連会社1社を擁し、配合・化成・ペースト肥料等を製造販売する肥料事業(売上高の約82%)を中核に、化粧品原料・リン酸製品等の化学品事業、東京都渋谷区の賃貸ビルを含む不動産事業、食品・運送等のその他事業を展開する。
主要顧客は全国農業協同組合連合会(JA全農)で、2026年3月期の売上高に占める割合は62.4%に達する。筑波総合研究所を研究開発拠点とし、スマート農業・土壌分析技術の開発も推進している。
ビジネスモデル
売上高の約82%を占める肥料事業では、JA全農から原材料を調達し製品を販売する垂直的な系統流通モデルを採用。価格改定を通じてコスト転嫁を図りながら販売数量を確保する。
化学品事業では合成マイカ・化粧品原料等の高付加価値製品を国内外に展開し利益率の改善を目指す。不動産事業は「KCA SHIBUYA bldg.」の賃料収入により安定キャッシュ・フローを創出し、構造改革期間中の財務基盤を支える役割を担う。
企業の強み
1920年創業以来、全国に支店・営業所網を構築し、JA全農・丸紅等との原料調達・製品販売の長期取引関係を維持。2026年3月期においてJA全農向け売上高は26,630百万円(売上高比62.4%)に達し、系統流通を通じた安定的な販売基盤を有する。
1986年開設の筑波総合研究所を中心に、2026年3月期の研究開発費319百万円を投じ、ペースト肥料・緩効性肥料・バイオスティミュラント資材・合成マイカ等の独自製品を開発。近赤外分光法・AIを活用した土壌診断サービスを開始するなど、農業ソリューション領域への技術展開も進めている。
化学品事業は2026年3月期売上高7,677百万円・セグメント利益369百万円を計上し、HALAL認証化粧品原料や合成マイカ等の高付加価値製品を欧州・アジアに展開。不動産事業は「KCA SHIBUYA bldg.」竣工(2025年8月)によりセグメント利益184百万円を計上し、肥料事業の収益変動を補完する安定収益源として機能している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年3月期ピーク51,031百万円から大幅に低下した水準で推移しており、2026年3月期は42,651百万円(前期比+3.1%)と微増にとどまる。営業利益は2024年3月期の赤字852百万円から2025年3月期に650百万円へ回復したが、2026年3月期は504百万円に低下。
最終損益は構造改革費用1,980百万円の特別損失計上により1,227百万円の損失となった。外部要因として原料価格の高止まりと為替変動が肥料事業の原価を圧迫。
一方、営業活動によるキャッシュフローは5,274百万円(前期152百万円)と大幅改善しており、売上債権の回収(2,868百万円減少)と構造改革引当金の計上(非資金費用)が寄与した。自己資本比率は46.8%と財務健全性は維持されている。
成長戦略
肥料生産拠点再編と化学品海外展開を両輪に、2028年3月期営業利益1,090百万円を目指す
対象6工場のうち5工場の生産を終了し、生産品目を集約することで固定費を大幅削減。製販分離体制の導入と管理部門合理化を並行推進。2026年3月期に構造改革費用1,980百万円を計上済みで、2027年3月期以降の収益改善に直結する最重要施策。
近赤外分光法・AIを活用した土壌診断サービスを開始し、リモートセンシングを活用した提案型営業モデルを構築。バイオスティミュラント分野への展開により、単なる肥料販売から農業課題解決型ビジネスへの転換を推進。
インドネシアの販売商社を通じた東南アジア向けHALAL認証化粧品原料の販路拡大、欧州・アジア向け合成マイカの展開強化、次世代機能性原料の開発を推進。M&A等の戦略的投資も視野に事業領域を拡大。2026年3月期はリン酸・飼料用リン酸カルシウムの販売数量減少でセグメント売上は前期比1.5%減。
2025年8月竣工の「KCA SHIBUYA bldg.」の本格稼働により、2026年3月期にセグメント利益184百万円を計上。保有資産の最適運用を進め、構造改革期の財務基盤を安定的に支える収益源として機能。
最終更新: 2026年7月19日

