事業内容
阿波製紙株式会社は1916年創業の機能紙・不織布専業メーカーで、徳島県を本拠地とする。主力製品は自動車エンジン用濾材・クラッチ板用摩擦材原紙・鉛蓄電池用セパレータ原紙(自動車関連資材)、逆浸透膜モジュール向け分離膜支持体用不織布(水処理関連資材)、食品用・電気電子部品用機能紙(一般産業用資材)の3カテゴリーで構成される。
タイ子会社Thai United Awa Paper Co.,Ltd.および中国持分法適用関連会社・滁州市国豊阿波濾材有限公司を含むグループで、海水淡水化・廃水処理・工業用プロセス水向けの水処理分野と、インド・東南アジアを含む自動車関連分野の両輪で事業を展開する。2025年3月に新小松島工場が竣工し、分離膜支持体用不織布の供給体制を強化した。
ビジネスモデル
当社グループは見込み生産方式を採用し、長年培った抄紙・加工技術を活かして機能紙・不織布を製造し、自動車部品メーカーや世界の水処理用分離膜メーカーへ販売する。主要顧客は株式会社サンコー(売上高の34.5%)、旭洋株式会社(同11.7%)など。
研究開発費509百万円・研究要員33名を擁し、マーケットイン型R&Dで顧客課題に対応した製品開発を行う。収益は製品販売単価と生産量に依存し、原材料・エネルギーコストの変動が利益率に直接影響する構造を持つ。
企業の強み
1983年から分離膜支持体用不織布の販売を開始し、40年超の製造実績を持つ。2025年3月竣工の新小松島工場により供給体制を強化。
2026年3月期の水処理関連資材販売は前年比123.8%増と大幅伸長し、生産実績も前年比137.6%増を達成。ポリエステル繊維100%の湿式不織布製造に特化した専用抄紙機・加工機を保有する。
1961年のエンジン用濾材販売開始以来、60年超にわたり自動車メーカー・部品メーカーへの供給実績を積み上げてきた。エンジン用濾材・クラッチ板用摩擦材原紙・鉛蓄電池用セパレータ原紙と多品種を展開し、タイ子会社・中国関連会社を通じたアジア生産体制も構築。
インド・東南アジアの二輪車向け需要を取り込み、海外補用市場への輸出も拡大している。
当連結会計年度の研究開発費は509百万円、研究要員33名、国内特許出願5件。素材の特性を最大限に引き出す独自の抄紙・加工技術を基盤に、孔径・通気性・通気抵抗の設計技術を複数分野に横展開する。
LIB向け断熱材(M-Thermo)や新規産業用フィルターなど新製品の市場投入も進めており、技術の多用途展開が進行中である。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期連結売上高は18,494百万円(前年比8.0%増)と5期中最高水準を更新した。水処理関連資材が8,799百万円(前年比23.8%増)と牽引し、一般産業用資材も1,506百万円(同17.8%増)と好調。
一方、自動車関連資材は8,189百万円(同6.3%減)と取引先在庫調整・原材料メーカー生産停止の影響で前年割れ。利益面では減価償却費の倍増(661百万円→1,274百万円)、原材料価格・人件費・輸送費上昇が重なり営業利益は58百万円(前年432百万円)に急減。
支払利息増加で経常損失95百万円を計上。補助金収入1,500百万円の特別利益計上により親会社帰属純利益は753百万円と前年35百万円から急増したが、実態的な収益力の改善は2027年3月期以降の課題である。
過去5期の営業利益推移(269→376→355→432→59百万円)は2026年3月期に大きく落ち込んでおり、新工場投資フェーズの収益圧迫が顕在化した形となっている。
成長戦略
水処理分野の拡販と新工場安定操業による供給体制強化で収益回復を目指す
海水淡水化・工業用プロセス水・廃水処理用途での需要拡大を背景に、分離膜支持体用不織布の販売を積極的に拡大。2026年3月期に水処理関連資材売上高8,799百万円(前年比23.8%増)を達成し、2027年3月期も水処理分野の伸長を主因に売上高20,600百万円を計画。
新工場建設に伴う補助金1,500百万円を2026年3月期に特別利益計上済み。新工場の安定操業により分離膜支持体用不織布の供給能力を増強し、水処理分野の需要拡大に対応する。減価償却費増加(1,274百万円)は投資フェーズの一巡とともに収益への圧迫が緩和される見込み。
国内自動車向け需要の伸び悩みを補うべく、インド・東南アジアの二輪車向けおよび海外補用向け需要を取り込む。タイ子会社(Thai United Awa Paper Co.,Ltd.)を活用した現地製造・販売体制を維持し、電動化進展に伴う一部用途の動向を注視しながら事業継続を図る。
原材料価格・人件費・輸送費の上昇を受け、販売価格の適正化に取り組む。生産性向上施策と合わせて売上総利益率の回復を目指す。2026年3月期の売上総利益率は13.6%(前年16.0%)に低下しており、2027年3月期の営業利益率3.3%(予想)への回復が目標。
最終更新: 2026年7月19日

