事業内容
大王製紙は1943年設立の総合製紙メーカーで、連結子会社31社・関連会社1社を擁する。事業は「紙・板紙」「ホーム&パーソナルケア」「その他」の3セグメントで構成される。
紙・板紙事業では新聞用紙・洋紙・包装用紙・板紙・段ボール等を製造販売し、ホーム&パーソナルケア事業では「エリエール」ブランドを中心に衛生用紙・紙おむつ・フェミニンケア用品・ペット用品等を国内外で展開する。国内主要工場(三島・川之江・可児等)に加え、中国・ブラジル・タイ・インドネシア等に海外拠点を持ち、グローバルに事業を展開している。
ビジネスモデル
自社工場での製造から販売子会社(EBS等)を通じた販売まで一貫して手掛ける垂直統合型モデルを採用。紙・板紙事業では見込生産による大量製造・安定供給を基本とし、価格改定の浸透と輸出販売拡大で収益を確保する。
ホーム&パーソナルケア事業では「エリエール」ブランドの付加価値商品を軸に国内外で展開し、海外は地域別の選択と集中により収益構造を改善している。
企業の強み
「エリエール」ブランドのもと、ソフトパックティシュー・長尺トイレットペーパー・ショーツタイプナプキン・システムトイレ用猫砂等の付加価値商品を継続的に投入。2026年3月期においてファミリーケア・ペットケア等の付加価値商品が販売数量・売上高ともに前期を上回り、ホーム&パーソナルケアセグメントの黒字転換(利益8,077百万円)に貢献した。
三島・川之江・可児・いわき等の国内主要工場に加え、海外4カ国に製造拠点を持つ。いわき大王製紙では2022年より停止していたバイオマスボイラーを2025年度に再稼働させ、バイオマス燃料による自家発電100%の工場を実現。
エネルギーコスト改善が紙・板紙セグメント利益の前期比56.7%増(14,073百万円)に寄与した。
セルロースナノファイバー(CNF)複合樹脂の商用プラントを2025年7月に三島工場で稼働させ、商用生産を開始。凝集物をパイロット品比約20分の1に低減する品質改善を達成し、自動車部材製造会社の品質合格を獲得するレベルまで用途開発が進展。
バイオリファイナリーはNEDO採択事業として2030年度の商用設備稼働を目指している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期612,314百万円→2024期671,688百万円とピークをつけた後、2025期668,912百万円・2026期666,770百万円と微減が続く。一方、営業利益は2023期に△21,441百万円の大幅赤字を計上後、2024期14,367百万円→2025期9,807百万円と低迷したが、2026期は24,032百万円と急回復した。
回復の主因は①ホーム&パーソナルケア海外事業の構造改革による固定費削減、②国内付加価値商品の販売伸長と価格改定浸透、③いわき大王製紙ボイラー再稼働によるエネルギーコスト改善。外部要因として石炭価格のメリットも寄与。
純利益も前期△11,197百万円から8,886百万円へ黒字転換した。
成長戦略
海外構造改革・国内付加価値強化・CNF新素材事業化の3軸で経営基盤を再構築
トルコ子会社売却完了、中国ベビー事業不採算取引見直し等を実施し固定費を削減。2027年3月期は構造改革効果の通期発現と各地域の市場特性に応じた重点施策推進により、海外事業全体の営業黒字化を目指す。
ソフトパックティシュー・長尺トイレットペーパー・夜用介護商品・ペットケア新商品等の付加価値商品の販売伸長と価格改定浸透により、国内事業の収益力を強化。2026年3月期にH&PCセグメントが黒字転換し施策の効果が確認された。
需要減退を前提とした事業運営を行いつつ、価格改定の着実な浸透とコストダウン施策(北越コーポレーションとの業務提携・ボイラー再稼働等)により安定的なキャッシュを創出。2026年3月期のセグメント利益は前期比56.7%増の14,073百万円を達成した。
セルロースナノファイバー(CNF)を活用した新素材事業の商用化を進め、既存製紙事業に依存しない収益源を構築する。脱プラスチック・減プラスチックへの社会的要請を追い風に、長期ビジョン「Daio Group Transformation 2035」の実現に向けた布石とする。
長期借入金の返済(2026年3月期82,542百万円返済)を継続しつつ、自己株式取得13,721百万円を実施し資本効率の改善を図る。営業CFの創出力強化を通じた財務健全性の向上が第5次中期事業計画の重点テーマの一つ。
最終更新: 2026年7月19日

