事業内容
株式会社ユビキタスAIは、IoT・車載・産業機器向けの組込みソフトウェアを自社開発するとともに、海外製ソフトウェアの輸入販売・テクニカルサポート、受託開発エンジニアリング、統計・数値データ解析ソフトウェアの販売を展開する。連結子会社の株式会社グレープシステム(組込みソフト・プリンタ関連)および株式会社ライトストーン(科学技術系ソフトウェア販売)を含む3社体制で、主要顧客は電子・電気機器メーカーの企画・開発・設計部門から大学・政府系研究機関まで幅広い。
2023年以降のM&Aによりグループ規模を急拡大し、売上高は3,924百万円(2026年3月期)に達する。
ビジネスモデル
自社開発製品(QuickBoot・セキュリティ・データベース等)はロイヤルティ型ライセンスで継続収入を獲得し、海外製ソフトウェア(BIOS・Bluetooth等)の輸入販売・テクニカルサポートで安定的な流通収益を得る。受託開発は既存顧客からの継続案件が中心で、データコンテンツ「YOMI」のライセンス収入も加わる。
アナリシスソフトウェア事業では大学・研究機関向けパッケージソフト販売が安定収益源となっており、4領域の組み合わせで収益を分散している。
企業の強み
特許技術に基づく高速起動ソフトウェア「Ubiquitous QuickBoot」は2023年3月期時点で累計出荷数7,000万本を突破しており、デンソーテン等の車載機器メーカーへの採用実績を持つ。ロイヤルティ型ライセンスモデルにより、採用機器の出荷に連動した継続収入を生み出す構造が確立されている。
自社製品開発(ソフトウェアプロダクト領域)、海外製品輸入販売(ディストリビューション領域)、受託開発(サービス領域)、データ解析ソフト販売(アナリシスソフトウェア事業)の4領域を保有し、特定事業への過度な依存を回避している。2026年3月期の各領域売上構成比はそれぞれ19.7%・32.5%・24.1%・23.7%と分散している。
NIST標準化のFIPS 203・204・205への実装・検証を完了し、標準化作業中のFALCON・HQCについても暫定仕様に基づく実装・検証を完了している。また、Arm Cortex-Mベース32bitマイコンへの耐量子暗号搭載に目途を得ており、低価格IoT製品への展開可能性を示している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期のM&A効果による急拡大(3,479百万円)を経て2025年3月期に4,139百万円まで成長したが、2026年3月期は3,924百万円(前期比5.2%減)に反落。ソフトウェアプロダクト領域でセキュリティ&OS関連製品のロイヤルティ売上が大幅減少(前期比14.1%減)、ソフトウェアサービス領域でも既存顧客の開発計画変更等により受託開発が減少した。
販売費及び一般管理費は1,709百万円(前期比5.1%増)に増加し、売上総利益1,508百万円を上回ったことで営業損失201百万円を計上。さらに子会社グレープシステムのれん減損137百万円を含む減損損失219百万円が特別損失として加わり、純損失は519百万円に拡大した。
外部環境として米国関税措置・地政学リスク・国内物価高によるコスト上昇圧力が収益性改善を阻害している。唯一黒字を維持するアナリシスソフトウェア事業(セグメント利益44百万円)がグループの損失を一部吸収している構図である。
成長戦略
オーガニック年5%成長と連続的M&Aを組み合わせ、2028年3月期に売上高50億円以上・CAGR10%を目指す
従来の4セグメントを「ソフトウェア事業」「アナリシスソフトウェア事業」の2セグメントに統合し、顧客のソフトウェアニーズへの全方位的支援を可能とするビジネスモデルへ変革。組織体制の統合と経営管理体制の見直しにより意思決定の迅速化を図る。
高速起動製品の他製品への横展開、自動車・IoT機器向けセキュリティ関連分野への拡販、BIOS製品需要の取り込み等を推進。人材ポートフォリオの最適化も並行して実施し、受託開発単価の価格改定交渉を進めているが、収益性改善には時間を要する状況。
中期経営計画(2026-2028年)においてインオーガニック成長を明示。製品ラインアップ強化・顧客基盤拡大を目的とした連続的M&Aを志向しているが、2026年3月期はグレープシステムののれん減損を計上しており、M&A効果の実現には課題が残る。
2027年3月期においても先行投資を継続する前提で業績予想を策定。長期借入金1,000百万円の実行により手元流動性を1,995百万円に拡大し、投資余力を確保。ただし2027年3月期も営業損失200百万円・純損失400百万円を見込んでおり、投資回収の時期は不透明。
最終更新: 2026年7月19日

