事業内容
アツギ株式会社は1947年創業の老舗繊維メーカーで、ストッキング・タイツ・パンティストッキング等のレッグウェアおよびインナーウェアの製造・販売を中核事業とする。国内外に連結子会社8社を擁し、中国・煙台の自社工場での生産を含むグローバルなサプライチェーンを構築している。
主要顧客はしまむら(売上高の28.5%)をはじめとする衣料専門店・EC・OEM取引先。繊維事業のほか、神奈川県海老名市を中心とした不動産賃貸・販売事業、介護用品販売・グループホーム運営・太陽光発電売電を手掛けるその他事業を展開し、グループ全体の売上高は21,469百万円(2026年3月期)。
ビジネスモデル
繊維事業では自社ブランド商品の卸売・EC販売に加え、OEM(相手先ブランド製造)による受託製造販売を展開し、売上高20,156百万円を計上する。一方、不動産事業は売上高697百万円ながら営業利益率77.2%と高収益で、グループ唯一の安定黒字セグメントとして繊維事業の損失を部分的に補填する構造となっている。
資金調達は自己資金を基本とし、必要に応じて金融機関借入を活用する。
企業の強み
1947年創業以来、ストッキング・タイツ・パンティストッキングの製造販売を継続し、国内レッグウェア市場で長年にわたるブランド認知を構築。2025年秋冬には多足組タイツブランド「Atsugi TIGHTS」をリニューアルし、全商品にサステナブル素材を採用するなど、ブランド刷新を継続的に実施している。
不動産事業は売上高697百万円に対し営業利益538百万円・営業利益率77.2%を達成し、グループ唯一の黒字セグメントとして機能する。2024年10月開始の海老名市土地賃貸が2026年3月期に通期寄与し、前年同期比9.1%増収・10.9%増益を実現した。
自己資本比率80.2%の財務基盤と合わせ、繊維事業の赤字を下支えする構造的な安定収益源となっている。
インナーウェア分野ではOEM販売・EC・衣料専門店販路が好調で、前年同期比0.9%増の9,095百万円を計上。研究開発費391百万円を投じ、「スルッと着圧」「NUDE Make(ヌードメイク)」等の機能性高付加価値商品を継続的に市場投入している。卸売チャネルへの展開拡大など販路多様化も進めている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2026年3月期に21,469百万円(前期比1.9%減)と微減が続く。営業損失は1,019百万円(前期930百万円の損失)、当期純損失は1,137百万円(前期376百万円の損失)と損失が拡大した。
外部要因として円安進行・原燃料高・物流費高止まりが製造コストを押し上げ、価格改定による改善効果を相殺した。特別損失として繊維事業固定資産の減損損失221百万円を計上。
前期に計上した事業構造改善費用(1,826百万円)・投資有価証券売却益(1,772百万円)等の一時的要因が剥落したことも純損失拡大の一因。5期の営業損益推移は▲2,293→▲2,131→▲425→▲930→▲1,019百万円と、2024年3月期の一時的改善後に再び悪化が続いている。
成長戦略
収益構造の抜本的見直しと高付加価値化・資産活用による業績回復
煙台工場における自動化推進のための設備投資を継続し、生産体制の効率化による原価低減を図る。2026年3月期は生産体制見直しの遅れが製造コスト悪化要因となっており、早期の効果発現が急務。
機能性商品・ヘルスケア商品・メディカル用途への参入により単価改善と新市場開拓を目指す。2026年3月期は新商品の売上寄与が限定的にとどまっており、本格的な収益貢献は今後の課題。
中国依存の調達・製造体制を分散させるため、アセアン地域での供給体制強化を図る。円安リスクへの対応と製造コスト削減の両面で効果が期待されるが、具体的な進捗は開示されていない。
投資有価証券(2026年3月期末4,353百万円)等の政策保有株式売却を進め、キャッシュフロー改善を図る。2026年3月期の売却収入は113百万円にとどまり、前期(3,080百万円)から大幅に減少した。
2025年9月公表の中期経営計画(2028年3月期最終年度、連結営業利益10億円目標)を計画初年度に取り下げ、収益構造改革を含む抜本的見直しに着手。新中期経営計画および2027年3月期業績予想は現時点で未定。
最終更新: 2026年7月19日

