事業内容
トーカロ株式会社は、溶射加工を中核とする表面改質加工の専業メーカーである。金属・セラミックス・サーメット等のコーティング材料を高温熱源で吹き付け、耐摩耗性・耐熱性・電気絶縁性等の機能を被加工品に付与する。
主要顧客は半導体・FPD製造装置メーカー(東京エレクトロングループが売上高の26.6%、アプライド・マテリアルズグループが7.3%)のほか、発電設備・輸送機器・鉄鋼用ロール等の産業機械分野に及ぶ。国内7工場・海外5拠点(中国・台湾・米国)を擁し、溶射加工(単体)・国内子会社・海外子会社・その他(TD/ZAC/PTA処理)の4セグメントで事業を展開する。
ビジネスモデル
顧客から持ち込まれた部品に対し、プラズマ溶射・高速フレーム溶射等の多様な成膜プロセスで高機能皮膜を形成する受注加工型ビジネスモデル。設備・技術への継続投資により高い参入障壁を維持し、売上高経常利益率25.2%(2026年3月期)の高収益体質を実現している。
加えて、国内外の技術供与先(韓国・インド・欧州・米国等)からロイヤリティ収入を得る知財活用型の収益源も保有する。
企業の強み
半導体・FPD製造装置部品向け溶射加工は2026年3月期売上高24,813百万円(連結売上高比42.4%)に達し、受注残高は8,575百万円(前期比+59.6%)と急拡大している。プラズマエッチング装置部品向けナノレベル対応皮膜や静電チャックコーティング等、競合が短期間で模倣困難な高度技術を蓄積しており、主要顧客との継続的取引関係を構築している。
2026年3月期の売上高経常利益率は25.2%、ROEは15.8%と自社目標15%を達成。自己資本比率74.8%、純資産726,570百万円と財務健全性が高く、積極的な設備投資(当期9,042百万円)を自己資本で支える体力を有する。
前中期経営計画「TOCALO2025」では計画を1年前倒しで達成した実績も持つ。
中国・台湾・米国・韓国・インド・欧州・ブラジル等20社超に技術供与契約を締結し、ロイヤリティ収入を継続的に獲得。海外子会社セグメントは2026年3月期売上高12,269百万円・経常利益率40.2%と極めて高収益であり、2025年9月にはTOCALO USA-Arizona LLCを新設して米国事業を拡大するなど、グローバル展開を着実に進めている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期の46,735百万円を底に回復し、2025年3月期54,231百万円、2026年3月期58,490百万円と2期連続で過去最高を更新。営業利益も14,102百万円(売上高営業利益率24.1%)と過去最高。
外部要因として生成AI・データセンター投資拡大を背景とした半導体製造装置向け需要の旺盛な拡大が主要ドライバー。一方、石油化学・フィルム・繊維分野は減収、農業機械向けTD処理も低迷と分野間の格差が拡大している。
営業CFは7,749百万円と前期比減少(設備投資増に伴う法人税支払増等)、投資CFは△9,963百万円と積極投資が継続。実力ベースの経常利益は13,663百万円(前期比+11.6%)と、一時的要因を除いても着実な収益力向上が確認できる。
成長戦略
半導体・FPD分野の生産能力増強と海外拡大で2031年3月期に向けた持続成長を目指す
半導体関連顧客向け増産対応のため東京工場新棟の立ち上げを推進。2026年3月期に有形固定資産が6,237百万円増加し、溶射加工単体の設備投資は6,808百万円に達した。2027年3月期の半導体・FPD向け予想売上高は31,000百万円(前期比+24.9%)と大幅増収を見込む。
2026年3月期にTOCALO USA-Arizona LLCを設立し米国アリゾナ州での生産拠点を確立。既存の中国・台湾・米国(TOCALO USA, Inc.)に加え5拠点体制となった。海外子会社の2027年3月期予想売上高は12,637百万円(前期比+3.0%増)。
鉄鋼・エネルギー分野での新たな需要拡大に対応し受注活動を強化。景気変動に左右されにくい強固な収益基盤の構築を目指す。2027年3月期の鉄鋼用設備部品向け予想売上高は3,964百万円(前期比ほぼ横ばい)と安定的な寄与を見込む。
2026年5月に2031年3月期を最終年度とする新・中期経営計画「TOCALO2030」を公表。半導体・FPD分野の成長取り込み、一般産業分野の拡大、新技術開発・新事業領域開拓を通じた持続的成長を目指す。連結配当性向50%程度・DOE5%以上の株主還元方針を継続。
最終更新: 2026年7月19日

