株式会社クラレ logo

株式会社クラレ

3405東証プライム化学

株式会社クラレ logo
株式会社クラレ3405

事業内容

株式会社クラレは1926年創業、2026年に創立100周年を迎えるスペシャリティ化学企業。ビニルアセテート(ポバール・EVOH・PVBフィルム等)、イソプレン(エラストマー・ジェネスタ等)、機能材料(活性炭・歯科材料・メタクリル等)、繊維(クラリーノ・ベクトラン等)、トレーディングの5報告セグメントを擁し、連結子会社67社・持分法適用関連会社2社を含むグローバルグループを形成。

日米欧アジアに製造・販売拠点を持ち、食品包装・自動車・電子・建築・医療など多様な産業に素材を供給する。2025年12月期の連結売上高は808,447百万円。

ビジネスモデル

クラレは独自の重合・加工技術に基づく差別化素材を日米欧アジアの複数拠点で製造し、グローバルに販売する垂直統合型ビジネスモデルを採る。主力のビニルアセテートセグメントが売上高404,495百万円・営業利益率15.5%と高収益を牽引し、機能材料・繊維・トレーディングが補完する構造。

設備投資(2025年12月期106,829百万円)と研究開発費(同28,369百万円)を継続投入し、技術優位性を維持することで価格競争を回避する。

企業の強み

光学用ポバールフィルムおよびEVOH樹脂〈エバール〉は日米欧アジアの複数拠点で製造し、世界のリーディングカンパニーとして供給。エバールはシンガポール新プラント建設を決定しグローバル4拠点体制を構築中。ISCC PLUS認証を国内外計9拠点に拡大し、サステナブル素材としての差別化も進める。

2025年12月期末の自己資本比率は57.0%、インタレスト・カバレッジ・レシオは54.2倍と財務健全性は高水準を維持。営業活動によるキャッシュ・フローは98,591百万円を確保し、減価償却費84,702百万円を含む実態的なキャッシュ創出力は堅固。

有利子負債/営業CF比率は2.9年と管理可能な水準にある。

MonoSol(産業用ポバールフィルム、2012年買収)、Calgon Carbon(活性炭、2018年買収)、クラレノリタケデンタル(歯科材料)など戦略的M&Aで事業領域を拡張。2025年4月には米Nelumbo Inc.を買収し無機系表面改質技術を取得。

研究開発人員1,115人体制でディビジョナルとコーポレートの二層研究開発を推進する。

エンヴァリスの着眼点

ビニルアセテートセグメントの2026年12月期第1四半期営業利益は11,031百万円と前年同期比30.7%減。操業度悪化・価格調整・ポバール樹脂の需要低迷が重なった。

通期営業利益予想70,000百万円(前期比18.9%増)に対し、第1四半期進捗率は21.2%にとどまる。中東情勢の悪化を理由に業績予想を据え置いており、合理的な見通しが立てられない状況が続いている点は投資家にとって不透明感の要因となる。

2026年12月期第1四半期の親会社株主帰属純利益は7,802百万円と前年同期比35.0%減。特別損失は災害損失1,814百万円・操業休止関連費用865百万円・固定資産廃棄損490百万円の計3,170百万円と前年同期(1,401百万円)から大幅増加。

一般管理費も前年同期33,174百万円から36,993百万円へ増加し、売上総利益がほぼ横ばい(63,430百万円)の中で販管費増加が営業利益を圧迫している。1株当たり四半期純利益は25.62円と前年同期37.07円から大幅に低下した。

機能材料セグメントは売上高52,820百万円(前年同期比10.5%増)・営業利益3,375百万円(同148.2%増)と大幅改善し、繊維も黒字転換を達成。外部要因として、為替円安が海外事業の円換算増益に寄与した。

一方、中東情勢の悪化による原燃料価格上昇・物流網混乱・一部調達品の供給制約は化学業界全体のサプライチェーンに影響を与えており、クラレも例外ではない。今後の業績は中東情勢の収束時期と為替動向に大きく左右される構造となっている。

成長戦略

PASSION 2026最終年度に向け成長事業への集中投資と不採算事業の体質改善を同時推進

2026年1月の組織改定によりエレクトロニクスマテリアルズ推進本部の各事業を「その他」から「機能材料」セグメントへ移管。2026年12月期第1四半期の機能材料セグメント売上高は52,820百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益は3,375百万円(同148.2%増)と大幅改善し、統合効果が数値に表れ始めている。

中期経営計画「PASSION 2026」において活性炭・歯科材料を「成長・拡大事業」に位置づけ、設備投資を継続。2026年12月期第1四半期末の建設仮勘定は109,345百万円(前期末96,662百万円から増加)。活性炭は需要底堅く価格改定も進展、メディカルは全般的に堅調な販売が継続している。

前期に計上した大規模減損(25,636百万円)に伴う減価償却費減少効果を活かし、イソプレンセグメントの収益構造を改善。2026年12月期第1四半期の営業利益は2,889百万円(前年同期比2.4%増)。

耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉は電気・電子・自動車用途で拡販が進み販売数量が増加。一方、在庫評価差額のマイナス影響や中国建築用途の需要低迷が課題として残る。

乾式不織布事業からの撤退(繊維セグメント)、メタクリル酸メチル等の生産能力縮小(2025年7月実施)など、不採算事業の整理を推進。繊維セグメントは前年同期の営業損失598百万円から1,143百万円の黒字へ転換し、撤退効果が顕在化。

連結範囲からも3社を除外(可楽麗亜克力(張家港)有限公司、WATERLINK (UK) HOLDINGS LIMITED他1社)。

2026年2月10日の取締役会決議に基づき自己株式5,829千株・9,999百万円の取得を3月23日に完了。5月13日には5,830千株(発行済株式総数の1.89%)の消却を決定(5月29日実施予定)。

2026年度年間配当は普通配当54円に創立100周年記念配当10円を加えた64円を予定。総還元性向50%以上の方針を継続。

最終更新: 2026年7月17日