事業内容
トヨタ紡織株式会社は1918年創立、2004年に現社名へ変更した自動車内装部品の大手サプライヤーである。連結子会社69社・持分法適用関連会社20社を擁し、日本・北中南米・中国・アジア・欧州アフリカの5極でグローバル生産体制を構築する。
主力製品はシート・ドアトリム・フロアカーペット・成形天井等の内装システムに加え、エアフィルター・オイルフィルター等のユニット部品。主要顧客はトヨタ自動車㈱(売上収益の23.5%)、トヨタ モーター ノース アメリカ㈱(12.5%)、トヨタ車体㈱(10.0%)であり、トヨタグループへの依存度が高い。
2026年3月期の連結売上収益は2,037,063百万円に達する。
ビジネスモデル
トヨタ自動車をはじめとする自動車メーカーから四半期・月次の生産計画提示を受け、受注生産方式で内装部品を供給する。シート骨格から完成シートまでの一貫開発・生産体制を強みに、原価企画・VA推進でコスト競争力を維持しながら付加価値を提供する。
研究開発費は61,375百万円(2026年3月期)を投じ、設備投資68,026百万円で生産能力を維持・拡充する。
企業の強み
シート骨格機構部品(リクライナー・スライドレール等)の事業取得(2015年)を経て、構成部品から完成シートまでの一貫開発・生産体制を確立。各工場・各地域の連携強化とTPS・DXを活用した生産プロセス改善により、品質・コスト・納期の競争力を維持している。
タイ・インド・インドネシア等を管轄するアジアセグメントは、2026年3月期に売上収益285,145百万円・営業利益40,006百万円・営業利益率13.2%を達成。トヨタ紡織アジア㈱による地域密着型の最適生産・供給体制と合理化・VA推進が高収益を支えており、グループ全体の収益基盤として機能している。
株式会社日本格付研究所よりAA(安定的)の格付を取得。2026年3月期末の現金及び現金同等物残高は2,785億円(前期比287億円増)、営業キャッシュフローは1,429億円を確保。コミットメントラインの設定により緊急時の流動性も担保されており、安定した財務基盤を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上収益は2026年3月期に2,037,063百万円(前期比4.2%増)と5期ぶりの明確な増収を達成。北中南米での増産(前期比10.9%増)とアジアでの生産台数増加・為替影響が主な増収要因。
営業利益は53,948百万円(前期比27.2%増)と回復したが、前期の減損損失32,331百万円(当期3,671百万円)の剥落効果が大きく、実力ベースの改善は限定的。日本セグメントでは品質関連費用の計上により営業利益が前期比49.8%減と大幅悪化。
中国は生産台数減少で売上収益・営業利益ともに減少。外部要因として円安(為替変動による在外営業活動体の外貨換算差額27,414百万円)が包括利益を大幅押し上げ、当期包括利益は64,672百万円(前期比194.7%増)となった。
2027年3月期は売上収益2,120,000百万円・営業利益80,000百万円(前期比48.3%増)を予想。想定為替レートは1USD=150円、1EUR=180円。
成長戦略
インテリアスペースクリエイターとして車室空間全体の企画提案力と製造競争力を強化し、2030年売上収益2,200,000百万円・営業利益率7%を目指す
製品事業分野と技術開発分野を統合した体制のもと、シート・内装を一体システムとして企画提案する価値提案型ビジネスへの転換を推進。JAPAN MOBILITY SHOW 2025等での空間コンセプト提案・技術展示を通じた新規受注獲得活動を継続。
BEV・SDV普及に伴う車室空間の快適性ニーズ拡大を中長期の成長機会と位置付けている。
前期の大規模減損(28,342百万円)を経て構造改革を推進中。2026年3月期は損失が9,898百万円に縮小したが、米国追加関税影響と品質関連費用が重石。合理化活動の継続と車種構成の最適化により黒字転換を目指す。2027年3月期予想では北中南米の損益改善が全社目標達成の鍵を握る。
トヨタ生産方式(TPS)とDXを組み合わせた生産プロセス改善により、原材料費・物流費の高止まり環境下での収益力強化を推進。原価企画・VA推進による継続的なコスト改善活動を全グローバル拠点で実施。2026年3月期は合理化効果が各セグメントの利益改善に寄与した。
CNF(セルロースナノファイバー)を活用した低コスト・高耐衝撃構造材料の研究開発(NEDO先導研究プログラム採択)や、小型水素発電システム「ハイドロジェンパワーシステム」を搭載した水素自転車の走行実証など、将来の事業化を見据えた先端技術開発に継続投資。カーボンニュートラルへの対応と新規事業創出を両立させる取り組み。
最終更新: 2026年7月19日

