事業内容
富士紡ホールディングスは1896年創業の持株会社で、子会社12社を通じて4事業を展開する。主力の研磨材事業では、半導体デバイス(CMP)・シリコンウエハー・ハードディスク・液晶ガラス向けの超精密加工用研磨材を世界のITデバイス関連企業に販売する。
化学工業品事業では有機合成受託製造を核に医薬・農薬・電子材料向け中間体を供給。生活衣料事業ではB.V.D.ブランドを中心にインナーウエアを展開し、その他事業では化成品・金型・自動車関連を手掛ける。
東京証券取引所プライム市場上場。
ビジネスモデル
研磨材事業は自社開発の超精密加工用研磨材を世界のITデバイスメーカーへ直販・商社経由で販売し、高い技術障壁を背景に28%超の営業利益率を実現する。化学工業品事業は大手化学メーカーからの受託製造モデルで安定受注を確保。
生活衣料事業は原糸紡績から製品縫製までグループ内一貫体制でブランド製品を供給する。設備投資は自己資金で賄い、財務健全性を維持しながら成長投資を継続する。
企業の強み
2026年3月期の研磨材事業は売上高22,561百万円、営業利益6,385百万円、営業利益率28.3%を達成。フジボウ愛媛㈱と台湾富士紡精密材料股份有限公司が製造・販売を担い、壬生川工場に技術開発棟、台湾に研究開発施設を整備するなど、ユーザーとの共同開発体制を構築している。
受注高は24,569百万円(前期比17.0%増)、受注残高は5,620百万円(同28.7%増)と先行指標も堅調。
2026年3月期の自己資本比率は72.0%と4期連続で上昇。有利子負債はほぼゼロ水準(キャッシュ・フロー対有利子負債比率0.0)で、インタレスト・カバレッジ・レシオは923.2倍に達する。
営業キャッシュ・フローは10,143百万円を創出し、8,081百万円の設備投資を全額自己資金で賄いながら現金残高も9,517百万円に増加した。
柳井化学工業㈱が国内有数の化学工業品受託工場を保有し、医薬・農薬・電子材料・機能性化学品など多種多様な有機合成反応に対応。2026年3月期は売上高14,113百万円、営業利益率10.0%(前期9.0%から改善)を達成。
2026年4月稼働の第5プラント建設を完了し、受注高は21,100百万円(前期比21.3%増)と先行需要も旺盛。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期36,108百万円を底に、2025年3月期42,912百万円(+18.8%)、2026年3月期45,929百万円(+7.0%)と拡大基調が継続。営業利益は2024年3月期2,818百万円から2026年3月期8,143百万円へと2年間で約2.9倍に急回復し、営業利益率は17.7%(前期15.1%)に改善した。
外部要因として生成AI普及による最先端半導体・データセンター投資の拡大が研磨材事業の受注を押し上げた。ROE11.3%(前期9.8%)、総資産経常利益率12.1%(同10.3%)と収益性指標も改善。
2027年3月期は売上高52,700百万円・営業利益9,200百万円を会社予想として開示しており、成長継続を見込む。
成長戦略
研磨材・化学工業品の増強と生活衣料の構造改革で持続的成長を追求
生成AI普及によるHBM・最先端ロジック向けCMP研磨材の需要増加を取り込み、住友商事ケミカル㈱向け売上高を前期比32.3%増の10,887百万円に拡大。データセンター向けHDD用途・液晶ガラス用途も回復し、セグメント売上高22,561百万円・営業利益率28.3%を達成。
2027年3月期も堅調な業績推移を見込む。
電子材料・医薬農薬中間体の受託製造拡大を目的に設備投資を継続(2026年3月期セグメント設備投資4,432百万円)。2026年4月より新プラントが稼働を開始し、生産能力増強と安定稼働による収益拡大を見込む。農薬市況の在庫調整一巡による需要回復も追い風。
小坂井工場の生産・販売終了により経営資源を高採算事業に集中。アウトドア向け製品でEC×実店舗のOMO戦略を展開し、専門店への卸売・販促活動を強化。EC販売強化等で利益確保に努めるが、人件費増・円安・消費者の買い控えにより厳しい環境が継続している。
中期経営計画『増強21-25』の最終年度として「事業ポートフォリオの改革」と「各事業の増強」に取り組み、2026年3月期に売上高45,929百万円・営業利益8,143百万円を達成。2027年3月期は売上高52,700百万円・営業利益9,200百万円を予想し、次期計画への移行を見据えた成長基盤の構築を進める。
最終更新: 2026年7月19日

