事業内容
アスクル株式会社は1993年創業のeコマース企業で、当社および連結子会社16社で構成される。主力のeコマース事業では、中小事業所から中堅大企業向けにオフィス用品・生活用品・医療用品等を翌日配送するASKUL事業(BtoB)と、一般消費者向け通販サイト「LOHACO」(BtoC)を展開。
グループ会社にはMRO商材のアルファパーチェス、歯科向け通販のフィード、ペット用品のチャームなどを擁し、多様な業種・商材に対応する。物流子会社ASKUL LOGISTを通じた外部向けロジスティクス事業、嬬恋銘水による水製造販売事業も手掛ける。
2025年5月期の連結売上高は481,101百万円。
ビジネスモデル
ASKUL事業では全国のエージェント(販売店)が顧客開拓・代金回収を担い、当社は受注・商品発送・システム運営に集中することでコストを抑制する独自モデルを採用。仕入商品の販売差益が主な収益源であり、配送バー設定によるまとめ買い促進で一箱あたり売上単価を向上させつつ売上高配送費比率を低下させる構造を持つ。
自社物流子会社ASKUL LOGISTが物流センターを運営し、品質と効率を両立している。
企業の強み
全国に複数の物流センター(ASKUL関東DC・大阪DC・福岡DC等)を展開し、翌日配送(一部当日配送)を実現。2025年6月には埼玉県上尾市に「ASKUL関東DC」を新設し、関東圏の物流ネットワークを強化。
2025年5月期の設備投資総額は12,767百万円で、物流インフラへの継続投資を実施している。
ASKUL事業(BtoB)では中小事業所から中堅大企業まで幅広い顧客層を持ち、医療・介護・宿泊・飲食等の対人サービス業種でロイヤリティが高い。LOHACO事業(BtoC)ではLINEヤフーとの業務・資本提携を活用した販促施策を展開。
2025年5月期のeコマース事業売上高は472,231百万円と全社売上の98%超を占める。
アルファパーチェス(MRO商材)、フィード(歯科向け通販「FEEDデンタル」)、チャーム(ペット・ガーデニング用品)等の専門特化子会社を擁し、グループ会社売上高は前期比5.6%増と堅調に伸長。多様な業種・商材への対応力がグループ全体の成長を下支えしている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年5月期428,517百万円から2025年5月期481,101百万円まで4期連続増収を達成していたが、2026年5月期は400,199百万円と前期比16.8%減に急落。営業利益は2024年5月期の16,953百万円をピークに2025年5月期14,004百万円へ低下後、2026年5月期は△17,445百万円と赤字転落。
システム障害発生直後の2025年11月度は前年同月比94.5%減まで落ち込んだが、2026年第4四半期(2月〜5月)には前年同期比11.4%減まで回復。売上総利益率は22.9%(前期比1.9ポイント低下)、売上高販管費比率は26.7%(前期比5.2ポイント増)と収益性は大幅に悪化。
外部環境として国内景気は緩やかな回復基調にあるものの、通商政策の不確実性や原材料・エネルギー価格高騰が引き続き懸念材料。2027年5月期は売上高490,000百万円・営業利益7,000百万円への回復を会社は予想している。
成長戦略
「Beyond Retail」を掲げる新中期経営計画(2026〜2029年5月期)のもと売上・収益の段階的回復を目指す
価格施策を含む過去最大規模の販売促進活動を推進し、2027年5月期に売上高490,000百万円(被害発生前水準)への回復を目指す。第4四半期の前年同期比11.4%減への回復は進捗を示すが、顧客数の完全回復が収益回復の前提となる。
2025年6月に稼働したASKUL関東DCにより配送効率・サービスレベルの向上を図る。立ち上げコスト・減価償却費等の固定費増加(合計2,111百万円)は当期業績の重石となったが、中長期的な物流コスト削減と配送品質向上に寄与する見込み。
医療・介護・飲食等の対人サービス業種向けに専門商材の提案を強化し、新たな需要創出を図る。仕事場の日用品カテゴリーの拡大により客単価・購買頻度の向上を目指す。中期経営計画「Beyond Retail」の核心施策の一つ。
生成AI等を活用したマーケティングの高度化により顧客獲得・維持効率の向上を図る。業務外注費増加(前期比15.3%増)の一因はDX推進に伴う生成AI等のライセンス費用であり、投資フェーズにある。セキュリティ強化も並行して推進。
2026年8月6日の定時株主総会をもって吉岡晃社長が退任し、成松岳志氏が新代表取締役に就任予定。ランサムウェア攻撃からの復旧過程で次世代人材が中心的役割を果たしたことを踏まえ、新体制のもとで迅速な意思決定と実行力強化を図る。
2028年5月期に収益水準の回復を図り、中期経営計画最終年度(2029年5月期)に過去最高益の達成を目標とする。数値目標については外部環境および足元の事業状況を踏まえ見直しを行いながら推進する方針。
最終更新: 2026年7月17日

