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アスクル株式会社

2678東証プライム小売業

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アスクル株式会社2678

事業内容

アスクル株式会社は1993年創業のeコマース企業で、当社および連結子会社16社で構成される。主力のeコマース事業では、中小事業所から中堅大企業向けにオフィス用品・生活用品・医療用品等を翌日配送するASKUL事業(BtoB)と、一般消費者向け通販サイト「LOHACO」(BtoC)を展開。

グループ会社にはMRO商材のアルファパーチェス、歯科向け通販のフィード、ペット用品のチャームなどを擁し、多様な業種・商材に対応する。物流子会社ASKUL LOGISTを通じた外部向けロジスティクス事業、嬬恋銘水による水製造販売事業も手掛ける。

2025年5月期の連結売上高は481,101百万円。

ビジネスモデル

ASKUL事業では全国のエージェント(販売店)が顧客開拓・代金回収を担い、当社は受注・商品発送・システム運営に集中することでコストを抑制する独自モデルを採用。仕入商品の販売差益が主な収益源であり、配送バー設定によるまとめ買い促進で一箱あたり売上単価を向上させつつ売上高配送費比率を低下させる構造を持つ。

自社物流子会社ASKUL LOGISTが物流センターを運営し、品質と効率を両立している。

企業の強み

全国に複数の物流センター(ASKUL関東DC・大阪DC・福岡DC等)を展開し、翌日配送(一部当日配送)を実現。2025年6月には埼玉県上尾市に「ASKUL関東DC」を新設し、関東圏の物流ネットワークを強化。

2025年5月期の設備投資総額は12,767百万円で、物流インフラへの継続投資を実施している。

ASKUL事業(BtoB)では中小事業所から中堅大企業まで幅広い顧客層を持ち、医療・介護・宿泊・飲食等の対人サービス業種でロイヤリティが高い。LOHACO事業(BtoC)ではLINEヤフーとの業務・資本提携を活用した販促施策を展開。

2025年5月期のeコマース事業売上高は472,231百万円と全社売上の98%超を占める。

アルファパーチェス(MRO商材)、フィード(歯科向け通販「FEEDデンタル」)、チャーム(ペット・ガーデニング用品)等の専門特化子会社を擁し、グループ会社売上高は前期比5.6%増と堅調に伸長。多様な業種・商材への対応力がグループ全体の成長を下支えしている。

エンヴァリスの着眼点

2025年10月19日発生のランサムウェア攻撃により、売上高は400,199百万円(前期比16.8%減)、営業損失17,445百万円(前期営業利益14,004百万円から急転)、親会社株主帰属当期純損失22,150百万円を計上。特別損失にはシステム障害対応費用5,108百万円、AP67に係るのれん・顧客関連資産の減損損失4,823百万円が含まれ、一過性損失の規模は合計約10,000百万円に達する。

自己資本比率は34.2%から20.8%へ急低下し、財務基盤の毀損は無視できない。

2027年5月期の会社予想は売上高490,000百万円(前期比22.4%増)、営業利益7,000百万円と、売上高は被害発生前水準への回復を見込む。ただし営業利益率は1.4%にとどまり、2024年5月期の3.6%には遠く及ばない。

ASKUL関東DCの立ち上げコスト・減価償却費増(合計2,111百万円)、セキュリティ強化費用、顧客回復のための販促費用等の固定費負担が収益回復の重石となる。会社は2028年5月期に収益水準の回復、中期経営計画最終年度に過去最高益達成を目標とするが、達成には顧客基盤の完全回復と固定費吸収が前提となる。

当期純損失計上に伴い繰越欠損金に係る繰延税金資産8,462百万円を含む繰延税金資産12,994百万円を計上しており、将来の課税所得見積りが実現しない場合には取崩しリスクがある。また手元流動性確保のため短期借入金が380百万円から27,280百万円へ急増し、財務活動CFは25,221百万円の収入となった。

セール・アンド・リースバックによる収入13,043百万円も活用しており、資金繰り対応の痕跡が財務諸表に明確に表れている。2026年8月の経営体制刷新(吉岡社長退任・成松氏就任)が業績回復の実行力に与える影響も注視が必要。

成長戦略

「Beyond Retail」を掲げる新中期経営計画(2026〜2029年5月期)のもと売上・収益の段階的回復を目指す

価格施策を含む過去最大規模の販売促進活動を推進し、2027年5月期に売上高490,000百万円(被害発生前水準)への回復を目指す。第4四半期の前年同期比11.4%減への回復は進捗を示すが、顧客数の完全回復が収益回復の前提となる。

2025年6月に稼働したASKUL関東DCにより配送効率・サービスレベルの向上を図る。立ち上げコスト・減価償却費等の固定費増加(合計2,111百万円)は当期業績の重石となったが、中長期的な物流コスト削減と配送品質向上に寄与する見込み。

医療・介護・飲食等の対人サービス業種向けに専門商材の提案を強化し、新たな需要創出を図る。仕事場の日用品カテゴリーの拡大により客単価・購買頻度の向上を目指す。中期経営計画「Beyond Retail」の核心施策の一つ。

生成AI等を活用したマーケティングの高度化により顧客獲得・維持効率の向上を図る。業務外注費増加(前期比15.3%増)の一因はDX推進に伴う生成AI等のライセンス費用であり、投資フェーズにある。セキュリティ強化も並行して推進。

2026年8月6日の定時株主総会をもって吉岡晃社長が退任し、成松岳志氏が新代表取締役に就任予定。ランサムウェア攻撃からの復旧過程で次世代人材が中心的役割を果たしたことを踏まえ、新体制のもとで迅速な意思決定と実行力強化を図る。

2028年5月期に収益水準の回復を図り、中期経営計画最終年度(2029年5月期)に過去最高益の達成を目標とする。数値目標については外部環境および足元の事業状況を踏まえ見直しを行いながら推進する方針。

最終更新: 2026年7月17日