事業内容
日清オイリオグループは1907年創立の植物油脂専業メーカーで、国内外に子会社25社・関連会社11社を擁する。主力の油脂・油糧事業では家庭用・業務用・加工用食用油を幅広く手掛け、国内トップクラスのシェアを持つ。
マレーシアのISF社を中心とするグローバル油脂・加工油脂事業ではチョコレート用油脂等のスペシャリティファットを欧州・アジア向けに展開。加工食品・素材事業ではMCT・チョコレート・大豆素材を、ファインケミカル事業では化粧品原料油剤をグローバルに供給する。
売上高554,251百万円(2026年3月期)の多角的な油脂ソリューション企業グループである。
ビジネスモデル
大豆・菜種・パーム等の植物原料を調達・搾油・精製・加工し、家庭用クッキングオイル(B2C)から業務用・加工用食用油(B2B)、チョコレート用スペシャリティファット(グローバルB2B)、化粧品原料油剤(グローバルB2B)まで多層的に販売する。原料相場変動リスクを価格改定・製品ミックス改善で吸収しつつ、高付加価値製品への移行と海外展開拡大により収益性向上を図る構造である。
企業の強み
マレーシアISF社はパーム油の分別・精製における高度な技術を有し、欧州の高品質基準を満たすスペシャリティファットを供給する。2026年3月期のグローバル油脂・加工油脂事業売上高は138,848百万円(前期比120.3%)に達し、設備投資6,383百万円による生産能力増強も進行中。
RSPO等サステナビリティ認証にも対応し、欧州EUDR規制対応でも競争優位を持つ。
2024年5月稼働の研究開発拠点「インキュベーションスクエア」に基礎研究所・応用研究所・ホームユース開発センター・ユーザーサポートセンター・ファインケミカル事業部が集結。2026年3月期の研究開発費は4,776百万円(前期4,079百万円から増加)。
国内外拠点(マレーシア・スペイン・上海)と連携し、食品から化粧品・化学品まで幅広い領域で技術開発を推進している。
2023年10月にJ-オイルミルズとの共同出資で製油パートナーズジャパン株式会社を設立し、国内搾油業の国際競争力強化と安定供給体制の構築を進めている。国内人口減少による油脂消費量減少が見込まれる中、搾油機能の統合によるコスト効率化と、AIやIoTを活用したスマートファクトリー化による生産性向上を同時に推進している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期432,778百万円→2026期554,251百万円と拡大基調を維持し、2026期は前期比+4.4%増収で過去最高水準に近い。一方、営業利益は2024期20,840百万円をピークに2025期19,278百万円、2026期17,027百万円と2期連続減益。
売上原価率は前期85.9%→当期86.5%へ悪化し、油脂コスト・物流費・包装資材費の上昇と価格転嫁の遅れが利益を圧迫した。当期純利益は固定資産売却益23,167百万円の計上により23,988百万円と急増したが、一過性要因を除いた実力ベースの収益力は低下傾向にある。
2027期予想は売上高590,000百万円(+6.4%)、営業利益19,000百万円(+11.6%)と回復を見込むが、当期純利益は12,000百万円(△50.0%)と特別利益剥落の影響が大きい。
成長戦略
「Value UpX」でROE8%・ROIC6%達成へ、国内収益強化とグローバル成長を両輪で推進
コストに見合った価格改定の推進、マーケティング・機能型製品の拡販、ホームユース製品の収益構造変革(こめ油・かけるオイル等の高付加価値品シフト)を通じ、国内油脂事業の利益率改善を図る。製油パートナーズジャパンを通じた搾油機能統合によるコスト効率化も継続。
マレーシアISF社の生産能力増強投資(2026期有形固定資産増加額6,383百万円)を継続し、チョコレート用油脂・スペシャリティファットのグローバル供給力を強化。アジア売上高は前期75,645百万円→当期94,886百万円へ拡大しており、欧州・その他地域への展開も加速する。
2026期に自己株式10,006百万円を取得し、2026年4月30日付で5,860,500株を消却。2026年4月1日付で1株→3株の株式分割を実施し流動性向上と投資家層拡大を図る。ROE12.1%(前期7.0%)は特別利益効果を含むが、資本効率改善への取り組みは継続している。
メイク製品に加えスキンケア製品へのテクニカルサポートを拡充し、国内新規採用増加を実現。上海テクニカルセンターを活用した東アジア・ASEAN地域での収益拡大を推進。2026期売上高15,509百万円(前期比+6.6%)と着実な成長を継続しているが、海外販売数量減少が課題として残る。
AIやIoT活用による生産性向上と次世代型搾油工場の構築を推進。2026期の有形固定資産取得支出は29,276百万円(前期15,474百万円から大幅増)と積極的な設備投資を実行。
土地40,423百万円(前期27,475百万円)・建設仮勘定9,288百万円(前期4,911百万円)の増加がこれを反映している。
最終更新: 2026年7月19日

