株式会社伊藤園 logo

株式会社伊藤園

2593東証プライム食料品

株式会社伊藤園 logo
株式会社伊藤園2593

事業内容

株式会社伊藤園は、茶葉(リーフ)・飲料(ドリンク)の製造販売を主軸とするリーフ・ドリンク関連事業(売上高の約89%)、タリーズコーヒージャパンを中核とする飲食関連事業(同約9%)、米国サプリメント製造販売のその他事業(同約2%)の3セグメントで構成される。子会社38社・関連会社8社を擁するグループ企業であり、国内では緑茶・麦茶・ウーロン茶等を全国のルートセールスで販売するほか、40以上の国と地域で「お~いお茶(Oi Ocha)」ブランドを展開。

1989年の発売以来、累計販売本数450億本超(500mlペットボトル換算)を誇る日本最大の緑茶飲料メーカーである。2025年4月期の連結売上高は472,716百万円。

ビジネスモデル

飲料製品はファブレス(自社工場を持たない委託生産)方式を採用し、設備投資リスクを軽減しながら全国5ブロック生産体制で迅速供給を実現。国内荒茶生産量の約4分の1を取り扱う原料調達力を背景に、ルートセールスによる小売店等への直接販売で強固な営業基盤を構築。

海外では現地法人・代理店網を通じた「お~いお茶」ブランドの輸出・現地販売で収益を得る。飲食事業はタリーズコーヒーの直営・フランチャイズ展開(818店舗)による店舗収益が柱。

企業の強み

1989年発売の「お~いお茶」は累計販売本数450億本超(500mlペットボトル換算、2024年12月末時点)を達成。2019年にはギネス世界記録「ナチュラルヘルシーRTD緑茶飲料(最新年間売り上げ)世界一」に認定。40以上の国と地域で販売されており、グローバルブランドとしての地位を確立している。

長年にわたる生産者との信頼関係を基盤に、国内荒茶生産量の約4分の1を取り扱う。1976年開始の茶産地育成事業では契約栽培・新産地事業を通じて九州5県・静岡県・埼玉県で茶園を整備し、高品質原料の安定調達体制を構築。飲料用原料を自社製造で調達できる点も競合との差別化要因となっている。

飲料製品は委託生産方式(ファブレス)により設備投資リスクを軽減しつつ、全国5ブロック生産体制で迅速供給を実現。ルートセールスによる小売店等への直接販売で地域密着型の営業基盤を確立しており、顧客ニーズを製品開発に反映するVoice制度と連動した独自の販売・開発サイクルを持つ。

エンヴァリスの着眼点

2026年4月期の親会社株主帰属当期純利益は3,466百万円と前期比75.5%減に急落した。主因は自動販売機事業の販売数量減少に伴う減損損失14,883百万円(前期489百万円)の計上であり、うち伊藤園単体分12,065百万円、ネオス㈱分1,807百万円。

自販機事業のネオス㈱への承継は構造改革の第一歩だが、コスト上昇と数量減少の同時進行が続く中、収益基盤の再構築に要する時間軸と追加損失リスクを投資家は注視すべきである。

売上高は497,877百万円(前期比5.3%増)と成長を維持しているが、売上原価が318,459百万円(前期293,078百万円)と大幅増加し、売上総利益率は36.0%(前期38.0%)に低下した。原材料費・物流費・人件費の上昇が価格改定効果を上回っており、営業利益率は4.4%(前期4.9%)と2期連続で悪化。

2027年4月期会社予想でも営業利益20,000百万円(前期比7.8%減)と更なる減益を見込んでおり、コスト構造改革の進捗が利益回復の鍵を握る。

米国・ASEANを中心とした抹茶・日本茶需要の拡大(外部要因として市場環境が追い風)を背景に、リーフ・ドリンク関連事業の海外売上は堅調に推移している。大谷翔平選手起用のグローバルマーケティングも奏功しており、中長期の成長ドライバーとして評価できる。

一方、米国の政策動向・関税リスク・為替変動は業績の不確実性要因であり、2026年4月期には為替差益1,007百万円を計上した一方、支払利息が909百万円(前期511百万円)に増加しており、財務コストの上昇にも留意が必要である。

成長戦略

「世界のティーカンパニー」実現に向けグローバルブランド化と自販機構造改革を両輪で推進

大谷翔平選手起用による国内外マーケティング施策を継続展開し、米国・ASEANを中心に抹茶・日本茶需要の拡大を取り込む。海外売上は当期も堅調に推移しており、グローバル化の進展が確認されている。

販売数量減少と収益性低下が顕在化した自動販売機事業を完全子会社ネオス㈱(2026年5月に伊藤園ネオスへ商号変更)に承継し、柔軟な戦略遂行と収益基盤の確立を目指す。当期に減損損失13,872百万円(伊藤園+ネオス合計)を計上し資産の適正化を実施済み。

「TULLY'S COFFEE」に加え「&TEA」「PRIME FIVE」業態を積極展開し、空港・鉄道・病院など多様なロケーションへの出店を継続。2026年4月末の総店舗数は850店舗(前期末比32店舗増)となり、売上高46,495百万円(前期比6.2%増)、営業利益3,555百万円(同1.1%増)と増収増益を達成。

国内外での価格改定を実施し、原材料費・物流費・人件費上昇の吸収を図る。米国コーヒー豆事業の採算性改善や経費支出コントロールにより一定の効果はあるものの、コスト上昇が想定を上回っており、2027年4月期も営業利益の減益予想が示すとおり改善途上にある。

最終更新: 2026年7月17日