事業内容
株式会社キューブシステムは1972年創業の独立系システムインテグレーターで、ITを活用して顧客のビジネスモデル変革と経営環境変化への対応を支援するシステムソリューション・サービスを単一事業として展開する。主要顧客は野村総合研究所(売上高の43.3%)・富士通(同24.3%)を筆頭とする大手SIer・プライム企業であり、金融・流通・通信・公共・エネルギー等の幅広い業種に対してシステム開発から運用保守まで一貫したサービスを提供する。
東京・大阪・名古屋・福岡・北海道の国内拠点に加え、ベトナム・中国の海外子会社を含むグループ体制を構築している。
ビジネスモデル
ビジネスモデルは「デジタルビジネス(コンサルティング・先進技術支援)」「SIビジネス(モダナイゼーション・新規SI)」「エンハンスビジネス(既存システム保守・運用)」の3区分で構成される。受託型ビジネスでは顧客要件に応じたオーダーメイド開発で売上を計上し、企画型ビジネスでは自社開発ソフトウェアやIPを活用したASP/SaaS等で継続収益を確保する。
2026年3月期の売上構成はエンハンス51.1%・SI41.8%・デジタル7.1%であり、高収益領域へのリソースシフトを進めている。
企業の強み
野村総合研究所とは1988年の基本契約締結以来30年超の取引関係を持ち、2022年12月には資本業務提携を締結(同社保有株式3,178,600株)。2026年3月期の同社向け売上高は8,011百万円(構成比43.3%)、富士通向けは4,494百万円(同24.3%)と、主要2社との深耕関係が安定的な受注基盤を形成している。
2001年にISO9001、2006年にISO/IEC27001を取得し、本部QMS・全社QMSを二層構造で運用している。高難度プロジェクトのリスク早期検知・コントロールを最優先課題と位置付け、プロジェクト監理システムによる情報可視化と完了報告の定着を推進。
これらの品質管理体制が大手SIerからの継続受注を支えている。
2026年3月期末の自己資本比率は76.5%(前期75.7%)、現金及び現金同等物は6,826百万円と無借金に近い財務体質を維持している。コミットメントライン契約による運転資金枠も確保しており、品川イノベーションハブ開設(設備投資384百万円)等の成長投資を自己資金で賄える財務的余力を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期16,100百万円から2026年3月期18,498百万円へ5期連続増収。営業利益は2025年3月期に1,380百万円へ落ち込んだが、2026年3月期は1,558百万円(前期比12.9%増)に回復し、営業利益率は7.5%→8.4%に改善。
売上原価の減少(エンハンス案件見直し効果)と退職給付費用の減少が利益改善を牽引。外部環境としてDX需要・AI投資拡大が受注を下支えする一方、IT人材不足による人件費上昇圧力は継続。
包括利益は1,051百万円(前期1,522百万円)と減少しており、その他有価証券評価差額金(△275百万円)・退職給付調整累計額(△244百万円)の悪化が影響。
成長戦略
AI推進室設置・ワンストップサービス拡大・新規顧客獲得で売上高20,000百万円を目指す
2026年度よりAI推進室を設置し、先進AIの実装・運用を通じてビジネス変革と生産性向上を推進。社内AIアプリ「InCUBEator」の機能拡充、AI自動発注システム・H・CUBiCの新サービスローンチにより収益源の多様化を図る。
収益性の低いエンハンス案件を見直し、SIビジネス(前期比23.9%増)・デジタルビジネス(同62.7%増)へリソースを移管。プライム向け事業での高収益化を実現しており、ミックス改善による営業利益率向上を継続的に追求する。
設計・開発・運用・保守を一括提供するワンストップサービスの提供体制を強化し、既存プライム顧客の深耕と新規顧客獲得を推進。SierとのLift&Shiftモデル確立やクラウドベンダーとの協業促進により、受注領域の拡大を図る。
400席強の品川イノベーションハブを開所し、開発キャパシティの増強とコミュニケーション活性化を図る。大規模案件での体制構築・生産性課題の解消に向けた物理的インフラ整備として機能する。
最終更新: 2026年7月19日

