事業内容
株式会社東北新社は1961年設立の映像・クリエイティブ制作会社で、東京証券取引所スタンダード市場に上場する。子会社9社・関連会社4社を擁し、「広告プロダクション」「コンテンツプロダクション」「メディア」「プロパティ」の4セグメントを展開する。
主力の広告プロダクションでは電通・博報堂を主要顧客としてCM制作・セールスプロモーションを担い、コンテンツプロダクションでは動画配信サービス会社や海外ゲーム会社向けの音響字幕・デジタル制作を行う。メディアセグメントではファミリー劇場・釣りビジョン・囲碁将棋チャンネル等のCSチャンネルを運営し、プロパティでは『牙狼<GARO>』シリーズ等のIP版権事業を手掛ける。
2026年4月にはアパレル・IPマーチャンダイジング企業のグラニフ社を完全子会社化し、事業領域を拡大した。
ビジネスモデル
売上高の約66%を占める広告プロダクションは、電通・博報堂等の大手広告代理店経由でCM制作・プロモーション案件を受注するフロー型モデルが中心。コンテンツプロダクションは動画配信・ゲーム会社向け音響字幕制作等の継続受注で安定収益を確保する。
メディアセグメントはCSチャンネルの視聴契約料・番組販売によるストック型収益を積み上げる。プロパティはIP版権の発生型収益で高利益率を狙う構造。
2026年4月のグラニフ社子会社化により物販・IPマーチャンダイジング収益が加わる。
企業の強み
2026年3月期の販売実績において、電通向け売上高は9,967百万円(全体の20.9%)、博報堂向けは6,234百万円(13.1%)を占め、上位2社で全体の34%を確保。前期比でも電通は17.9%→20.9%、博報堂は10.7%→13.1%と比率が上昇しており、主要顧客との取引深化が確認できる。
2026年3月期の受注実績は、広告プロダクションが受注高34,072百万円(前期比16.0%増)・受注残高8,624百万円(同33.0%増)、コンテンツプロダクションが受注高10,424百万円(同16.4%増)・受注残高4,974百万円(同4.2%増)と、主力2セグメント合計の受注残高は13,599百万円(同20.8%増)に達し、翌期業績の先行指標として良好な水準にある。
2026年3月期末時点で現金及び現金同等物残高は50,742百万円、有利子負債(リース債務含む)は317百万円と実質無借金経営を維持。純資産86,886百万円に対し自己資本比率は高水準であり、グラニフ社買収等の成長投資や株主還元を自己資金で賄える財務基盤を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2025年3月期の45,686百万円から2026年3月期は47,691百万円(前期比4.4%増)へ増収に転じた。スター・チャンネル株式譲渡・放送送出事業売却による構造改革の影響を、広告プロダクションの受注拡大(前期比10.3%増)が補った。
営業利益は2,947百万円(前期比9.9%増)と改善。一方、純利益は6,965百万円(前期比16.7%減)で、前期に計上した大型資産売却益(固定資産売却益8,271百万円・関係会社株式売却益4,141百万円)の反動が主因。
5期推移では売上高が2023年3月期55,922百万円をピークに構造改革で縮小後、2026年3月期に増収へ転換。営業利益は2022年3月期4,135百万円から低下後、2026年3月期に2,947百万円まで回復基調にある。
成長戦略
構造改革・新収益基盤確保・財務資本戦略の3本柱で2029年3月期に向け成長を目指す
スター・チャンネル株式譲渡・放送送出事業売却・海外子会社清算等の不採算事業整理を推進。2026年3月期にメディアセグメントの売上高は3,646百万円(前期比32.4%減)まで縮小し、構造改革は概ね完了段階にある。為替換算調整勘定取崩益2,029百万円を計上し海外子会社清算も実施。
2026年4月30日に株式会社グラニフを取得原価17,763百万円で完全子会社化。デザインプロダクトの企画・製造・販売を手掛けるグラニフの自社IP開発力・アパレル展開力と、東北新社の映像制作力・ライセンスビジネスのシナジーを追求。のれん・受入資産負債は現時点で未確定。
中期経営計画に基づく政策保有株式の処分を継続し、2026年3月期に投資有価証券売却益1,820百万円を計上。一方で投資有価証券残高は8,854百万円から20,068百万円へ増加(新規取得14,785百万円)。
配当は年間27.06円(配当性向53.5%)を実施し株主還元を維持。2027年3月期配当は中期経営計画更新後に決定予定。
広告プロダクションのセグメント利益率は前期の約9.5%から12.8%へ、コンテンツプロダクションは7.7%から11.0%へそれぞれ改善。CM制作部門の積極受注・人材育成推進、音響字幕制作部門の動画配信・海外ゲーム向け受注拡大が寄与。引き続き利益率向上施策を継続する方針。
最終更新: 2026年7月19日

