事業内容
株式会社リニカルは2005年設立の医薬品開発業務受託(CRO)企業。治験のモニタリング業務を中核に、データマネジメント、統計解析、メディカルライティング、ファーマコビジランス等の業務を受託する。
日本・米国・欧州・アジア(台湾・韓国・中国)・豪州に拠点を持ち、国際共同治験を一気通貫で支援できる体制を構築。主要顧客は国内外の製薬会社および欧米・アジアの新興バイオ医薬品企業。
がん・中枢神経系・免疫疾患など開発難易度の高い疾患領域に注力し、大手グローバルCROとの差別化を図る。育薬事業・創薬支援事業も展開し、医薬品のライフサイクルマネジメント全体をカバーするワンストップサービスを提供している。
ビジネスモデル
製薬会社等の治験依頼者と委受託契約を締結し、治験実施期間(通常1〜3年、最大5年程度)にわたり業務遂行に応じて売上を計上する。受注残高が将来売上の先行指標となる構造で、2026年3月期末の受注残高は11,673百万円。
人件費を中心とした固定費型のコスト構造を持ち、人員稼働率が収益性を左右する。グローバル拠点網を活用した国際共同治験の受託が収益拡大の主軸となっている。
企業の強み
2005年の設立以来、米国(2008年)、欧州(2014年)、台湾・韓国(2013年)、中国(2019年)、豪州(2024年)と段階的に拠点を拡充。国際共同治験を単独でカバーできる体制を構築しており、欧米バイオテックのアジア誘致やアジアバイオテックの米国市場進出支援など、双方向のグローバル・シナジーを発揮できる点が競合との差別化要因となっている。
アンメット・メディカル・ニーズが高いがん、中枢神経系、免疫疾患などの特定疾患領域に注力し、大手製薬会社と対等の立場で医薬品開発を実行・支援できる知識・技術・経験を蓄積。新興バイオ医薬品企業に対してきめ細かい提案型サービスを提供することで、大手グローバルCROとの差別化を図り、欧米・アジアの顧客基盤を拡大してきた実績を持つ。
CRO事業(臨床開発)に加え、育薬事業(製造販売後の臨床研究・調査)および創薬支援事業(開発戦略立案・薬事対応・パートナリング支援)を展開。2025年4月に育薬事業をCRO事業に統合し、ワンストップサービス提供体制をさらに強化。
新興バイオ医薬品企業が自社で保有しない機能を包括的に補完できる体制が顧客獲得の強みとなっている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年3月期12,517百万円をピークに3期連続で減少し、2026年3月期は8,665百万円(前期比17.0%減)となった。地域別では米国が3,708百万円→1,993百万円、欧州が2,644百万円→2,195百万円と大幅減収。
外部要因として米国政府機関閉鎖等による治験開始遅延が直撃した。一方、日本(3,254百万円→3,455百万円)・アジア(831百万円→1,022百万円)は増収。
営業損失は2,073百万円(前期583百万円)に拡大し、減損損失989百万円・繰延税金資産取崩し297百万円が加わり純損失は3,329百万円に達した。受注残高は2026年5月15日時点11,298百万円と2025年3月期末比3.7%減にとどまっており、売上回復の先行指標として注視が必要。
成長戦略
米国・欧州の遅延案件再稼働とアジア新規受注拡大による収益基盤の再構築
米国政府機関閉鎖等の影響で開始が遅れていた複数の大型国際共同治験について、一部で再稼働が始まっており、残りの案件も順次稼働を見込む。下半期には売上・利益とも大幅改善を予想。
米国を中心に複数の大型案件を交渉中であり、受注・順調進捗を前提に下半期の業績改善を見込む。バイオテックを中心にグローバル案件を含む多数の打診を受けており、受注残高積み上げに注力。
台湾バイオテックの米国市場進出支援、韓国でのデータマネジメント・統計解析業務受注、中国での現地営業体制強化による引き合い増加を推進。アジア受注残高は2025年3月期末比25.4%増と唯一増加。
豪州子会社(Linical Australia PTY Ltd)を活用し、日系製薬会社がプロジェクト管理する豪州・アジア試験の受注が実現。豪州経由で米国市場を目指すアジアバイオテックの開発ニーズにも対応。
前期末に稼働率改善見通しの立たない地域の人員整理を実施し固定費削減を図った。引き続き人員稼働率向上施策の遂行と経費の厳密な管理により業績改善を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

