事業内容
株式会社PRISM BioLabは、独自のペプチド模倣低分子技術「PepMetics技術」を核に、従来の低分子・バイオ医薬では制御困難だった細胞内タンパク質間相互作用(PPI)を標的とする新薬の研究開発を行うバイオベンチャーである。2006年設立、2024年7月に東証グロース市場に上場。
エーザイ・大原薬品への自社プログラム導出(臨床第II相進行中)と、Merck KGaA・BI・Roche/Genentech・小野薬品等グローバル大手製薬企業との共同開発事業を並行展開。主要顧客は国内外の大手製薬企業であり、アンメットメディカルニーズの高いがん・線維症領域を主戦場とする。
ビジネスモデル
収益モデルは「自社開発事業」と「共同開発事業」の二本柱。自社開発事業では自社負担で創薬標的選定からリード最適化まで進め、製薬会社へ導出してアップフロント・マイルストン・ロイヤリティを得るハイリスク・ハイリターン型。
共同開発事業では製薬会社の標的にPepMetics技術でヒット化合物を創出し、共同研究収入・マイルストン・ロイヤリティを得る早期収益化型。両モデルを組み合わせることで安定収益と大型リターンを同時に追求する。
企業の強み
細胞内PPI阻害薬の承認例は世界でわずか3例にとどまる中、PepMetics技術は40種類以上の骨格と50種類以上のアミノ酸側鎖を組み合わせ、理論上2億5千万通り以上の化合物設計が可能。実合成済みライブラリー(R-Library)は2万個以上を保有し、天然物様の3次元構造を持つ点が競合優位の根拠となっている。
エーザイ・大原薬品(自社導出)に加え、Merck KGaA・BI・Roche/Genentech・小野薬品・Lilly(終了)と計7社との契約実績を持つ。エーザイとの契約総額は一時金・マイルストン・研究費を含め250億円以上。
2025年11月には小野薬品との共同研究で創薬研究段階のマイルストンを達成し、技術の外部評価が積み重なっている。
2025年9月期末時点で研究開発部に39名が在籍。PPI評価系を用いたHTSの本格稼働、X線結晶構造解析による生物物理学手法の確立、Elix社との業務提携によるAI活用(ADMET予測モデル構築・実用化)を組み合わせ、標的探索からin vivo薬効評価までの一連の創薬プロセスを自社完結できる体制を構築している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年9月期中間期(累計)の売上高は253百万円(前年同期比15.8%増)。小野薬品との初回マイルストン達成および共同研究費受領が主要収益源。
一方、研究開発費は456百万円(前年同期比55.0%増)と急増し、販売費及び一般管理費合計は667百万円(同30.2%増)に拡大。営業損失は585百万円(前年同期460百万円)、中間純損失は603百万円(同474百万円)と損失が拡大した。
財政面では総資産2,586百万円、自己資本比率81.8%と財務健全性は維持。現金及び預金2,454百万円(うち3か月超定期預金1,500百万円)を保有し、当面の事業資金は確保されているが、営業CFは△463百万円と流出が続いており、収益化加速が急務。
過去実績との比較では、2024期売上高306百万円・営業損失782百万円、2025期売上高677百万円・営業損失774百万円と推移しており、中間期ベースでの損失拡大は研究開発投資の積極化を反映している。
成長戦略
自社・共同開発の二軸拡大とPepMetics技術の適用範囲拡大で継続的な導出収益を目指す
HTSにSPRおよび計算化学的解析を組み合わせた自社一貫体制で年間10本のスクリーニングを実施。中間期に4つの新規プログラムを開始し、2本でヒット化合物創出に成功して「リード化合物探索」段階へ進階。後半も新規プログラムを順次開始予定。
当事業年度より、自社開発事業の「ヒット化合物探索」ステージで見出したヒット化合物を基に、製薬企業との共同研究またはヒット化合物段階での導出を行う新事業を開始。新たなパートナーとの間で1〜2つの共同開発プログラム開始を目標とする。
エーザイが患者の用量最適化パート(第II相)への組み入れを進めており、2026年度中(~2027年3月)にトップラインデータ取得予定。子宮内膜ガンへの適応で2031年3月までの承認取得をエーザイが目標として公表。
2025年10月ESMOでの全奏効率36.7%(レンビマ®投与歴なし患者57.1%)が確認済み。
大原薬品に権利導出済みのPRI-724について、国内38施設でMASHを対象とするコホートの患者登録を完了。2027年12月の臨床試験終了に向けて進行中。血友病合併HIV・HCV重複感染起因肝硬変を対象とした第II相は2025年12月に終了済み。
従来の細胞内PPI標的に加え、リン酸化酵素(キナーゼ)をPPIで阻害するメカニズムや従来困難とされてきた膜タンパク質など多様な標的を加えることで、PepMetics技術の可能性を広げ、新規提携機会の創出を図る。
最終更新: 2026年7月17日

