事業内容
矢作建設工業は1949年に愛知県で創業した総合建設会社で、東証プライム・名証プレミア上場。建築工事請負(物流施設・オフィス・マンション等)を核とする建築セグメント、土木・鉄道工事を担う土木セグメント、産業用地開発・不動産賃貸等の不動産セグメントの三事業を展開する。
名古屋鉄道グループとの関係会社関係を持ち、野村不動産・三井不動産等の大手デベロッパーを主要顧客とする。2026年3月期の連結売上高は169,399百万円。
2026年4月に分譲マンション事業を譲渡し、産業用地開発・建設事業への選択と集中を加速している。
ビジネスモデル
主収益源は建築・土木工事の請負で、売上高の88.6%を建設事業が占める。特命受注比率が建築工事で87.9%と高く、大手デベロッパーとの長期関係に基づく安定受注が特徴。
不動産セグメントでは産業用地の開発・売却と賃貸収入を組み合わせ、建設事業との相乗効果(自社開発物件への建設工事受注)も生み出す。次期繰越工事高155,490百万円が将来売上の可視性を高めている。
企業の強み
建築工事の特命受注比率は87.9%(2026年3月期)に達し、野村不動産1社だけで売上高の32.8%(55,620百万円)を占める。野村不動産との間では産業用地売買と物流倉庫建設工事請負を一体で締結するなど、単なる下請けを超えた戦略的パートナー関係を構築している。
2026年3月末時点の次期繰越工事高は建築99,497百万円・土木55,993百万円の計155,490百万円。名古屋高速道路公社の2034年3月完成予定工事や名古屋鉄道の2030年12月完成予定工事など長期大型案件を含み、複数年にわたる売上基盤が確保されている。
土木セグメントのセグメント利益率は15.8%(2026年3月期)と高水準。補強土工法「パンウォール」「キャブウォール」等の独自工法を保有し、2026年4月には法面工事専門の株式会社海昌を子会社化して技術基盤をさらに拡充。
鉄道技術研修センターや建設RXコンソーシアム参画による技術蓄積も競争優位を支える。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期93,090百万円から2026年3月期169,399百万円へ5年間で82%増加。営業利益は2025年3月期に8,654百万円(前期比9.0%減)と一時反落したが、2026年3月期は13,742百万円(同58.8%増)と過去5期で最高水準を更新。
営業利益率も6.2%から8.1%へ改善。外部要因として、国土強靭化関連公共投資の堅調推移・民間設備投資(DX・脱炭素化)の底堅さが建設需要を下支えした一方、資材価格高騰・労務費上昇という逆風も継続。
2027年3月期は大型建築工事の施工サイクル変化により売上高150,000百万円・営業利益9,000百万円と大幅減益を予想しており、業績の振れ幅の大きさが課題として残る。
成長戦略
2030年「課題解決&価値創造型企業」へ向け建設深化・産業用地開発・技術革新を推進
大手デベロッパー・官公庁との長期関係を活かした大型工事の継続受注と採算性向上を推進。2026年3月期に建築工事売上高112,339百万円(前期比29.8%増)、土木工事受注高54,343百万円(前期比25.8%増)を達成し、中期計画最終年度の目標を上回る実績を残した。
収益変動の大きい分譲マンション開発・販売・管理事業を名鉄グループへ会社分割により譲渡し、産業用地開発・法人向け不動産事業に経営資源を集中。矢作ビル&ライフ承継事業の譲渡益として2027年3月期に約1,000百万円の特別利益計上を見込む。
法面工事分野におけるSD工法の設計・施工を手掛ける株式会社海昌(完全親会社:株式会社アクエリアスインベスコ)を2,500百万円で取得し子会社化。土木事業における技術力・事業基盤の拡充を通じて中長期的な競争力強化を図る。のれん等の詳細は現時点で未確定。
2021〜2025年度の中期経営計画が最終年度を迎え、2030年度の目指す姿「課題解決&価値創造型企業」の実現に向けた次期中期経営計画の策定・推進が課題。分譲マンション事業譲渡・海昌子会社化後の新たな事業ポートフォリオを基盤に、技術開発・設備投資等の成長投資を継続する方針。
最終更新: 2026年7月19日

