事業内容
南海辰村建設は1923年創業、2023年に創業100周年を迎えた中堅総合建設会社。親会社の南海電気鉄道(現株式会社NANKAI)を筆頭株主に持ち、建設事業(建築・土木・電気工事)と不動産事業を展開する。
売上高の99%超を建設事業が占め、物流施設・マンション・病院・学校・公共インフラなど多様な工種を手掛ける。主要顧客は民間デベロッパー・事業法人に加え、親会社グループからの受注(2026年3月期完成工事高の33.2%)が安定的な受注基盤を形成。
東京証券取引所スタンダード市場に上場し、連結子会社2社を含むグループで事業を運営している。
ビジネスモデル
受注から竣工までの工事請負を主収益源とする受注生産型ビジネスモデル。建築工事(民間マンション・物流施設・医療施設等)が売上の大半を占め、土木・電気工事が補完する。
親会社グループからの特命受注が安定的な収益基盤となる一方、競争入札による民間・官公庁案件の獲得で受注ポートフォリオを多様化。次期繰越工事高(受注残)が将来売上を先行的に担保する構造であり、2026年3月期末時点で85,992百万円の繰越工事高を保有する。
企業の強み
2026年3月期末の次期繰越工事高は85,992百万円(前期末72,499百万円比18.6%増)。大阪IRプロジェクト(2029年12月完成予定)や横浜市下水道整備工事(2032年3月完成予定)など長期大型案件を含み、複数年にわたる売上基盤が確保されている。
受注残の積み上がりは短期間で模倣困難な顧客関係と施工実績の蓄積によるものである。
南海電気鉄道(現株式会社NANKAI)グループからの受注は2026年3月期完成工事高の33.2%(14,591百万円)を占め、安定的な受注基盤を形成している。2001年の第三者割当増資以来、親会社との資本関係に基づく継続的な取引関係は競合他社が短期間で代替困難な構造的優位性である。
2026年3月期は売上高が前期比13.5%減の45,797百万円に落ち込んだ一方、営業利益は前期比19.4%増の2,842百万円を達成。手持工事の利益改善施策により建設事業のセグメント利益率は前期4.5%から6.2%へ向上した。
売上規模に依存せず利益を創出できる工事採算管理力が実績として示されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2025年3月期の52,945百万円から2026年3月期は45,797百万円(前期比△13.5%)へ大幅減収。前期に大型工事が進捗した反動が主因。
一方、利益面では完成工事総利益率が9.0%から11.3%へ向上し、手持工事の採算改善施策が奏功。営業利益2,842百万円(前期比+19.4%)、当期純利益2,093百万円(前期比+22.1%)はいずれも過去5期最高を更新した。
外部環境として建設資材価格の高止まりや労働者不足が続く中、利益創出を重視した受注選別が収益性改善に寄与した。次期(2027年3月期)は繰越工事高の消化により売上回復(52,700百万円予想)が見込まれるが、営業利益は2,500百万円(前期比△12.0%)と減益予想。
成長戦略
3カ年経営計画2年目:利益創出プロセス確立・DX・人財育成で持続的企業価値向上を目指す
採算性を重視した受注選別と手持工事の利益改善施策を推進。2026年3月期に完成工事総利益率11.3%(前期9.0%)を達成し、売上減収下でも営業利益率6.2%を実現。3カ年計画の最終年度に向け利益創出プロセスの確立を継続する。
受注から竣工までのオペレーション改革を実施し、建設事業における競争優位性を強化。DX推進による作業効率向上に取り組み、慢性的な労働者不足という業界課題への対応と収益力向上を同時に図る。
建設事業における最優先課題として全社を挙げた戦略的採用活動を推進。人財育成体制「NTアカデミー」の実効性向上と従業員エンゲージメント向上施策を通じ、技術者・技能労働者の減少・高齢化という業界構造問題に対応する。
収益力向上と財務健全性の維持を両立し、持続的な企業価値向上を図る。2026年3月期末に自己資本比率56.2%、ROE11.3%を達成。配当は1株当たり8円(2027年3月期も同額予想)と安定配当を継続するが、配当性向11.0%と株主還元余地は大きい。
最終更新: 2026年7月19日

