事業内容
株式会社錢高組は1887年創業の歴史ある総合建設業者で、建設事業(土木・建築)と不動産事業(売買・賃貸・仲介・管理)の2セグメントを展開する。建設事業が売上高の約98%を占める中核事業であり、三井不動産・京セラ等の大手民間企業から国土交通省・西日本高速道路等の官公庁まで幅広い顧客基盤を持つ。
大阪・東京の両本社体制のもと全国に支社・支店網を構え、ウガンダ等の海外案件も手掛ける。不動産事業は子会社の五番町ビル株式会社等を通じ高収益な賃貸・管理事業を運営している。
ビジネスモデル
建設事業では特命・競争入札を通じて工事を受注し、完成工事高として売上を計上する受注生産型モデルを採る。2026年3月期の繰越工事高は193,837百万円と潤沢で、将来売上の視認性が高い。
不動産事業は売上高2,694百万円に対し営業利益率約56.9%と極めて高収益であり、建設事業の変動リスクを補完する安定収益源として機能している。
企業の強み
2026年3月期末の次期繰越工事高は193,837百万円(建築122,682百万円、土木71,155百万円)に達し、大阪IRプロジェクト(2029年12月完成予定)や阪和自動車道高田山トンネル工事(2030年3月完成予定)等の長期大型案件を含む。当期売上高125,497百万円の約1.5倍に相当する受注残が積み上がっており、中期的な売上の安定性を裏付けている。
ソフトコアリング(累計約7.3万本施工実績)、FFUセグメント(累計55件)、YZ補剛工法(累計19件)等、自社開発技術に対し第三者機関の技術審査証明・性能証明を取得し定期更新している。研究開発費212百万円を継続投下し、ICT・ロボット・脱炭素分野でも技術開発を進めており、技術提案力が競争優位の源泉となっている。
不動産事業は2026年3月期に売上高2,694百万円、営業利益1,532百万円(営業利益率約56.9%)を計上し、前期比20.2%増益を達成した。建設事業の受注変動リスクに対し、安定的な賃貸・管理収益が利益の下支えとなっており、グループ全体の収益安定性を高めている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期101,903百万円から2026年3月期125,497百万円へ5期で23.2%増加し、営業利益は同期間に2,247百万円から4,708百万円へ2.1倍に拡大した。2026年3月期は売上高4.0%増・営業利益26.8%増・当期純利益21.4%増と好調な着地となった。
しかし2027年3月期の業績予想は売上高112,600百万円(10.3%減)・営業利益1,300百万円(72.4%減)と急転直下の見通しで、当期の受注高102,087百万円(前期比36.2%減)という大幅な受注減少が主因。外部要因として民間設備投資は堅調だが、エネルギー・資材価格高騰と労務費上昇が継続しており、採算重視の受注選別が受注量の減少につながったとみられる。
成長戦略
採算重視の受注選別・技術革新・財務体質強化による企業価値向上
エネルギー・資材価格高騰・労務費上昇が続く環境下で、採算の見込める工事に絞った受注選別を徹底。2026年3月期の完成工事総利益率は8.95%(前期7.48%)へ大幅改善し、売上総利益12,634百万円を達成した。受注量は減少したが収益性向上を優先する方針が明確化されている。
京セラ・三井不動産・学校法人北里研究所等の大手民間顧客との継続受注を通じ、安定的な売上基盤を維持。2026年3月期の民間完成工事高は95,151百万円(前期比4.5%増)と堅調。製造業・物流・商業施設向けの大型案件獲得を継続し、受注基盤の多様化を図る。
自己資本比率は53.0%(前期46.8%)へ改善し、現金及び現金同等物は25,404百万円(前期比12,866百万円増)と財務基盤が強化された。配当は1株当たり120円を維持(配当性向20.2%)し、内部留保の充実と安定配当の両立を基本方針とする。次期配当は未定。
最終更新: 2026年7月19日

