事業内容
第一建設工業株式会社は1942年に鉄道工事専門会社として設立され、現在は建設事業(土木・建築)と不動産事業を展開する総合建設企業。売上高の約98%を建設事業が占め、東日本旅客鉄道(JR東日本)向け工事が売上高の72.3%(43,353百万円)を占める。
鉄道インフラ工事を基盤としつつ、民間建築工事(マンション・商業施設等)にも展開。子会社の㈱ホームテック・旭、㈱シビル旭が少額工事を担い、グループ全体で建設・不動産の両事業を運営する。
東京証券取引所スタンダード市場上場。
ビジネスモデル
土木工事の94.9%が特命受注(JR東日本向け鉄道インフラ保守・改良工事)であり、競争入札によらない安定的な受注構造を持つ。建築工事は競争受注比率62.0%と民間デベロッパー等との競争環境下で受注を拡大。
完成工事高に対して工事進捗基準で収益を認識し、繰越工事高(44,383百万円)が翌期以降の売上を下支えする構造。不動産賃貸事業は小規模ながら安定的なストック収益を補完的に提供する。
企業の強み
土木工事受注の94.9%が特命受注であり、JR東日本向け完成工事高は43,353百万円(完成工事高全体の73.6%)に達する。1942年の設立以来80年超にわたる鉄道工事実績と信頼関係が、競合他社が短期間で模倣困難な参入障壁を形成している。
2026年3月末時点の次期繰越工事高は44,383百万円(土木15,245百万円・建築29,137百万円)で、前期末比51.2%増。イオンモール郡山新築工事(2027年4月完成予定)やJR東日本向け複数案件など大型工事が含まれ、翌期以降の売上高の相当部分が既に確定している。
当事業年度末において金融機関等からの借入はなく、現金及び現金同等物は14,838百万円を保有。純資産合計74,702百万円に対し負債合計11,636百万円と財務レバレッジは極めて低く、不測の事態にも対応可能な強固な財務基盤を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期42,748百万円から2026年3月期60,003百万円へ5期連続増収を達成。ただし利益面では、2025年3月期に営業利益7,194百万円(営業利益率12.4%)と過去最高水準を記録した後、2026年3月期は6,912百万円(同11.5%)へ反落した。
外部要因として労務費・建設資材価格の高騰が原価率を押し上げ、完成工事原価は48,207百万円(前期比4.1%増)に拡大した。当期純利益は5,224百万円(前期比0.4%減)と微減にとどまったが、2027年3月期予想は4,300百万円(前期比17.7%減)と大幅減益を見込んでおり、収益性の低下トレンドが鮮明になっている。
成長戦略
中期経営計画「変革2030」のもと、4つの変革と成長戦略で持続的成長を目指す
2026年5月13日に策定した5カ年中期経営計画。経営スローガン「変革と現状打破」のもと、「4つの経営方針」を基盤としたダイナミックケイパビリティの向上を通じて「4つの変革」と「成長戦略」を推進する。ESG経営によるSDGs貢献と資本コスト・株価を意識した経営による企業価値向上を目指す。
建築工事受注高が前期比42.2%増の30,928百万円と急拡大し、繰越工事高は44,383百万円(前期比51.2%増)に積み上がった。線路メンテナンス工事用大型保線機械の更新投資を継続し、施工能力の強化と競争優位の維持を図る。2027年3月期の受注高予想は不動産事業含み63,000百万円を見込む。
配当政策は安定配当の継続を重視し、2026年3月期は1株当たり160円(前期比30円増配)、配当性向54.6%を実現。自己株式取得も2,850百万円(前期比119%増)と大幅に加速させた。
2027年3月期も1株当たり160円配当を予定(配当性向65.9%見込み)。資本コストや株価を意識した経営を明示的に掲げている。
最終更新: 2026年7月19日

