事業内容
オリエンタル白石株式会社は、プレストレストコンクリート(PC)技術とニューマチックケーソン工法の両分野でトップランナーとして位置づけられる社会インフラ専業の建設グループである。1952年創立のオリエンタル建設と1933年創業の白石が2007年に合併して発足し、現在は10社で構成される。
建設事業(売上高の約83%)を中核に、橋梁等の鋼構造物事業(日本橋梁)、港湾・土木工事(山木工業)、太陽光発電・不動産賃貸・IT事業を展開する。主要顧客は国土交通省、中日本高速道路、西日本高速道路等の公共機関であり、売上高の約37%を上位3顧客が占める。
2026年3月期の連結売上高は68,866百万円、受注残高は116,685百万円と過去最高水準に積み上がっている。
ビジネスモデル
売上の大半は国・地方自治体・高速道路会社等からの公共工事請負であり、工事進捗に応じてインプット法で収益を認識する。受注から売上計上までのタイムラグが生じる構造上、受注残高が将来売上の先行指標となる。
2026年3月期末の受注残高116,685百万円は前期比15.3%増であり、今後の売上計上余力を示す。M&Aによるグループ拡充と伊藤忠商事との資本業務提携を通じ、技術領域・顧客基盤・資機材調達の強化を図る。
企業の強み
1952年のPC工法導入以来70年超の技術蓄積を持ち、ニューマチックケーソン工法でも業界トップランナーとして認知される。研究開発費は年間901百万円(2026年3月期)を投じ、無人化施工システム・AI活用沈下予測・遠隔集中管理システム等の次世代技術開発を継続している。
これらの専門技術は競合が短期間で模倣困難な参入障壁を形成している。
2026年3月期末の受注残高は116,685百万円(前期比15.3%増)と過去最高水準に達し、うち建設事業だけで106,082百万円(前期比22.5%増)を占める。受注高も84,320百万円(前期比29.6%増)と大幅増加しており、今後複数期にわたる売上計上余力が確保されている。
この受注積み上げ能力は長年の顧客関係と技術実績に裏打ちされたものである。
2023年5月に伊藤忠商事と資本業務提携を締結し、同社は2026年3月31日現在で議決権比率19.2%を保有する筆頭株主となっている。橋梁インフラメンテナンス事業の強化、PPP・PFI事業での協業、製品・技術の海外展開、資機材調達コスト低減等のシナジー創出を目指しており、2026年6月に変更契約を締結して連携を深化させている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期60,726百万円→2024年3月期67,382百万円とピークを付けた後、2025年3月期に64,553百万円へ反落。2026年3月期は68,866百万円と過去最高水準を更新した。
一方、営業利益は2024年3月期6,533百万円をピークに2025年3月期5,434百万円、2026年3月期5,334百万円と2期連続減益。当期純利益も2024年3月期4,632百万円から2026年3月期3,381百万円へ大幅に低下した。
販売費及び一般管理費の増加(M&Aに伴うのれん償却313百万円含む)と、橋梁再製作に係る特別損失774百万円が収益を圧迫。2027年3月期は売上高75,000百万円(前期比8.9%増)を見込む一方、営業利益は4,000百万円(前期比25.0%減)と大幅減益を予想しており、収益性の回復は2028年3月期以降に持ち越される見通し。
外部環境として公共投資は堅調だが、資材価格・労務費の上昇が原価を押し上げる構造は継続している。
成長戦略
新中期経営計画2026-2028で安全文化醸成・M&A・DOE導入による企業価値向上を推進
阪神なんば線淀川橋梁改築工事における品質不適合問題および中国自動車道事故を受け、新中期経営計画の最優先事項として「安全文化の醸成」を掲げた。グループ全体での品質管理体制再構築とガバナンス強化を断行し、社会的信頼の回復と事業基盤の再整備を図る。
コンクリート構造物の補修・補強に特殊技術を持つ株式会社デンカリノテックを2025年4月1日付で子会社化(取得原価331百万円、議決権比率51%)。当社の橋梁・設計・施工技術との組み合わせによるシナジー創出を狙う。
タイコー技建による菊政・菊政工務店の吸収合併(2026年1月1日効力発生)でケーソン事業基盤も強化した。
最終年度(2029年3月期)の目標として売上高800百万円(注:原文は800億円)、売上総利益率19.5%、営業利益68百万円(注:原文は68億円)、ROE8%以上を掲げる。基幹事業の高付加価値案件受注・施工推進と施工プロセス合理化により安定収益を確保しつつ、環境関連事業・海外展開等の新領域への着実な準備を進める。
従来の総還元性向目標値70%程度を維持しつつ、新たに株主資本配当率(DOE)を配当指標として設定し、2029年度のDOE4.0%を目標とした。2026年3月期・2027年3月期ともに1株当たり14.5円の配当を維持。
配当性向は2026年3月期55.4%、2027年3月期予想68.1%と上昇傾向にある。
最終更新: 2026年7月19日

