海運市況変動リスク
外航海運の運賃・用船料市況は世界経済動向や船腹需給バランスにより常に変動し、中短期契約船舶の比率が一定程度存在するため、大幅な市況下落が大きな損失につながる恐れがある。長期契約を中心とした事業基盤の安定化を図っているが、市況悪化の長期化は事業基盤を損なう可能性がある。対応策として適切な船隊ポートフォリオの構築、海外顧客向けビジネスの拡大、内航海運との総合力強化を推進している。
気候変動・環境規制リスク
IMOによるGHG削減戦略(2050年ネットゼロ目標)やSOx・NOx排出規制、バラスト水管理条約等の国際環境規制への対応費用が増加するリスクがある。規制強化により既存船舶の陳腐化や化石燃料輸送需要の減少、対応遅れによる事業機会の喪失も懸念される。中期経営計画「FORWARD 2030 Ⅱ」において2030年までにGHG排出量を2019年比25%削減(150万トン)する目標を設定し、メタノール二元燃料船の発注やローターセイル搭載等の投資を進めている。
為替変動リスク
外航海運事業の商取引の大部分が米ドルその他外国通貨建てで行われるため、為替レートの変動が業績および財務状況に直接影響する。為替予約等のヘッジ取引によりリスクを一定程度低減する方針だが、大幅な外国為替市場の変動を完全に回避することはできない。ヘッジ取引の不完全性により、急激な円高局面では損失が発生する可能性がある。
燃料油価格変動リスク
運航船舶の燃料油価格は原油市場の動向を反映して変動し、当社グループの損益に直接影響する。燃料油価格調整条項付き輸送契約の締結や数量契約の推進、燃料油スワップ等による価格固定化で変動影響を抑制しているが、急騰局面では固定化対象外部分で損失が生じ、下落局面では固定化部分で精算損が発生するリスクがある。
地政学・政治経済リスク
ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢の悪化に伴う紅海・スエズ運河の通航リスク、ホルムズ海峡の事実上の封鎖継続等により、サプライチェーンの変動や海上荷動きの鈍化・市況軟化が生じる可能性がある。戦争・テロ・海賊・ストライキ等の社会的混乱や、各国の通商制限・公的規制の変更も事業活動に影響を及ぼしうる。内外からの情報収集を通じた予防・回避に努めるとともに、支配船腹との需給バランスの適切な維持に注力している。
海難事故リスク
海難事故が発生した場合、人命・貨物・船舶の損失・損傷リスクや燃料油・積荷流失による海洋汚染リスクが生じ、事業活動および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性がある。安全管理マニュアル・品質管理マニュアル・環境マネジメントマニュアルの策定、乗組員教育・研修、緊急対応演習を実施するとともに、DX推進による運航データ活用と船舶管理ソフトの刷新を進めている。保険による損失対策を講じているが、当社負担となる損失が一部発生することがある。
情報セキュリティリスク
サイバー攻撃・自然災害・オペレーションミス等に起因する情報システム障害、データ改ざん、顧客情報・個人情報の漏洩等が発生した場合、信用・営業活動・業績・財務状況に影響を及ぼす可能性がある。ハード・ソフト両面でのサイバー攻撃対応強化、バックアップ体制の構築、情報セキュリティ基本方針等の社内規程整備、従業員教育を継続的に実施している。また、サイバーインシデントを想定した事業継続計画(BCP)を策定している。
人材確保リスク
安定的な事業継続には海陸双方の優秀な人材確保が必要であり、特に船員の確保・育成が重要課題となっている。環境対応に伴う新たな資格要件による船員需給環境の変化や雇用・育成費用の大幅増加、地政学リスクや感染症拡大による配乗後の費用増大、離職防止・定着化促進の課題が顕在化した場合、事業に大きな影響を与える可能性がある。対応策として船員国籍の複数化、大学・幅広い船員育成機関との連携、海外マンニング会社との協力体制を推進している。
固定資産減損リスク
事業環境や市場環境の変動によって保有船舶等の固定資産について減損損失を計上する場合があり、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。海運市況の悪化や技術革新による船舶の陳腐化、公的規制の変更等が減損の引き金となりうる。船舶売却時の損失や用船契約の中途解約に伴うコストも財務上のリスク要因となっている。
投資・技術革新リスク
船隊整備のための投資計画が海運市況や金融情勢の変化により計画どおりに進捗しない場合、業績および財務状況に影響が生じる可能性がある。技術革新への対応遅れによる事業機会の喪失や、新技術の台頭による既存船腹の陳腐化リスクも存在する。先進技術導入によるデータ・デジタル技術の活用、輸送最適化と競争力強化、環境性能向上に努めている。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

