運航・操業リスク
約900隻の船舶・洋上設備を運航する中、衝突・座礁・火災等の事故による船体・積み荷・乗組員への損害や燃料油流出による環境汚染(油濁)が最重大リスクの一つ。海賊・テロリスクも存在する。安全・品質推進本部と各事業本部・船舶管理会社が連携し教育・船体仕様整備を実施するとともに、賠償責任保険・船体保険・戦争保険・不稼働損失保険を付保してリスク移転を図っている。
サイバーセキュリティリスク
事業・業務が情報システムに大きく依存しており、サイバー攻撃・ICTシステム障害・自然災害・オペレーションミス等に起因する重大ICTインシデントが発生した場合、事業継続やブランド・信用に甚大な影響が及ぶ可能性がある。「重大ICTインシデント対策本部規程」及び「重大ICTインシデント対応ガイドライン」に基づきインシデントレベルの判断基準と対応方針を定め、対策本部設置による組織的対応体制を整備している。
海運市況変動リスク
中長期契約を前提としない船舶等への投資では、貸船料・運賃等が市況によって大きく左右される。需給バランスの見通し精査、幅広い船種・非海運事業(海洋・洋上風力・物流・不動産)へのポートフォリオ分散、FFA(運賃先物取引)の活用により市況エクスポージャーを削減している。また2014年導入のアセットリスクコントロール(VaRベース)により総リスク量を定量管理し、半年ごとに取締役会・経営会議が監督している。
地政学・カントリーリスク
世界各地での事業展開に伴い、政治・経済情勢の変動、法制度変更、為替・送金規制強化等により投下資本の回収困難や資産価値毀損のリスクがある。特にロシア関連では砕氷機能を有するLNG船3隻・コンデンセートタンカー1隻(合計投資額約1,008億円)について欧米制裁強化への対応措置を講じており、特殊仕様7隻(合計投資額約1,591億円)は他事業への転用が困難なため、契約継続不能時に資産価値が減少するリスクがある。国・地域別の投下資本全体を半年ごとに取締役会・経営会議で把握する体制としている。
為替・金利・燃料油価格変動
外航海運業では収入のほとんどが米ドル建てである一方、費用・借入の一部が円建てであるため為替リスクを負っており、費用のドル化・ドル借入・機動的な為替ヘッジで対応している。金利変動リスクに対しては固定金利借入・金利スワップを活用し、燃料油価格変動リスクは中長期契約への価格変動条項組み込みや燃料油先物取引の活用により損益影響を極めて限定的な水準に抑えている。
公的規制・経済制裁リスク
外航海運業は国際機関・各国政府の法令・船級協会規則等の広範な規制を受けており、規制変更・新規導入時には追加費用が発生するほか、関係当局の調査・処分を受けるリスクがある。特に経済制裁規制は国際情勢の変動に伴い対象国・取引制限の範囲が急速に変化し得るため、違反した場合には取引禁止・資産凍結・金融システムへのアクセス制限等により事業継続そのものが困難となる重大な影響が生じるおそれがある。専門部署による制裁リスト管理・スクリーニング・内部監査を柱とする管理体制を構築している。
コンプライアンスリスク
ハラスメント・贈賄・独禁法違反・インサイダー取引等のコンプライアンス違反は巨額の損害賠償請求につながる恐れがあり、持続的な事業活動に大きく影響する。当社は2014年に独占禁止法違反を認定された経緯があり、コンプライアンス規程の整備・継続的研修・3カ月ごとのコンプライアンス委員会開催・社内外相談窓口の設置・独禁法遵守行動指針及び贈賄等防止規程の整備等により再発防止と意識向上に取り組んでいる。
技術革新リスク
船舶等資産の保有期間が通常20〜30年に及ぶ中、デジタル技術や代替燃料技術の急速な発展により保有資産の陳腐化・競争力低下が生じる可能性があり、対応のための設備投資負担増加が業績に影響を及ぼすリスクがある。国内外造船所・外部研究機関との連携および社内での先進技術開発を通じて新規技術の評価・検証を実施し、事業展開に活用することで対応している。
グループガバナンスリスク
多数の子会社・関連会社を有する中、子会社の統治が十分に機能せずインシデント対応が遅れた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。2023年度から「チーフ・オフィサー制」を整備してグループ全体を横断的に指揮・統制する体制に移行するとともに、2022年度から国内外グループ会社に対するリスクアセスメントを導入し、各社のセルフアセスメントを通じてリスクの所在・内容を本社経営陣が把握できる体制を構築している。
人権・バリューチェーンリスク
全バリューチェーンにおいて差別・長時間労働・ハラスメント・強制労働・児童労働等の人権リスクが存在し、これらの発現は企業価値の毀損につながるおそれがある。「商船三井グループ人権方針」「商船三井グループ調達基本方針」「取引先調達ガイドライン」を整備するとともに、人権デューデリジェンスを包含したバリューチェーンのモニタリングスキームの立案・実装を進め、環境・人権・ガバナンス関連リスクの実態把握と解消に努めている。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

