事業内容
稲畑産業は1890年創業の専門商社グループで、情報電子・化学品・生活産業・合成樹脂の4セグメントを展開する。子会社69社・関連会社14社で構成され、海外19カ国約70拠点を有するグローバルネットワークを持つ。
主要顧客はエレクトロニクスメーカー・自動車メーカー・化学品メーカー・食品関連企業など多岐にわたる。合成樹脂事業(売上高407,974百万円)が最大セグメントで、情報電子事業(239,336百万円)が続く。
東南アジアを中心にコンパウンド製造拠点も保有し、商社機能と製造機能を複合的に提供する。
ビジネスモデル
稲畑産業は、化学品・電子材料・樹脂等の専門商材を仕入れ、国内外の顧客に販売することで売買差益を主な収益源とする。単純な仲介にとどまらず、東南アジアを中心とした樹脂コンパウンド製造拠点や物流・ファイナンス機能を組み合わせ、顧客への付加価値を高める複合機能型モデルを採用。
2026年3月期の連結売上高は832,745百万円、営業利益率は3.1%。
企業の強み
シンガポール(1976年)を皮切りに、アジア・欧米・中南米へ段階的に拠点を拡大し、現在19カ国約70拠点を展開。インド・メキシコ等の成長市場でも販売が拡大しており、2026年3月期にはインドでの自動車関連販売が大幅増加するなど、拠点網が実績として収益に貢献している。
タイ・フィリピン・インドネシア・ベトナム・マレーシア・メキシコ等に複数のコンパウンド製造子会社を保有し、商社機能と製造機能を一体化した差別化モデルを構築。2026年3月期の合成樹脂事業セグメント利益は13,221百万円と全セグメント最大で、コンパウンド事業が安定収益に貢献している。
丸石化学品(2023年)、大五通商(2023年)、ノバセル(2024年)、佐藤園(2025年)と近年M&Aを積極実施。佐藤園の新規連結により生活産業事業の売上高は前期比11.8%増の60,115百万円、セグメント利益は前期比88.5%増の2,215百万円と大幅改善しており、M&Aが業績貢献として実績化している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期680,962百万円から2025年3月期837,838百万円まで4期連続増収を続けたが、2026年3月期は832,745百万円と前期比0.6%減収に転じた。一方、営業利益は26,164百万円(前期比1.3%増)、経常利益は27,748百万円(同6.2%増)と過去最高を更新。
売上総利益率の改善(前期9.4%→当期10.1%)が利益拡大を牽引した。外部要因として期中平均為替レートは150.67円(前期152.62円)と若干の円高方向に推移したが、営業外収益の改善(為替差損が811百万円から9百万円へ大幅縮小)が経常利益の伸びに寄与した。
親会社株主に帰属する当期純利益は20,632百万円(同4.0%増)と増益を確保した。
成長戦略
「IK Vision 2030」に向け投資積極化で売上高1兆円・海外比率70%以上を目指す
AI関連市場の活況を背景に先端半導体向け材料の販売が大幅増加。中国向け半導体材料全般の需要拡大も追い風。前期の大型装置販売剥落による減収を補完すべく、高成長分野への注力を継続している。
株式会社佐藤園の新規連結による茶製品販売の追加、うなぎ加工品EC販売の好調継続、米国市場向けデザート製品の拡販等により、セグメント利益は2,215百万円(前期比88.5%増)と大幅改善を達成した。
インドでの自動車関連販売の大幅増加、中国での現地メーカー向け拡大、スポーツ関連の国内外好調継続に加え、リサイクル原料ビジネスが順調に拡大。炭素繊維など新規高機能樹脂ビジネスも立ち上がりつつある。
塗料・インキ・接着剤関連での新規商権獲得、建築資材関連でのハウスメーカー向け拡販、放熱材等の高付加価値自動車部品原料の伸長により、売上高125,137百万円(前期比5.8%増)、セグメント利益3,548百万円(同20.3%増)を達成した。
有形固定資産の取得による支出は9,173百万円(前期3,782百万円)、無形固定資産の取得による支出は5,548百万円(前期2,372百万円)と投資を大幅に拡大。総資産は498,138百万円(前期比12.7%増)に拡大し、成長投資が加速している。
最終更新: 2026年7月19日

