事業内容
株式会社キングジムは1927年創業、東京証券取引所プライム市場上場の総合生活用品メーカーである。親会社および子会社12社で構成されるグループは、ラベルライター「テプラ」・デジタルメモ「ポメラ」・防災用品等を中心とする文具事務用品事業(売上高25,178百万円)と、家具・キッチン雑貨・生活家電・アーティフィシャルフラワー等を展開するライフスタイル用品事業(売上高14,461百万円)の二セグメントを運営する。
製造拠点はインドネシア・ベトナム・マレーシアの海外工場を活用し、販売は国内流通・EC・海外子会社(中国・香港・深圳)を通じて行う。主要顧客はオフィスユーザーから一般消費者まで幅広く、アスクル(売上比12.7%)・エコール流通グループ(同11.0%)が主要販売先である。
ビジネスモデル
文具事務用品事業では「テプラ」本体販売で顧客基盤を形成し、テープ等消耗品の継続購買で安定収益を確保するモデルを採用。製品企画は国内で行い、製造はインドネシア・ベトナム・マレーシアの海外子会社に集約することでコスト競争力を維持する。
販売は国内流通・自社EC・海外子会社(中国・香港・深圳)の多チャネルで展開。ライフスタイル用品事業はグループ5社がそれぞれ専門ジャンルで企画・販売を担い、海外工場活用等のグループシナジーで収益を補完する構造である。
企業の強み
ラベルライター「テプラ」は国内オフィス・家庭市場で高い認知を持ち、本体販売後もテープ消耗品の継続購買が発生する収益構造を形成。2025年6月期の電子製品販売高は13,836百万円(前年比100.7%)と安定推移し、法人向けデモ機無料レンタルサービス(2025年6月開始)等で新規需要開拓も継続している。
ファイル製造をPT.KING JIM INDONESIAおよびKING JIM(VIETNAM)Co.,Ltd.、とじ具製造をKING JIM(MALAYSIA)SDN.BHD.が担う自社工場体制を保有。ベトナム工場生産の事務用ファイルは現地BtoB販売でも大きく伸長しており、製造コスト管理とグループシナジー(ぼん家具向け木製マルチラック等)の両面で機能している。
自社ECサイトおよび複数ECモール店舗を運営し、防災用品需要増やSNSで話題となった商品の販売増により売上が伸長。2025年6月期は新商品予約受注やセール施策が奏功。
SNSとECを連動させたカスタマーエンゲージメント強化を第11次中計の重点施策として位置付けており、直販比率向上による利益率改善が期待される。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年6月期第3四半期累計(9ヶ月)の売上高は27,901百万円(前年同期比3.1%減)。「テプラ」本体の市場浸透遅れ、防災用品の前年特需反動、ライフスタイル用品の暖冬影響等が減収要因。
一方、売上総利益率改善(+0.2pt)と販管費率低下(△0.3pt)により営業利益は522百万円(+35.2%)と大幅増益。経常利益は789百万円(+10.4%)。
ただし海外子会社での過年度法人税等計上(124百万円)が税負担を押し上げ、親会社株主帰属四半期純利益は348百万円(△10.3%)と減益。過去5期の営業利益推移(2021期2,417百万円→2024期△242百万円→2025期538百万円)を踏まえると、収益性は底打ち後の回復基調にあるが、中計目標水準への回帰には時間を要する。
通期予想(売上高40,500百万円・営業利益1,000百万円)は据え置きだが、第3四半期累計の進捗率は営業利益で52.3%にとどまる。
成長戦略
第11次中計で海外強化・ライフスタイル拡大・サービス展開の3方針を推進
中国でオリジナルブランド「クリータ」「tOMOKO」の新製品投入・商社機能活用による他社製品取り扱い拡大、ベトナムでBtoB流通深耕と自社工場生産の事務用ファイル拡販を推進。第3四半期累計で海外売上が大幅伸長しており、第11次中計の最重点戦略として着実に進捗している。
2025年8月に防災ブランド「KOKOBO(ココボ)」を立ち上げ、防災テント・防災マット等を官公庁向けに導入。前年特需の反動で第3四半期累計は前年同期比減収となったが、新ブランドとしての市場開拓は継続中。日常に溶け込む防災をコンセプトに中長期的な需要創出を図る。
自社商品直販サイトでの新商品予約受注・ECオリジナル商品積極投入により売上伸長を実現。ラチュナ事業でも新商品投入による売上拡大を推進。高マージンの直販比率向上により収益性改善に寄与しており、第3四半期累計でも成長継続が確認されている。
売上総利益率の改善(前年同期比+0.2pt)と販管費率の低下(同△0.3pt)を同時に実現し、減収下でも営業利益35%増を達成。ぼん家具の値引販売抑制・広告費最適化、ウインセスの値上げ効果浸透等、グループ全体での費用構造改革が進捗している。
最終更新: 2026年7月17日

