事業内容
ホクシン株式会社は、MDF(Medium Density Fiberboard、中密度繊維板)の製造・販売を単一事業として展開する専業メーカーである。主力製品は国内製造の「スターウッド」(厚物系)および「スターウッドTFB」(薄物系)で、住宅建材・フロア基材用途を中心に供給する。
主要販売先はLIXIL、双日建材、丸玉木材、SMB建材など住宅建材流通大手であり、上位4社で売上高の約40%を占める。1972年にMDF製造を開始した老舗メーカーであり、東京証券取引所スタンダード市場に上場している。
ビジネスモデル
自社工場でMDFを製造し、建材流通業者・メーカーへ卸販売する装置産業型ビジネスモデル。製造原価の大半を木材チップ・エネルギー費が占めるため、稼働率の維持と販売単価の適正化が収益の鍵となる。
輸入商品の仕入販売も手掛けるが、売上構成比は約10%にとどまる。設備投資の効果を中長期で評価するため、ROIC・EBITDA・営業利益を重要経営指標と位置づけている。
企業の強み
1972年にMDF製造を開始し、50年超の製造実績を持つ国内唯一級のMDF専業メーカー。国土交通省「住宅生産技術イノベーション促進事業」の補助を受けた2022〜2024年度の研究開発成果(高密度繊維板・特殊ねじ)を保有し、構造用途向けの技術的差別化を図っている。
2025年度(2026年3月期)において、構造用床用途への拡販が進み、厚物ラインの生産量が前年同期比5.3%増加した。スターウッドの販売額は5,726百万円(前年同期比6.4%増)と伸長しており、住宅着工低迷下でも構造用途への用途転換が一定の成果を上げている。
廃棄衣類などの繊維廃棄物を主原料とするリサイクル建材「PANECO® board M」を独自開発。MDF製造設備を活用した量産体制の構築を進めており、非住宅市場向けの新規収益源として育成中。水平リサイクルによる循環システムの構築を目指す点で、既存MDF製品とは異なる市場訴求力を持つ。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年3月期の12,888百万円をピークに減少が続き、2026年3月期は10,268百万円(前期比+0.4%)とほぼ横ばいで下げ止まりの兆しはあるものの、2022年3月期比では約5%減。営業利益は2022年3月期の437百万円から2026年3月期は△37百万円へと急速に悪化。
外部要因として、建築基準法改正・省エネ基準適用義務化に伴う建築確認申請長期化により新設住宅着工戸数が前年同期比12.9%減と大幅に落ち込んだことが主因。加えて原材料価格・労務費・インフレによる製造経費上昇が製造原価を押し上げた(当期製品製造原価:7,872百万円→8,002百万円)。
当期純損失は27百万円(前期は純利益20百万円)。自己資本比率は45.1%(前期42.4%)と改善しており、財務基盤の毀損は限定的。
成長戦略
構造用途拡販・非住宅新製品・価格改定・コストダウンによる黒字転換
建材用・フロアー基材用の主力用途が住宅着工減少で低迷する中、構造用床用途への拡販が進み厚物ラインの生産量が増加。既存市場での用途多様化により稼働率向上と収益改善を図る。
廃棄衣類を原料とする環境配慮型MDF「PANECO® board M」の生産設備設置が2026年3月期中に完了し量産体制が整った。非住宅市場向け新規販路の開拓により住宅市場依存からの脱却を目指す。
期初から継続してきた価格改定活動により売上総利益は1,353百万円から1,387百万円へ改善。原材料・労務費・インフレによるコスト上昇の転嫁を継続し、販売単価の適正化を推進する。
薄物ラインの生産量調整継続と厚物ラインへの生産シフト、配送効率向上により製造経費の削減を図る。減価償却費は323百万円と前期比増加しており、設備更新投資(有形固定資産取得417百万円)と並行したコスト管理が課題。
最終更新: 2026年7月19日

