事業内容
株式会社スリー・ディー・マトリックスは、MITの研究者が発明した自己組織化ペプチド技術(RADA16)の独占的実施権を保有し、吸収性局所止血材を中心とした医療機器の研究開発・製造・販売を行う単一セグメント企業。日米欧豪の4極で製造販売承認を取得し、消化器内視鏡・耳鼻咽喉科・心臓血管外科等の複数領域で販売を展開。
主力製品「ピュアスタット」は生物由来原材料を含まない化学合成品であり、安全性・操作性に優れた次世代止血材として市場に浸透しつつある。外科領域に加え、組織再生領域・DDS領域にも開発パイプラインを有し、将来的な多角的収益化を目指している。
ビジネスモデル
米国・日本・オーストラリアでは直販体制、欧州消化器内視鏡領域ではFUJIFILM Europe B.V.への独占販売権許諾により収益を得る。製造は扶桑薬品工業およびドイツPharmpurへ委託し、自社は研究開発・薬事・販売に経営資源を集中。
DDS領域では製薬企業へのライセンス供与によるロイヤリティー収入も目指す先行投資型モデルであり、2026年4月期の事業収益計画は9,283百万円。
企業の強み
米国3-D Matrix,Inc.が2003年にMITと締結した独占的実施権契約(再許諾権付)により、自己組織化ペプチド技術の全世界における医療・生命科学・美容分野での独占的使用権を保有。生物由来原材料を含まない化学合成品であるため、ウイルス感染リスクがなく安全性が高く、均一品質での大量生産が可能という技術的優位性を有する。
2025年4月期の米国売上高は3,152百万円(前期比106.4%増)と倍増し、四半期ごとに過去最高額を更新。既存顧客の使用量拡大に加え、新規顧客獲得数が想定以上のペースで増加しており、米国子会社は当期において財務会計上の黒字化を達成。
営業人員拡大施策がコスト増加分を上回る収益成長をもたらしている。
欧州(2014年CEマーキング)、オーストラリア(2016年)、日本(2020年)、米国(2021年510(k))と順次承認を取得し、4極での販売体制を確立。2025年4月期の事業収益は米国3,152百万円・欧州2,052百万円・日本1,234百万円・オーストラリア478百万円と地域分散が進んでいる。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年4月期1,506百万円から2026年4月期10,886百万円へ5年間で約7.2倍に拡大。成長率は2024期+98.1%、2025期+51.1%、2026期+57.0%と高水準を維持している。
営業損益は2022期△2,737百万円から2026期+1,335百万円へ改善し、通年での営業黒字化を初めて達成した。売上総利益率は2026期78.7%(前期63.8%)と大幅改善。
外部要因として期中の円安進行(1ドル142.57円→160.40円)が海外子会社の円建て売上高を押し上げた一方、海外子会社コストも増加したが売上超過分で吸収。2027年4月期は売上高13,422百万円(+23.3%)・営業利益1,652百万円(+23.7%)を計画しており、増収増益基調の継続を見込む。
成長戦略
米国直販モデルの深耕と複数新規適応の承認取得加速で収益基盤の多層化を図る
2027年4月期に米国売上高8,590百万円(前期比+37%)を計画。昨年度末に営業チームのリソース補強と再編を実施し、営業一人当たり売上額の増加を見込む。消化器内視鏡領域では新規顧客獲得・既存顧客維持・顧客当たり使用量拡大のバランスを取った営業活動を継続。
小児心臓手術止血・扁桃腺手術・生検後止血・前立腺肥大手術・放射線膀胱炎・粘膜創傷治癒(De Novo申請準備中)・骨充填材等、複数の新規適応について米国承認申請準備を進める。既存臨床データまたは短期取得可能なデータを活用した申請を指向。
2025年12月に欧州で承認取得済みの次世代止血材について、米国・日本での承認申請データ取得のためPMCF(市販後調査)を計画中。脳神経外科・消化管・心臓血管・実質臓器等複数領域での適応を有しており、承認取得により新たな収益源となることが期待される。
欧州では消化器内視鏡・心臓領域の代理店モデルを維持しつつ、耳鼻咽喉科領域に追加リソースを投入し30%程度の成長を見込む。泌尿器科等新規領域でも小規模直販体制で高成長を継続。2027年4月期欧州全体で12%成長(2,922百万円)を計画。
粘膜の創傷治癒材として2026年3月に欧州へ承認申請済み。米国ではFDAとの協議によりDe Novo申請に変更して再申請準備中。正式な薬事承認取得により止血材に次ぐ新製品カテゴリーの確立と拡販を目指す。
転換社債型新株予約権付社債の全額償還・転換完了により継続企業の前提に関する注記を解消。自己資本比率66.7%・現金残高2,830百万円を確保し、新規当座借越契約・コミットメントライン拡大も実施。資金調達リスクを大幅に低減し、事業投資余力を確保した。
最終更新: 2026年7月17日

