継続企業の前提に関する重要事象
前連結会計年度の営業赤字による財務制限条項抵触および有価証券報告書の法定期限内未提出による確約条項抵触が発生し、取引金融機関に期限の利益喪失請求の権利放棄を依頼していた。当連結会計年度において営業利益の黒字化を達成し2026年3月31日付で全取引金融機関より権利放棄の同意を得たものの、自己資本の低水準・北米事業の改善途上・OEM支援依存の業績という3点から、依然として継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在すると認識している。中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration」に基づく収益力向上・財務体質改善・資金繰り安定化の取組を継続しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められなくなったと判断し当連結会計年度でGC注記を解消した。
高水準の有利子負債依存度
当連結会計年度末の有利子負債依存度は51.1%(有利子負債額74,233百万円、総資産額145,329百万円)と相当程度高く、支払利息は2,160百万円(売上高比1.1%)と増加傾向にある。市場金利の上昇により借入金利が上昇した場合には財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があり、財務制限条項への抵触が生じた場合には期限の利益を失い事業継続性に重大な影響を及ぼす可能性がある。適切な設備投資計画の策定と資産効率化により有利子負債依存度のさらなる増加を抑制する方針としている。
特定OEMへの売上集中リスク
主要販売先OEMは日産自動車グループと本田技研工業グループであり、当連結会計年度の連結売上高に占める割合は74.2%に達する。両社の自動車販売動向が当社グループの経営成績に大きく影響を及ぼす可能性があり、特に日産自動車は経営再建中であることから需要変動リスクが高い。両グループとの取引関係を維持発展させつつ、販売先OEMの多様化を推進し安定した事業運営を目指している。
希薄化および流動性リスク
2024年11月1日付で日産自動車に対しA種優先株式5,827,274株を発行しており、全株式が当初取得価額で普通株式に転換された場合の希薄化率は261.00%に達する。また全A種優先株式が一括転換された場合、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準である流通株式比率25%以上に抵触する可能性があり、株式需給にも悪影響を及ぼす可能性がある。さらに累積未払配当金(年率7.0%複利)の増加に伴い希薄化規模は拡大し、2028年4月1日以降は金銭を対価とする取得請求権の行使により一括支払いが必要となり財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
大株主(日産自動車)との関係リスク
A種優先株式には普通株式と同等の議決権が付されており、全株転換時には日産自動車が議決権の3分の2を超える支配株主となる。投資契約において重要事項には日産自動車の事前承諾を要することとされており、当社の意思決定に対し影響力を持つ。2028年3月31日の譲渡制限期間経過後に日産自動車が株式を市場売却した場合、売却規模によっては株価および需給関係に影響を与える可能性がある。
内部統制の不備リスク
過年度および四半期決算の訂正に伴い財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が複数年にわたり発生し、連結子会社における会計処理の誤り・業務プロセスの不備・ガバナンス体制の脆弱さが決算訂正および有価証券報告書提出遅延の主因となった。2026年5月15日に東京証券取引所へ改善状況報告書を提出し再発防止策に取り組んでいるが、継続的な実行および内部管理体制強化が適切になされない場合には経営成績・財政状態・レピュテーションおよび金融機関・株主・取引先等との関係に悪影響を及ぼす可能性がある。
北米市場・通商政策リスク
北米地域の売上高は連結売上高の55.5%を占め、同地域の自動車市場の景気動向・需要変動および米国の通商政策(関税)の動向が経営成績に大きく影響を及ぼす可能性がある。米国関税の影響については販売先OEM等との協議を通じて利益圧迫の最小化に取り組んでいるが、北米セグメントは継続的な営業損失を計上しており改善途上にある。バランスの取れた経営体制を目指し欧州・アジア地域を含めた多地域展開を推進している。
グローバル展開・地政学リスク
海外売上比率は73.6%と高く、海外生産拠点において政治・経済の不安定化、法令・税制変更、テロ、中東地域情勢の緊迫化やロシア・ウクライナ情勢等の地政学的リスクにより事業遂行に問題が生じる可能性がある。特に米国とイランの軍事衝突を巡る中東情勢の緊迫化は原材料・エネルギー価格の変動および一部原材料の供給不安定化をもたらす可能性がある。原材料調達先の分散・代替材料の検討および関係部門横断での継続的モニタリングにより影響の極小化を図っている。
原材料供給不足・価格高騰リスク
供給業者での不慮の事故・震災等により原材料・部品の供給が中断または不安定となった場合、事業に悪影響を受ける可能性がある。また原油価格上昇等により原材料・部品価格が高騰した場合には経営成績に影響を及ぼす可能性があり、地政学的要因による価格変動リスクも顕在化している。複数の供給網の構築および複数調達先の確保等により供給不足への対策を講じている。
情報セキュリティリスク
サイバーテロ・不正アクセス・コンピューターウイルス感染等により情報システム障害・重要データの喪失・機密情報や個人情報の漏洩が発生する可能性があり、当社グループの海外子会社においてこれまでにサイバー攻撃を受けた事例が実際に存在する。ファイヤーウォール設置・リアルタイムウイルスチェック・サーバーおよびネットワーク回線の冗長化・クラウドサービス利用促進・バックアップシステムの確立・生産系とOA系ネットワークの論理的分離等の対策を講じている。過去の被害事例を踏まえ情報セキュリティ対策の強化および再発防止に向けた取組を継続している。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

