事業内容
太平洋工業株式会社は1930年創業、岐阜県大垣市に本社を置く自動車部品専業メーカーである。連結子会社16社・持分法適用関連会社1社を含むグループで、主力の「プレス・樹脂製品事業」(売上高の約72%)と「バルブ製品事業」(同約28%)の2セグメントを展開する。
プレス製品では超ハイテン材成形技術、バルブ製品ではタイヤバルブ・TPMS・空調用バルブで複数の世界トップシェア製品を保有する。主要顧客はトヨタ自動車(売上高比率19.9%)をはじめとする国内外の自動車メーカーで、米国・フランス・台湾・タイ・中国・韓国・ベルギーに生産・販売拠点を持つグローバル体制を構築している。
東京・名古屋証券取引所プライム・プレミア市場上場。
ビジネスモデル
自動車メーカーからの受注に基づき、超ハイテン材プレス加工・フィルム加飾・防音防振樹脂・タイヤバルブ・TPMSなど多様な技術を活用した部品を製造・納入する。プレス・樹脂製品は国内外の自動車生産動向に連動した物量型収益構造を持ち、バルブ製品は世界トップシェアと法規化需要(TPMS)を背景に安定収益を確保する。
継続的な原価改善活動と設備投資による生産能力増強を組み合わせ、売上と利益の共成長を目指す。
企業の強み
1180MPa級超ハイテン材の冷間プレス加工技術はトヨタ自動車での採用が拡大傾向にある。ホットスタンプ比でエネルギー使用量が少なく、LCA・カーボンニュートラルの観点からも優位性を持つ。東大垣新工場(2023年11月稼働)の稼働率向上と米国第5工場建設により生産能力を増強中。
タイヤバルブ・バルブコア、空調用バルブ、TPMS製品で複数の世界トップシェア製品を保有する。TPMSは世界各国で法規化が進展しており、規制主導の安定需要が見込まれる。2025年3月に電動車向けバルブ専用工場(北大垣工場)が竣工し、次世代製品への対応体制を整備した。
2025年3月期末の自己資本比率は57.2%、純資産は167,747百万円と財務健全性は高い。営業キャッシュ・フローは23,434百万円を確保し、設備投資28,716百万円の大半を自己資金で賄う。日本格付研究所(JCR)格付A-を維持し、機動的な資金調達余力を保持している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期第3四半期累計(9ヶ月)の売上高は162,875百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益は14,816百万円(同63.3%増)、親会社株主帰属四半期純利益は12,617百万円(同24.5%増)と大幅改善。日米自動車生産の増産(外部要因)と継続的な原価改善活動(自社要因)の相乗効果が利益を押し上げた。
財政面では自己資本比率が62.0%に改善し、純資産は187,482百万円に拡大。通期予想は売上高202,000百万円・営業利益13,000百万円と前期比減収減益を据え置いており、第4四半期に向けた利益の大幅な落ち込みが内包されている点が注目される。
過去5期の売上高は2021期150,408百万円から2024期207,348百万円まで拡大後、2025期206,129百万円と微減に転じており、2026期通期予想202,000百万円はさらなる減収を示す。
成長戦略
電動化対応・新市場開拓・新事業創出の三本柱で収益基盤の強化を図る
超ハイテン技術を活かしたBEV向けボディシェル部品・樹脂製品の受注拡大を推進。東大垣新工場(2023年稼働)の稼働率向上および米国第5工場建設による生産能力増強を進め、電動化需要の取り込みを図る。
熱マネジメントシステム用電子膨張弁等の電動車向けバルブ製品の開発・拡販を推進。電動車向けバルブ生産工場が2025年3月に竣工し、生産能力増強が完了。ただし2026年3月期3Q累計のバルブ事業営業利益は販売物量減少・材料価格高騰により前年同期比3.4%減と苦戦。
牛体調モニタリングシステム・物流管理システム等のIoT製品や、アップサイクル製品等の社会課題解決型ビジネスを推進。中計「NEXUS-26」では新規商品・サービス上市件数2026年度15件を目標とするが、2026年3月期3Q累計の売上高は185百万円・営業損失81百万円と規模は依然小さい。
最終更新: 2026年7月17日

