金利・市場変動リスク
日本国債41.4兆円(総資産の18%)、外国証券88.2兆円(総資産の38%)を保有する中、国内外金利の急変動やクレジットスプレッド拡大により債券評価損・減損損失が発生するリスクがある。日銀の政策金利引き上げに伴う国内金利上昇局面では円金利ポートフォリオの再構築を進めているが、想定通りに進捗しない場合や貯金金利引き上げによる調達コスト増加が重なった場合、資金粗利鞘の縮小を通じて業績・財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。対応策としてポートフォリオのリスク耐性強化やALM専門人材の強化を推進している。
為替・外貨調達コストリスク
外貨建て資産については通貨スワップ・為替予約等でヘッジを行っているが、一部は非ヘッジまたは短期ヘッジにとどまっており、大幅な為替変動時に差損が発生するリスクがある。国内外金利差の再拡大や通貨ベーシスの拡大が生じた場合、外貨調達コストの増加を通じて業績・財政状態に大きく影響する可能性がある。米国政権の経済政策動向やウクライナ・中東情勢の悪化等、外部環境の不確実性が高い状況が続いている。
オルタナティブ投資リスク
プライベートエクイティファンド・不動産ファンド・ダイレクトレンディングファンド等を戦略投資領域と位置づけ投資を拡大しているが、これらは投資期間が長期に及び流動性が低く、Exit時期の想定からの下方乖離や企業価値向上の遅延が生じるリスクがある。GPから提供されるレポートは概ね3か月前の時価に基づくため実際の時価と乖離する可能性もあり、投資ノウハウ・専門人材の不足と相まって業績・財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。非流動性資産の調達期間長期化や選別的投資により対応を図っている。
サイバー攻撃リスク
フロンティアAI等を活用したサイバー攻撃手法の高度化・巧妙化が進む中、リモートワーク増加やデジタルチャネル拡充により攻撃対象領域が拡大しており、機密情報・顧客情報の漏えい、不正送金、システム障害等が発生するリスクがある。経済安全保障の観点からも国外からの妨害行為への対策の重要性が高まっており、サイバーセキュリティ態勢が機能しなかった場合には損害賠償・行政処分・社会的信用の毀損等により事業・業績に影響を及ぼす可能性がある。CISO配置・専門部署設置・多層的防御体制の整備・外部専門機関との連携等により対応している。
郵便局ネットワーク依存リスク
当行の店舗23,306のうち23,071が日本郵便株式会社の代理店(郵便局)であり、貯金残高の約9割が代理店経由口座への預入によるなど、事業は郵便局ネットワークに大きく依拠している。郵便局の利用者数・代理店数の減少、代理店従業員の確保・教育不足、委託手数料条件の見直し、または契約解除が生じた場合には当行の事業継続に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。また、郵便局での資金横領等の不祥事件やクロスセル事案(2025年3月に金融庁から再発防止策の定期報告命令を受領)が継続する場合、グループ全体の社会的信用低下を通じて金融商品販売が低迷するリスクもある。
コンプライアンス・AML違反リスク
マネー・ローンダリング、テロ資金供与、経済制裁違反、インサイダー取引、不適合販売等のコンプライアンス違反リスクが存在し、約24,000の郵便局ネットワーク全体での実施・監督には困難が伴う。違反が発生した場合には行政処分・多額の制裁金・社会的信用の毀損等により事業・業績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。AI等の活用・当局との連携・外部機関の知見を踏まえた対策高度化や、顧客管理措置・疑わしい取引の検知・届出体制の整備により対応している。
郵政民営化法規制リスク
当行は郵政民営化法により他の銀行には課せられていない業務拡大制限・預入限度額規制等が課されており、経営の自由度が限定されている。2025年6月27日付で日本郵政株式会社が当行株式の2分の1以上を処分したことにより新規業務開始の認可要件は届出制に移行したが、要件不充足や当局との解釈相違が生じた場合には新規業務の開始が妨げられる可能性がある。また、将来的に民営化の枠組みを変更する法律が制定された場合、当行グループの事業戦略・経営計画の遂行に影響を及ぼす可能性がある。
DX・競争環境対応リスク
テクノロジーの進化により他業界からの新たな金融サービス提供者の参入や顧客ニーズの多様化が進展しており、当行グループが競合他行に対して優位に立てない場合や市場構造の変化に対応できない場合、顧客基盤の流出・収益力の低下・既存サービスの陳腐化等が生じるリスクがある。デジタルペイメント事業戦略・コンサルティング事業戦略等の中期経営計画(2026〜2028年度)の推進が想定通りに進捗しない場合、役務取引等利益の計画未達や顧客離反につながる可能性がある。AI活用・デジタル化推進・新商品・サービス開発により対応を図っているが、AI利用に伴うハルシネーション等のリスクも新たに生じている。
人材確保・育成リスク
市場運用・リスク管理・DX・サイバーセキュリティ・GP・ALM等の高度専門分野において有能な人材の確保・定着・育成が必要とされるが、他の金融機関等との競争環境の中で十分なスキルを持つ従業員や経営幹部の採用・定着が困難となる可能性がある。人材不足が生じた場合、事業の競争力・業務運営の効率性が損なわれ、中期経営計画の戦略遂行が阻害されるリスクがある。中期経営計画と連動した人材戦略・人的資本投資の推進、専門人材の採用・育成強化、エンゲージメント向上施策等により対応している。
自己資本比率・財務健全性リスク
2026年3月末現在の連結自己資本比率は14.93%と規制比率(4%以上)を大きく上回っているが、2030年3月のバーゼルIII最終化完全適用やリスク・アセット増加、その他有価証券評価損の悪化等により比率が低下するリスクがある。CET1比率(国際統一基準、完全適用ベース)は9.85%であり、中期経営計画の平時目標レンジ(11〜13%)を下回っている状況で、想定以上の評価損拡大等が生じた場合には目標達成が困難となる可能性がある。また、分配可能額の確保が困難となった場合には株主還元目標の達成にも影響を及ぼす可能性がある。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

