事業内容
日本タングステン株式会社は1931年創業、タングステン・モリブデン等のレアメタルおよびファインセラミックスを用いた高度な粉末冶金技術を基盤とする精密部品メーカーである。事業は機械部品事業(HDD用磁気ヘッド基板・NTダイカッター・二軸混練押出機用金属部品等)と電機部品事業(電気接点・抵抗溶接用電極・カテーテル用タングステンワイヤー・半導体製造装置向け給電端子部品等)の2本柱で構成される。
国内製造拠点に加え、中国・米国・イタリアの連結子会社およびタイの持分法適用関連会社を含むグローバル製販体制を有し、データセンター・半導体・医療・自動車・衛生用品機器など多様な産業分野に高付加価値製品を供給している。
ビジネスモデル
自社が長年蓄積した粉末冶金技術(材料技術×超精密加工技術)を活用し、顧客ニーズに応じた高機能部品を設計・製造・販売する垂直統合型モデルを採る。原材料(タングステン等希少金属)を調達・加工し、HDD基板・ダイカッター・電気接点・医療用ワイヤー等の差別化製品として販売することで付加価値を獲得する。
原材料価格上昇分は販売価格への転嫁を進め、収益を確保する構造をとっている。
企業の強み
1931年の創業以来、タングステン線・棒から超硬合金・セラミックス・精密加工品まで事業領域を段階的に拡大してきた。材料技術と超精密加工技術の融合による高機能製品群は、HDD基板・NTダイカッター・医療用タングステンワイヤー等、複数の産業分野で採用されており、競合が短期間で模倣困難な技術的参入障壁を形成している。
データセンター(HDD)・半導体・医療・自動車・衛生用品機器・産業機器と幅広い市場に製品を供給しており、特定市場への依存度を低減している。また、中国・米国・イタリア・タイの海外拠点を通じたグローバル製販体制を構築しており、2026年3月期の受注高は合計13,980百万円、受注残高は3,832百万円と前年比44.8%増を記録している。
2026年3月期の研究開発費は455百万円。半導体製造装置用部材への独自開発セラミックス適用研究、二次電池製造用高耐久部品開発、新たな金属複合部材開発に加え、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を取り入れたAI活用の材料開発手法を導入し、新素材開発の加速に取り組んでいる。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期は売上高12,776百万円(前期比3.1%増)、営業利益713百万円(同3.5%増)と増収増益を確保した。電機部品事業が売上高・利益ともに大幅拡大した一方、機械部品事業は中国向け産業用機器需要の一服で減収・減益。
経常利益はスクラップ売却益・持分法投資利益・為替差益の計上により1,133百万円(同18.9%増)と好調だったが、産業用機器・部品市場の収益性低下に伴う減損損失797百万円を特別損失に計上した結果、当期純利益は270百万円(同60.0%減)に急落した。2027年3月期は売上高15,000百万円・当期純利益720百万円(前期比165.9%増)を予想しており、減損一巡による純利益の大幅回復を見込む。
成長戦略
2028中計でコア・成長事業への選択集中とROE5%・営業利益700百万円を目指す
約100年の粉末冶金技術を活用し、コア事業で収益基盤を強化しつつ成長事業への戦略的投資を加速。2028年度KGI目標は営業利益700百万円・ROE5%。2026年3月期の営業利益713百万円は既に目標水準に達しているが、ROE2.1%は大幅未達であり資本効率改善が急務。
データセンター向けHDD用磁気ヘッド基板・衛生用品機器向けNTダイカッター・半導体製造装置向け給電端子部品を注力商品として拡販。2026年3月期はいずれも堅調に推移し、2027年3月期も継続的な需要を見込む。
2027年3月期より配当方針を変更し、年間1株当たり配当金の下限を50円から60円に引き上げ、配当目安を純利益の30%から40%に変更。次期配当予想は1株当たり60円(前期50円から増配)。
中国の輸出規制強化を背景とするタングステン等希少資源の調達リスクに対応するため、開発・原料調達・リサイクルの各領域で業界横断連携を推進。リサイクル粉末の活用検討も並行して進め、原材料コスト上昇への対応力を強化する。
最終更新: 2026年7月19日

