事業内容
ケル株式会社は1962年創業のコネクタ専業メーカーで、工業機器・車載機器・医療機器・画像機器・遊技機器等の幅広い電子機器向けにコネクタ、ラック、ハーネスを製造・販売する。国内では山梨・長野の複数事業所を擁し、海外は台湾・中国(上海・珠海)・ドイツ・米国・シンガポールに子会社を持つグローバル体制を構築。
主力のコネクタは売上高12,858百万円の約87.8%を占め、フローティングコネクタ・高速伝送コネクタ・防水コネクタ等の高付加価値製品を中心に展開する。東京証券取引所スタンダード市場上場。
ビジネスモデル
自社工場(国内複数拠点・中国珠海)での一貫製造により品質と供給安定性を確保し、工業機器・車載・医療・通信等の多様な市場向けに製品を供給する。サンワテクノス等の代理店経由販売が主体で、同社向け売上は13.8%を占める。
研究開発投資(425百万円/年)により直近3年以内の新製品売上比率30%を目標とし、高付加価値製品の継続的な市場投入で収益を確保するモデルを志向する。
企業の強み
工業機器・車載・医療・画像・遊技・通信・電力・鉄道等の幅広い市場に製品を供給しており、特定市場への依存度が低い。2026年3月期において車載・通信向けが減少した局面でも、工業機器・遊技機器向けの好調が補完し、売上高は前期比8.3%増の12,858百万円を確保した実績がある。
研究開発費425百万円を投じ、PCIe 5.0相当の高速伝送フローティングコネクタ「JIシリーズ」、IP67対応防水ドロワーコネクタ「FWSAシリーズ」、大電流バッテリー用コネクタ「FGシリーズ」等を開発。最近3年以内の新製品売上比率30%を目標に掲げ、市場ニーズを先取りした製品ラインアップを継続的に拡充している。
2026年3月期末の流動比率375%、現金預金比率148%、現金及び現金同等物4,729百万円(売上高の4.4か月相当)を保有。有利子負債はキャッシュ・フロー対有利子負債比率34.5%と低水準であり、設備投資・研究開発投資を内部資金で賄える財務的余力を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期は売上高12,858百万円(前期比+8.3%)と2期ぶりの増収を達成したが、営業利益は285百万円(前期597百万円)と5期連続の悪化。当期純利益も210百万円にとどまる。
減価償却費1,207百万円・製品不具合対策費40百万円等のコスト増が利益を圧迫。棚卸資産が475百万円増加しており在庫積み上がりも懸念材料。
外部要因として、工業機器・遊技機器向け需要の回復が売上増に寄与した一方、原材料コスト高止まりや円安による調達コスト上昇が収益性を下押しした。営業CFは1,447百万円と堅調を維持しており、キャッシュ創出力は保たれている。
成長戦略
新製品・グローバル販売網・中国新工場活用による収益力回復と事業拡大
開陸連接器(珠海)有限公司の量産立ち上げにより、生産拠点の最適化とコストダウンを図る。2026年3月期に関係会社株式取得支出62百万円を計上しており投資継続中。量産効率向上が収益改善の主要ドライバーとなる見込み。
5G/IoT周辺機器市場向けに高速伝送コネクタ・フローティングコネクタ・防水コネクタの新製品開発を継続。市場環境として5G基地局整備・IoT普及が外部追い風となるが、自社の製品開発力・特許蓄積が差別化の核心。
欧州・中国・北米の既存販売体制を強化しつつ、インド・東南アジアへの新規販路構築を推進。海外売上比率の拡大により国内市場依存リスクを低減し、中長期の成長基盤を整備する。
医療機器向け・電力及び鉄道関連向け特注ラックの受注増加に対応するため生産体制を改善。有形固定資産取得支出が1,502百万円(訂正後)と前期比63%増加しており、設備投資による生産能力増強が進行中。
最終更新: 2026年7月19日

