事業内容
アイホン株式会社は1948年創業のインターホン・電気通信機器専門メーカーで、戸建住宅・集合住宅・医療福祉施設・オフィス・公共施設向けシステムを開発から生産・販売・アフターサービスまで一貫して手掛ける。国内では日本セグメントが売上の約75%を占める中核事業を担い、タイ・ベトナムの海外生産拠点と北米・欧州・オセアニア・東南アジアの販売子会社を含む計13社体制でグローバルに展開。
世界約70カ国に輸出し、ソフトウェア開発子会社3社(ソフトウェア札幌・テシオテクノロジ・日本マイクロリンク)を通じた開発力強化も進めている。
ビジネスモデル
自社ブランドを基本に、国内(日本・アイホンコミュニケーションズ)とタイ・ベトナムの生産拠点で製品を製造し、各地域の販売子会社を通じて最終顧客に届ける垂直統合型モデル。収益の主軸は国内集合住宅・ケア・業務市場向けのリニューアル需要であり、新築着工減少の影響を補完する構造となっている。
設備投資・研究開発費は全額自己資金で賄い、無借金経営を維持している。
企業の強み
日本セグメントの外部顧客向け売上高は47,558百万円(2026年3月期)で、集合住宅・ケア・業務・戸建の全市場に対応した製品群を保有。集合住宅リニューアルでは宅配ソリューション「Pabbit」を主力商品に標準搭載し差別化を図るなど、自社固有の製品・サービス体系が受注拡大に寄与している。
2026年3月期末の純資産は70,034百万円、負債は9,923百万円と財務レバレッジは極めて低く、設備投資・研究開発費・配当を全額自己資金で賄う無借金経営を継続。現金及び現金同等物残高は22,817百万円を維持しており、外部環境の変動に対する財務的耐性が高い。
タイのアイホンコミュニケーションズ(タイランド)とベトナムのアイホンコミュニケーションズ(ベトナム)の2拠点でグループ内製品を生産し、2026年3月期の合計生産高は18,026百万円(販売価格ベース)。自動化・省人化投資を継続的に実施しており、単一拠点依存リスクを分散しながら安定供給体制を構築している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2026年3月期62,983百万円(前期比0.5%減)と5期ぶりの減収。営業利益は2,802百万円(同26.5%減)と2期連続の大幅減益となり、2024年3月期5,268百万円からの落ち込みが顕著。
減益要因は、北米セグメントの販売代理店在庫調整による売上減少、開発費増加・部品価格高止まりによるコスト増、日本セグメントの一部商品納入遅延。一方、ケア市場(前期比13.9%増)・業務市場(同7.3%増)・集合住宅(同2.3%増)は増収。
包括利益は5,396百万円(同35.8%増)と為替換算調整勘定(2,034百万円増)・有価証券評価差額金(901百万円増)が純資産を押し上げた。2027年3月期は営業利益4,000百万円(前期比42.7%増)を予想するが、部品価格リスクは未織り込み。
成長戦略
国内リニューアル深耕・Pabbit拡大・海外強化・開発力増強の4軸で成長を追求
セキュリティニーズの高まりを背景に集合住宅リニューアルの受注から施工までの体制強化を継続。ケア市場では補助金活用によるDX導入支援を追い風にナースコールを核としたソリューション提案を推進。
業務市場では公共施設の無人化・省人化ニーズに対応したネットワーク対応商品の提案を強化。2026年3月期はケア市場13.9%増・業務市場7.3%増と成果が顕在化。
集合住宅向け主力商品に標準搭載している宅配ソリューションサービス「Pabbit」の積極的な提案活動が集合住宅リニューアル売上増加に寄与。宅配事業者等との連携強化により再配達問題の解決とサービス拡充を推進し、差別化と継続収益の獲得を目指す。
2026年3月期の集合住宅セグメントは前期比2.3%増と増収を達成。
北米は販売代理店の在庫調整一巡後の需要回復を見込み、IPネットワーク対応商品の販売拡大を推進。欧州は中国製品との価格競争が続くも2026年3月期に営業黒字転換(35百万円)。
シンガポールを中心とした東南アジアの販売体制強化によりケア・業務市場向けIPネットワーク対応商品の販売拡大を図る。次期為替想定(1USドル=158円)は円高方向で営業利益押し上げ効果を見込む。
ソフトウェア札幌・テシオテクノロジ・日本マイクロリンクの3社を子会社化し、ソフトウェア開発体制を強化。現在複数の大規模研究開発が同時進行中であり、研究開発費は2026年3月期4,990百万円・次期計画5,804百万円と増加傾向。
開発リソースの効率的活用を図りながら製品競争力の向上を目指す。コスト高止まりが続いており、開発成果の製品化・収益化が課題。
タイ・ベトナムの海外生産拠点を中心に自動化・省人化促進に向けた投資を継続。2026年3月期の設備投資実績は3,580百万円(建設仮勘定2,810百万円が大半)、次期計画は4,560百万円(機械装置1,192百万円・工具器具備品802百万円を中心に大幅増額)。
製品及び部品の適正在庫水準維持に向けた生産管理強化も並行して推進。
最終更新: 2026年7月19日

