事業内容
株式会社ズームは1983年創業の音楽用電子機器専業メーカーで、「We're For Creators」を基本理念に掲げる。ハンディオーディオレコーダー、デジタルミキサー、マルチエフェクター、プロフェッショナルフィールドレコーダーなど多彩な製品カテゴリーを展開し、ミュージシャンから映像・放送クリエイターまで幅広いユーザーを対象とする。
製品開発は日本本社に集中し、生産は中国・東南アジアのEMS企業に全量委託。北米・欧州・日本に販売子会社を持ち、世界各国の販売代理店を通じて楽器店・家電量販店・ネット通販業者へ販売する。
連結売上高は17,437百万円(2025年12月期)。
ビジネスモデル
開発機能を日本本社(開発人員54名)に集約し、生産は全量EMS企業に外注することで自社工場を持たない資産軽量型を実現。ZOOMブランド製品の販売に加え、連結子会社(Mogar、フックアップ、Sound Service)が第三者ブランドの輸入販売代理店業務を担うディストリビューション事業を第二の収益柱として育成。
売上高の大部分は米ドル・ユーロ建てで、為替変動が業績に直接影響する構造を持つ。
企業の強み
2021年のフックアップ子会社化、2023年のSound-Service子会社化により、日本・北米・欧州(南欧・中欧・英国)に販売拠点が整備された。Sound Service取扱いブランドは2025年12月期に前期比18.9%増の4,717百万円を計上し、グループ売上の約27%を占める第一カテゴリーに成長している。
32bitフロート録音技術を搭載したStudioシリーズ(H5studio、H6studio)を2025年に投入し、ハンディオーディオレコーダーカテゴリーの新たな柱として好調な販売を記録。同技術はプロフェッショナルフィールドレコーダーやデジタルミキサー(L6max、L12next)にも展開され、技術の横断的転用による製品ラインアップ拡充を実現している。
2025年12月期に割増退職金・棚卸資産処分損・のれん減損損失など合計10億円弱の特別損失を一括計上し、本社機能を中心としたリストラクチャリングを実施。これにより固定費削減と資産健全化を図り、2026年12月期の連結営業利益650百万円黒字転換を目標とする収益構造への転換を進めている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年17,901百万円をピークに2025年17,437百万円まで微減傾向が続いたが、2026年1Q累計は4,447百万円(前年同期比17.4%増)と加速。ハンディオーディオレコーダーの回復(前年同期比59.0%増)、Sound Service取扱いブランドの拡大(同24.0%増)、外部要因としてのユーロ高による円換算増が主因。
営業利益は2025年12月期に57百万円の損失を計上したが、2026年1Qで216百万円の黒字に転換。コスト削減と増収効果の相乗により収益性は改善局面に入った。
一方、欧州税務調査に伴う特別損失計上により純利益ベースでは依然損失が続いている。
成長戦略
収益構造の再構築と高付加価値製品・ディストリビューション事業の二軸成長
廉価版「essentialシリーズ」の市場在庫解消と「Studioシリーズ」新製品効果により、2026年1Qで前年同期比59.0%増と大幅回復。主力カテゴリーの販売回復が通期業績の牽引役として機能している。
2025年9月以降に投入した3機種の新製品が欧州市場を中心に浸透中。2026年1Qのデジタルミキサー/マルチトラックレコーダーは前年同期比11.7%増と堅調に推移しており、ユーロ高効果も追い風となっている。
Sound Service(ドイツ)・Mogar(イタリア)を通じたサードパーティブランドの取り扱い拡大により、自社製品販売の変動を補完する安定収益源を構築。2026年1QのSound Service取扱いブランドは前年同期比24.0%増と高成長を維持している。
販売費及び一般管理費の削減(2026年1Q:1,514百万円、前年同期比1.0%減)と構造改革の推進により、2026年1Qで営業黒字転換を実現。通期営業利益650百万円の黒字化予想を据え置いており、改革効果が顕現している。
最終更新: 2026年7月17日

