継続企業の前提に関する疑義
当連結会計年度において営業損失877百万円、経常損失894百万円、親会社株主に帰属する当期純損失1,454百万円を計上し、7期連続の赤字となった。取引金融機関からは業績安定化まで新規融資は困難との見解が示されており、継続企業の前提に重要な疑義が生じている。対応策として新製品「Xscend®」の拡販、販管費・研究開発費の削減、第18回新株予約権による資金調達を実施中であるが、これらは実施途上であり重要な不確実性が残存する。
特定顧客への高い売上依存
当社グループの売上高は特定の大口顧客への依存度が高い状態が続いており、当該顧客の設備投資方針・購買方針の変更や競争力の低下が生じた場合、売上高が大幅に減少するリスクがある。社内リソースを大口顧客案件に重点配分することで取引拡大を図っているが、その結果として依存度がさらに高まる構造的課題を抱えている。顧客基盤の多様化が急務であるが、現時点での進捗は限定的である。
安定収益源の欠如
当社グループが提供する通信・放送インフラ機器は、通信事業者で4〜5年、放送事業者で8〜10年に1回の更新サイクルであり、同一顧客からの継続的な大型受注は期待できない。保守料収入の拡大を図っているが売上全体に占める割合は限定的であり、売上の大部分は新規機器・システム販売に依存している。継続的な新規需要の獲得ができない場合、売上が大幅に減少するリスクがある。
特定製品シリーズへの依存
売上はIP伝送装置MD8000シリーズへの依存度が高く、競合他社の参入増加により同シリーズの優位性は徐々に低下している。後継機種「Xscend®」の販売を2023年4月に開始し、パリ2024オリンピック・パラリンピックでの採用実績も得ているが、他社の革新的な技術開発や新製品投入が発生した場合には売上高に影響が及ぶ可能性がある。新製品への移行が円滑に進まない場合、収益基盤がさらに脆弱化するリスクがある。
競争環境の激化
放送用ネットワークインフラにおけるIP伝送分野では、映像IP伝送規格の世界的標準化により参入障壁が低下し、競合企業が増加している。当社グループは同分野で技術的優位性と世界主要顧客への採用実績を有するとしているが、技術面その他での優位性を失った場合には業績に影響が生じる。激化する競争環境への対応として新製品「Xscend®」の展開を進めているが、競合優位の維持は継続的な課題である。
開発技術・製品陳腐化リスク
当社グループが手掛ける製品分野では急速な技術革新が進んでおり、規格・標準の変化への対応遅れや新製品市場投入の遅延により製品が陳腐化するリスクがある。新製品・新技術を開発しても市場から支持される保証はなく、また開発に必要な資金・資源を継続的に確保できる保証もない。継続的な赤字計上により研究開発投資余力が制約されており、技術競争力の維持が困難になるリスクが高まっている。
生産委託・部品調達リスク
当社グループはファブレス型ビジネスモデルを採用し、3社以上の生産委託先に製造を委託しているが、委託先の経営悪化・品質問題・火災事故等が発生した場合には製品生産に支障をきたす可能性がある。また、特定の半導体・電子部品の入手困難や納期長期化により顧客要望に応えられなくなるリスクも存在する。定期的な工場監査や複数委託先の確保により対応しているが、外部環境の変化によるリスクを完全に排除することはできない。
為替変動リスク
海外事業の割合が高く、USドル・オーストラリアドル・ユーロ等の外貨建て取引が発生しているため、為替変動が業績に影響を及ぼす可能性がある。製品は日本国内で製造されており製造原価の多くが円建てであるため、円高局面では海外市場における価格競争力が低下するリスクもある。外貨建て決済額の適切な管理を行っているが、為替リスクを完全に回避できる保証はない。
人材の確保・育成リスク
製品開発や海外展開を担う、十分な知識・技術・語学力を有する人材の確保・育成が不可欠であるが、優秀な技術者の退職や採用困難が生じた場合には業務に支障が生じる可能性がある。必要な人事体系の構築と教育体制の充実に努めているが、継続的な赤字計上による財務的制約が人材投資の足かせとなるリスクがある。特にファブレス・研究開発主体の事業モデルにおいて、人材リスクは事業継続に直結する重要課題である。
海外展開に伴う地政学・規制リスク
当社グループは米州・EMEA等への積極的な海外展開を進めているが、予測しない法律・規制の変更、テロ・戦争等の地政学的リスク、各国・地域の経済的・社会的・政治的リスクが内在している。特にアメリカの通商政策の動向は原材料価格や事業環境に影響を与える可能性があり、その影響が解消される時期は不透明であると有報に明記されている。これらのリスクは売上高や営業キャッシュ・フローに不確実性をもたらす要因となっている。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

